【注目2歳馬】エピファネイア産駒マイエレメントが好タイムで快勝 福永祐一厩舎は2歳新馬戦で初V達成
三木俊幸
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
勝ちタイム1:34.9は高評価
8月25日(日)新潟6Rに組まれた芝1600m牝馬限定の新馬戦は、エピファネイア産駒のマイエレメントが制した。今年3月に開業した福永祐一厩舎は先日のCBC賞で重賞初制覇を果たしたが、デビュー時から管理している2歳馬でも初めての勝利となった。
馬主はキャロットファームながら生産は日高のオリオンファーム、2023年のセレクトセールにて3,630万円で落札されて総額4,200万円(一口あたり10万5,000円)で募集されていた。
6月に栗東トレセンに入厩し、ゲート試験に合格した後に一旦放牧へ。7月末に再入厩するとじっくり乗り込まれ、レース1週前の追い切りでは調教師自らが騎乗し、栗東CWコースで6F81.6-65.3-50.9-36.4-22.6-11.0という好タイムを叩き出したことからも手応えを感じていたに違いない。
そうした前評判もあり、レース当日は単勝1.7倍の1番人気。馬体重468kgで横山武史騎手を背にレースを迎えた。ゲート内では落ち着きがない様子も垣間見えたが、まずまずのスタートを切り、前に馬を置きつつ道中は5番手の外を追走。前半800mの通過は48.6とスローペースで流れた。
直線に入ると徐々に外へと進路をとり、あとはいつ追い出すかというところ。横山武騎手は内回りコースとの合流点となる残り400mの標識手前まで追い出しを我慢していた。ゴーサインが出て追い出されると、素晴らしい瞬発力を見せて後続に2馬身半差。余裕もあったように映る。レース上がりは33.9だったが、マイエレメント自身は上がり33.3を記録し、走破時計1:34.9も新馬戦としては好タイムと言っていい。
しかし課題は多い。道中はやや力んで走っていたせいか口向きが悪く、追い出されてから横山武騎手がムチを入れると、フラフラとヨレる場面もみられた。福永調教師は騎手時代から調教やレースを通じて若馬を教育していくことに定評がある人物。今後、調教師としてどのように育てていくのか注目したい。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
勝負根性をみせたトータルクラリティ
同日に行われた新潟2歳Sは、北村友一騎手騎乗のバゴ産駒トータルクラリティが勝利。6月の京都芝1600mの新馬戦に続き、連勝で重賞制覇を果たした。
レースは出遅れ気味のスタートだったシンフォーエバーがハナを奪う展開で800m通過は47.7。4番手の外から運んだトータルクラリティは直線、残り400m手前で各馬がずらっと横に広がるところで、手応えよく先頭に立った。しかし、内にもたれたところで外から1番人気のコートアリシアンに半馬身かわされ、大勢は決したかと思われた。
だが、残り100mのところで今度はコートアリシアンが苦しくなり、外にヨレたところで再び差し返し、トータルクラリティが最終的に半馬身差をつけるという勝負根性をみせた。勝ちタイムは1:34.2、2着コートアリシアンも3着以下に3馬身差をつけており、ここでは上位2頭が強かった。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
トータルクラリティは新馬戦でもゴール前の追い比べを差し切ったようにスパッと切れるタイプには見えないが、新馬戦のラスト2F11.4-10.9というラップからも脚力は示していた。持久力勝負で勝負根性がいる展開になれば、さらに大きな舞台での活躍が期待できそうだ。
また、2着コートアリシアンは新馬戦で上がり33.3の末脚を繰り出し、5馬身差快勝をしたように、こちらは切れる牝馬という印象。今回は出遅れから巻き返しての追走に加え、新馬戦とは全く違う展開だったことを踏まえると、敗れはしたが地力の高さは改めて証明したと言える。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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