【アルゼンチン共和国杯】近10年は「距離延長組」が8勝 “複勝率60%”データ該当のサヴォーナに好機
勝木淳
ⒸSPAIA
4歳に注目
天皇賞(秋)が終わった。この戦いは次戦ジャパンCへと続く。その直後のアルゼンチン共和国杯はこの一連の流れに割って入れるか。実際にはなかなかそうもいかなく、1986年以降、アルゼンチン共和国杯とジャパンCの連勝はスクリーンヒーローだけ。
晩成の大物があらわれるか。まずはそこだろう。次戦ジャパンCに限らず、2年後のジャパンCを勝つスワーヴリチャード、翌年のジャパンCを勝つシュヴァルグラン、次走で有馬記念を勝つゴールドアクター、翌年の天皇賞(秋)を勝つトーセンジョーダンなど、長い目でみるべきレースでもある。以降は過去10年分のデータを使用して分析を行っていく。
1番人気【4-1-1-4】勝率40.0%、複勝率60.0%、2番人気【3-0-1-6】勝率30.0%、複勝率40.0%、3番人気【2-0-6-2】勝率20.0%、複勝率80.0%とハンデ戦であっても、東京の重賞らしく、上位人気は手堅い。状況的に波乱含みの雰囲気が漂うも、終わってみれば、そこそこ堅い。そんなレースだ。GⅠの谷間とあって大振りしたくなるところだが、このレースはぐっと我慢しよう。
2週間前に菊花賞があり、前週に天皇賞(秋)があるため、3歳は【2-0-2-1】勝率40.0%、複勝率80.0%と極めて数が少ない。出てくれば評価しないといけないが、基本は4歳【6-3-3-21】勝率18.2%、複勝率36.4%が本線。5歳は【1-4-5-42】勝率1.9%、複勝率19.2%なので、秋シーズンらしく成長曲線で4歳に入れ替わる。充実期を迎える馬は素直に味方につけたい。
ポイントはオールカマー
本線は4歳と述べたが、今年は目黒記念3着クロミナンス、京都大賞典3着メイショウブレゲ、新潟記念2着セレシオンなど年上の馬たちが実績でリードする。
ハンデ戦なので、斤量の動きをチェックする。前走から斤量増は【1-0-1-20】勝率4.5%、複勝率9.1%と苦しい。同斤【3-3-2-45】勝率5.7%、複勝率15.1%で、斤量減が【6-7-8-65】勝率7.0%、複勝率24.4%と減った馬がいい。もちろん、ハンデ戦からハンデ戦、別定からハンデ戦など臨戦過程はそれぞれ違うので、ニュアンスとしては微妙だが、前走より評価されるのではなく、前走と対戦相手との比較を踏まえ、少し減るぐらいがいい。
また昨年3着チャックネイトのように昇級戦でハンデが軽くなるのも好材料だ。前走重賞好走馬は斤量が増えるケースが多く、この辺の取捨には役立てたい。
2500mという特殊距離で行われるので、前走距離も気にしよう。同じ2500mは【1-0-0-11】勝率、複勝率8.3%とイマイチ。レース数自体が多い距離とはいえないので、難しいが、前走が目黒記念のクロミナンスにとってイヤなデータだ。
かといって前走からの短縮組も【1-3-0-29】勝率3.0%、複勝率12.1%と機能しない。スタミナ勝負になりやすい舞台なので、短縮に期待したくなるが、2500m超の長距離となるとメンバーレベルが微妙と言わざるを得ない。
だったら、延長【8-7-11-90】勝率6.9%、複勝率22.4%だ。直近だと京都大賞典など強力メンバーが集まりやすい2400mが【4-3-5-32】勝率9.1%、複勝率27.3%。同じ特殊距離となる2200mも宝塚記念組【2-0-0-4】など、【4-2-3-22】勝率12.9%、複勝率29.0%と悪くない。
有力ローテ・京都大賞典3着のメイショウブレゲがいる、前走2400mの着順内訳を見る。1着【3-1-2-1】勝率42.9%、複勝率85.7%と比べると見劣るが、3着も【0-1-1-2】複勝率50.0%なので、メイショウブレゲを軽くは扱えない。
前走2200m組では大挙参戦予定の前走オールカマー組【2-2-1-15】勝率10.0%、複勝率25.0%に注目。なかでも4歳は【2-0-1-2】勝率40.0%、複勝率60.0%と高く、これには4着サヴォーナが合致する。
サヴォーナにとって、東京は青葉賞6着以来の出走でイメージはないが、オールカマーではスローをしっかり粘ってレーベンスティールと0秒2差。日経新春杯2着以降は阪神大賞典、天皇賞(春)と長距離を歩み、2走前函館記念はその影響から流れに乗れなかった。オールカマー4着は再浮上のきっかけともとれる。対戦相手を考えれば、距離が延びる今回は重賞制覇のチャンスだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
《関連記事》
・【競馬】重賞に強い、妙味ある騎手を東大HCが徹底検証 2~3番人気の池添謙一、芝×内枠の鮫島克駿ほか
・【競馬】芝ではキタサンブラック産駒、ルメール騎手が圧倒 東大HCが東京巧者を徹底検証
・【競馬】2023年「長距離戦」騎手リーディング 1位はルメール騎手、6位は馬券貢献度で他を圧倒
おすすめ記事