【注目2歳馬】ラスト4F11秒台の加速ラップで快勝 高い素質を見せたスワーヴリチャード産駒キングメーカー
三木俊幸
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
着差以上の強さ
マイルCSが行われた11月17日(日)の京都競馬場では、芝1800mの新馬戦で9頭がデビュー。父スワーヴリチャードと同じNICKSの所有馬で、C.ルメール騎手騎乗のキングメーカーが人気に応えて勝利した。
キングメーカーの馬体重は482kg。パドックでは最後尾を周回していたが、落ち着いている印象で返し馬からレースへと向かっていった。
スタートはやや伸び上がるようなタイミングになったが大きなロスはなく、ルメール騎手はすぐ内にいたクイーンハピの出方をうかがいつつ、結果的に2頭が並走しながらレースを引っ張る展開となった。
3角坂の頂上にあるスタートから1000m地点の通過は1:03.3というスローペース。下り坂に入って単独先頭に立ち、直線は内をあけ残り200mを切ったところで左ムチを一発、残り100mでもう一度ムチを入れられた。道中キングメーカーの直後を追走していた2着ロードレジェロを寄せ付けずに完勝。着差は1馬身だったが、それ以上に余裕十分の内容だったと言える。
勝ちタイム1:49.1は特出すべきものではないが、3角の下り坂で単独先頭に立ったところからのラップは11.9-11.7-11.2-11.0。加速ラップであるうえ後半800mを45.8でまとめた数字面も評価していい。
ポテンシャルは十分見せつけてくれただけに、将来的に重賞戦線をにぎわせるような馬へと成長してくれることを期待したい。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
超スローペースも力強い末脚で差し切る
前日の16日(土)の東京4Rに組まれた芝1400mの新馬戦は、1番人気のサートゥルナーリア産駒エルマーゴが制した。
好スタートを切るも道中は中団に控える形となり、残り600m標識の手前から鞍上のT.マーカンド騎手の手が動き始めて直線へ。ずらっと横に広がる中での攻防となったが、残り100mで逃げ粘っていたミリオンヒットを捉えると、最後まで力強く伸び外から追い込んできたベルアーブルに3/4馬身差をつけた。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
前半600m通過は37.4と超スローペース。それだけに勝ちタイムは1:24.0と遅かったが、ラスト2F11.2-11.2をしっかりと差し切った瞬発力はサートゥルナーリア産駒らしいものだった。道中は促されながら追走する面があったことから、距離が延びても問題なさそうだ。
クロワデュノールが東京スポーツ杯2歳Sを快勝
最後に来年のクラシック戦線に向けた出世レース、東京スポーツ杯2歳Sについても触れておきたい。6月の新馬戦勝利時にも取り上げ、東京芝1800mの新馬戦レコードを更新した内容から将来性★5つの評価をしたクロワデュノール。その2戦目に注目していたが、好位追走から逃げたサトノシャイニングをねじ伏せて勝利した。
新馬戦はラスト1000mが11秒台のラップと持久力勝負という展開だったが、今回はラスト3F11.3-10.9-11.2の瞬発力勝負にも難なく対応してみせた。
32秒台の究極の上がりが求められる展開は未知ではあるが、総合力は高い。新馬戦からプラス24kgでの出走に加え、レースに向けては陣営から良化途上というコメントも出ていた。それでこのパフォーマンスを披露したことや伸びしろを考慮すると、世代トップクラスの高評価は変わらない。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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