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【有馬記念】史上初の牝馬連覇へレガレイラが挑む 上昇ムード漂うダノンデサイルが待ったをかける

2025/12/21 18:00
勝木淳
過去10年のデータから見る有馬記念,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

今年も有馬記念がやってくる

今年も有馬記念がやってくる。この一年を無事に過ごし、馬券を買い続け、七転八倒、もんどりうった日々のすべてはこの日のためにあるようなものだ。有馬記念は一年間のご褒美。関係者から競馬ファンへの感謝の気持ちを込めた贈り物だと思い、最後の一週間を存分に楽しむように心がけている。

なぜドラマチック有馬といわれるほど、感動的な結末が多いのか。きっと、それは競馬関係者が送る珠玉のご馳走だから、味わいが違う。

馬券は意見の相違がなければ成立しない。つまり、感動のエンディングは全員が幸せな気分で受け入れるわけではない。それでも、馬券をはずした悔しさを奥歯で噛みしめながらも、祝福の拍手を送る。有馬記念のゴールにはそんな競馬ファンの潔さが欠かせない。

もちろん、買う前からはずれようと思って馬券を買う人はいない。だが、結果としてハズレ馬券を手にすることもありうる。それを許せる者こそが真の競馬ファン。この一年、成功したことも、上手くいかなかったこともある。

それぞれが自身の一年に思いを巡らせながら、最後に手にする一枚の馬券。それこそまさに祈り。祈りは届くことも聞き入れないことも。人生を競馬で知るのも競馬ファンだ。今年はどの馬に祈りを捧げるのか。じっくりたっぷり考えてほしい。

ここからは過去10年分のデータを使用し、今年の有馬記念を展望していく。

人気別成績,ⒸSPAIA


人気別成績では、1番人気【5-1-0-4】勝率50.0%、複勝率60.0%、2番人気【2-1-3-4】勝率20.0%、複勝率60.0%、3番人気【1-1-3-5】勝率10.0%、複勝率50.0%と上位人気はそうは崩れない。

1番人気かつファン投票1位だと【3-1-0-2】。キタサンブラック、クロノジェネシス、エフフォーリアが勝利した。ここ3年はファン投票1位の1番人気馬は出現していない。今年のファン投票で60万票超を獲得したレガレイラは史上初となる牝馬による有馬記念連覇を目指す。おそらく1番人気だろう。

人気薄の複穴は十分考えられるものの、ひと昔前のような大穴があっと驚く勝利を収める場面は減りつつある。

年齢別成績,ⒸSPAIA


近年のトレンドは年齢だ。3歳が【5-2-3-16】勝率19.2%、複勝率38.5%と勝ち馬の半数を送る。ついで4歳【3-5-1-34】勝率7.0%、複勝率20.9%、5歳【2-2-5-44】勝率3.8%、複勝率17.0%と続く。

3歳から5歳にかけて5という数字が1着から3着にきれいに移動している。今年の総決算は言い換えれば、来るべき翌年への序章でもある。世代交代もまた有馬記念を彩るテーマの一つだ。

枠番別成績,ⒸSPAIA


あまり枠番別成績を出すと、余計なミスリードをしそうなので気が引けるが、念のためデータは出しておく。3枠【2-1-1-16】勝率10.0%、複勝率20.0%など5枠までの真ん中の数字がよく、7枠【0-1-1-18】複勝率10.0%、8枠【0-2-1-17】複勝率15.0%はかなり悪い。

ここ2年はこれが強調されすぎてしまい、牝馬二冠馬スターズオンアース7番人気2着、ダービー馬シャフリヤール10番人気2着と反発を招く結果になった。ここまで人気を落としたのは外枠鬼門説によるところが大きい。優位な枠とはいえないが、これだけで評価を落とすのは危険だ。

上昇あるならダノンデサイル

連覇を狙うレガレイラに対し、宝塚記念を勝ったメイショウタバル、ジャパンC3着のダノンデサイル、皐月賞馬で天皇賞(秋)2着のミュージアムマイルなどが対抗評価に推されそうだ。

前走天皇賞(秋)・着順別成績,ⒸSPAIA


前走天皇賞(秋)は【3-2-1-12】勝率16.7%、複勝率33.3%。勝ち馬が直行すれば【2-1-0-1】勝率50.0%、複勝率75.0%。3歳馬は【2-1-0-0】。エフフォーリア、イクイノックスが21年、22年に連勝を飾った。

ミュージアムマイルはマスカレードボールに敗れ、2着に終わった事実をどう受け止めるか。中山適性は申し分ないが、2500mへの対応も気になるところだ。

前走ジャパンC・着順別成績,ⒸSPAIA


前走ジャパンCは【2-3-4-41】勝率4.0%、複勝率18.0%。こちらは3、4着に【2-1-2-3】勝率25.0%、複勝率62.5%とツボがある。東京芝2400mから中山芝2500mへの舞台転換によって、着順を少し上げてくるケースがみられる。

3着ダノンデサイルはAJCCでの際立った強さを踏まえると、コース替わりはプラスと考えていい。休み明けだったジャパンCを経て、上昇する可能性も踏まえ、有力だ。

前走菊花賞は【2-1-3-10】勝率12.5%、複勝率37.5%。ここは1着【1-0-2-2】に対し、3着【0-0-0-4】。エキサイトバイオ(除外対象)には気になるデータだが、4着【1-0-0-1】であり、3着だけが来ないというのも不思議な気がする。案外、気にしなくてもいいのではないか。出走が叶えば、穴党は狙いたくなる一頭だ。

前走エリザベス女王杯は【1-2-1-21】勝率4.0%、複勝率16.0%。1勝は昨年5着から巻き返したレガレイラによるもの。勝ち馬は【0-0-1-4】複勝率20.0%。今年はエリザベス女王杯を勝ったことがどう影響するのか。

過去10年のデータから見る有馬記念,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 伝説のグランプリホース』(ガイドワークス)に寄稿。

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