【フェアリーS】抽選突破が条件も…データと前走内容からアカイイトの全妹アイサンサン、カリーンに熱視線

勝木淳

過去10年のデータから見るフェアリーS,ⒸSPAIA

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1番人気2着2頭は未来のGⅠ馬

桜花賞まで、3歳牝馬限定のマイル重賞は1月のフェアリーSに2月のクイーンC、そして3月チューリップ賞の計3レース。最重要トライアルに出世レースと将来につながるレースばかりのなか、フェアリーSはやや趣が異なる。

年始の変則日程に取り込まれ、暮れの2歳GⅠからも近いため、いくら間隔をとりたいといってもAランクはいない。牡馬の京成杯が見直される昨今、フェアリーSにも変化があっていい。

だが、京成杯には本番と同舞台というつながりがある一方、フェアリーSにはそれがない。わざわざ東上する関西馬も多くは桜花賞出走を目指し、賞金加算を目論む1勝馬だ。

重賞実績がない“ほぼ1勝クラス”というメンバー構成は毎年恒例でもある。だが、3年前の2着馬スターズオンアースが桜花賞、オークスの二冠を制しており、格下による争いといっても、なかには素質の原石も隠れている。

完成度の高さに注目しつつ、将来性ある好素材も見つけたい。データは過去10年分を使用する。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【0-2-0-8】複勝率20.0%。2014年にオメガハートロックが勝って以来、10連敗中だ。

正直、この時期の3歳牝馬に序列づけはナンセンス。2歳時の実績を買われて人気に推される1番人気がことごとく負ける。

ちなみに、2着2頭は17年アエロリットと22年スターズオンアース。どちらも春にGⅠ馬になった。混戦のここを1番人気に支持され、2着に好走できるのは素質の高さゆえ。負けてもその先に注目しよう。

3番人気【4-0-1-5】(勝率40.0%、複勝率50.0%)、5番人気【2-0-2-6】(勝率20.0%、複勝率40.0%)など人気の上下に差がない。

また、7番人気【0-2-4-4】(複勝率60.0%)など穴馬もよく絡む。10番人気以下【3-1-0-64】(勝率4.4%、複勝率5.9%)など大穴警報も。人気は考えなくてもいい。


キャリア別成績,ⒸSPAIA


キャリア別では2戦が【6-3-3-39】勝率11.8%、複勝率23.5%と高い。また3戦【1-4-0-25】勝率3.3%、複勝率16.7%など、ある程度レースを経験した馬の成績がいい。

5戦も【1-2-1-9】勝率7.7%、複勝率30.8%で、使いすぎではと軽視することもできない。反対にキャリア1戦は【0-0-4-19】複勝率17.4%。3着が4頭も出ており、経験が浅いからと切ることもできない。



候補はアイサンサン、カリーン

収得賞金400万円越えは阪神JF7着ミーントゥビーと同10着のジャルディニエ、函館2歳S2着ニシノラヴァンダぐらい。今年も出走馬の大半が抽選待ちの1勝馬。波乱前提でアプローチしていい。


キャリア2戦・前走クラス別成績,ⒸSPAIA


好走パターンをあれもこれもと追いかけてもブレるので、ここではキャリア2戦にフォーカスを絞る。

前走キャリアでは未勝利【4-1-0-14】勝率21.1%、複勝率26.3%と格下の1勝馬もチャンスあり。初勝利直後の重賞挑戦はよほどインパクトある勝ち方か良血でないと人気に推されにくいので、ここは狙い目だ。

なお、キャリア2戦の前走新馬は新馬取消→新馬1着という特殊戦歴だ。

キャリア2戦の前走未勝利・距離別成績,ⒸSPAIA


前走未勝利のキャリア2戦馬について、前走距離をかけてみる。

1600mが【3-0-0-5】勝率・複勝率37.5%。それ以外からも好走馬が出ているので、前走同距離だけでは決してないが、まずは前走マイル組を評価しよう。

アカイイトの全妹アイサンサンやカリーン、キスアンドクライなど候補も多いが、好走ゾーンなので抽選突破の際は買い目に入れよう。

アイサンサンの2戦目は、京都マイルで好位追走から後半800m12.3-12.0-11.6-11.5を差し切った。加速ラップを描いただけではなく、馬群を割って抜け出す力強さなど混戦向きの要素も多い。

カリーンの未勝利も優秀。スローから後半800m11.9-11.5-11.7-11.7の持続力勝負を抜け出した。持久力型が多いデクラレーションオブウォー産駒であり、中山マイル戦特有のラップ構成にも対応できそうだ。

前走1勝クラス・距離別成績,ⒸSPAIA


最後にキャリアに関係なく、前走1勝クラス【3-8-1-45】勝率5.3%、複勝率21.1%について。なにせ2着が8頭。正直、ここから軸馬を探すのが近道かもしれない。

こちらも距離別でみると、1600mが【3-4-1-21】勝率10.3%、複勝率27.6%とよく、1600m未満も【0-3-0-21】複勝率12.5%。さらに頭数が少ない短縮も【0-1-0-3】で、距離別では1600mを中心に距離変化にも気を配りたい。

赤松賞組のレイユールやミラーダカリエンテ、キタノクニカラ、ひいらぎ賞4着ティラトーレなどが候補となる。いずれにしても各馬、抽選突破が前提。出走枠にこれら好走候補が入るかどうか。まずはここだろう。


過去10年のデータから見るフェアリーS,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。

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