【シンザン記念】前走「新馬」「1勝クラス」が好走傾向 複数好データに合致のアクルクスに注目

勝木淳

過去10年のデータから見るシンザン記念,ⒸSPAIA

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人気順はアテにならない

シンザン記念が中京で行われたのは、2021~23年の3回。勝ち馬は4番人気→4番人気→2番人気で、枠別では2枠・6枠・7枠が各1勝ずつをあげている。前走マイル以外だった馬が【2-1-2-14】で複勝率26.3%となっており、距離変化がポイントだ。

最後の直線に急坂がある影響で距離短縮が良いのは理解できるが、前走1400m【2-1-0-11】と距離延長が強いのは不思議だ。この2勝はいずれも前走で後方から運び、3着以内に入った追い込み型だったが、シンザン記念では逃げ先行と脚質を一変させた。

これはキャリアが浅く、得意な形が固まっていないからだが、1400mだと前半が忙しく、200mの距離延長でペースがハマるという理由もあるだろう。

ラストに急坂があるマイル戦では、後半に向けて温存したいためペースが上がらない。まして中京の向正面は緩い上り坂。飛ばさない流れとなることで、距離延長による一変がある。

今年も前走からの距離変化に注意し、予想をすすめよう。ただし、基本としては京都開催も含む過去10年のデータを使用する。


人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%と頼りないが、2番人気【3-2-2-3】勝率30.0%、複勝率70.0%など4番人気以内が計8勝と上位人気が拮抗。単純に人気の序列がズレているようで、上位の力差はない。

8番人気【2-1-0-6】勝率22.2%、複勝率33.3%など穴馬も走るが、基本は拮抗した上位人気同士の争い。ただし、人気を押し上げるだけの実績馬が多数参戦するわけでもなく、ちょっとしたことで人気になるため、そこに盲点が生じる。


キャリア別成績,ⒸSPAIA


キャリア別では1戦【3-2-0-15】(勝率15.0%、複勝率25.0%)、2戦【4-3-2-20】(勝率13.8%、複勝率31.0%)とキャリアの浅い馬の成績が目に入る。

経験よりも素質の高さと言いたいところだが、5戦【2-1-3-10】(勝率12.5%、複勝率37.5%)など4~5戦組の成績も悪くない。2歳からコンスタントに出走して経験を積んだ馬との差は互角で、キャリア2戦以内だけに注目しても当たらない。

面白いのは前走「1400mの1勝クラス」

出走を確定させている実績馬は、タイセイカレントやマイネルチケットといった重賞2着馬たち。これなら1勝馬たちにも十分チャンスがある。今年も人気が割れ、比較が難しい一戦になりそうだ。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績では、前記の「1戦1勝組」にあたる前走新馬が【3-2-0-15】勝率15.0%、複勝率25.0%。前走未勝利が【1-2-3-26】勝率3.1%、複勝率18.8%と高くなく、初勝利後の馬を狙うなら、まずは新馬勝ちに注目しよう。


前走新馬・距離別成績,ⒸSPAIA


中京開催時のデータでは前走からの距離変化が良いと書いたが、新馬組に限ると前走1600mが【3-1-0-7】勝率27.3%、複勝率36.4%となっており、同距離組が良い。ちなみに、距離延長は【0-0-0-8】と振るわない。

中京開催時の3年間でも、前走1600mの新馬組【1-0-0-3】に対し、1400m【0-0-0-2】とデータ通り。2023年のライトクオンタムが東京芝1600m新馬から連勝した。左回りという点まで共通で、極力舞台変化がないことがポイントとなる。

同距離でも、右回りの新馬だと【0-0-0-2】。京都マイルで新馬を勝ったリラエンブレムは左回りでも力を出せるか。


前走1勝クラス・距離別成績,ⒸSPAIA


次いで好走率が高い前走1勝クラス【4-4-2-32】勝率9.5%、複勝率23.8%についても、距離変化を確認する。

こちらは前走1600m【2-3-1-14】(勝率10.0%、複勝率30.0%)の一方、前走1600m未満【2-1-1-16】勝率10.0%、複勝率20.0%。同距離と距離延長がほぼ互角となっている。

中京開催3年間では、前走1400m【2-1-0-5】(勝率25.0%、複勝率37.5%)に対して前走1600m【0-1-0-3】(複勝率25.0%)と延長組が優位。1400m戦の秋明菊賞5着アクルクスは距離が延びて追走に余裕が出そうで、チャンスだ。

前走重賞組は【2-2-5-26】勝率5.7%、複勝率25.7%で3着馬の半数はここから。馬券を組み立てる際、前走新馬や1勝クラス組に気をとられ、軽く扱ってしまうと当たらない。

間隔がつまる朝日杯FS組は【0-1-3-11】複勝率26.7%で、それ以外のマイル重賞組は【1-1-1-7】同30.0%。京王杯2歳S2着マイネルチケットは人気になるだろうが、朝日杯FS15着のタイセイカレント、アルテミスS5着マイエレメントもデータ上、注目しよう。

ただし、中京開催時の3年では前走重賞組も【0-0-2-7】複勝率22.2%と少しトーンダウンする。重賞経由組より新馬や1勝クラスなど、下のクラスからここに挑む馬を積極的に狙いたい。


過去10年のデータから見るシンザン記念,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。

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