【注目2歳馬】キタサンブラック産駒エムズビギンが2戦目で初勝利 スタートと折り合いに課題残すも2馬身半差の完勝
三木俊幸

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
セレクトセールで6億4900万円
週末に撮影したレースから印象に残った馬を紹介する「注目2歳馬」。3日間開催となった11月4週目に勝ち上がった馬から、24日東京3R・芝2000mの未勝利戦を勝利したエムズビギンを取り上げる。
父キタサンブラック、母デルフィニア2。半兄には今年のシンザン記念を制したリラエンブレムがいる血統で、2024年のセレクトセールにて6億4900万円で落札されたことでデビュー前から注目を集めた。
新馬戦は菊花賞当日の芝1800m戦。スタートで出遅れ、序盤は頭を上げる仕草も見せながら5番手を追走。上がり最速33.6の末脚で伸びたが、1000m通過1:04.4という超スローペースで逃げたテルヒコウには及ばず2着という結果だった。
2戦連続で課題露呈も厩舎力に期待
中3週で東上した2戦目は、前走から馬体を10kg増やした514kgでの出走。初戦のC.ルメール騎手に替わりC.デムーロ騎手とコンビを組んだが、またしてもゲートが開いてからの反応が鈍く出遅れ。手綱を動かしてすぐさま巻き返し、中団に取り付いたものの、最初の200mを12.8で通過したところから早くも折り合いを欠く場面が見受けられた。
C.デムーロ騎手は鎧を前にして両足を伸ばしながらなだめようとするも、自然とポジションは上がっていく。前に馬を置きながらなんとか5〜6番手のインを追走していたが、直線に向くまで折り合いを欠いたままのレース運びだった。
直線に向いて外には進路がなかったため、1頭分だけスペースが開いた最内を選択したが、残り400mを過ぎたところで逃げていたセキテイリノの外に進路を切り替えると残り200mで先頭へ。見せムチで気を抜かせないように注意を払いつつ、鞍上は後続の手応えを確認するなど余裕を持ちながら2馬身半差の完勝。勝ちタイムは2:00.1で決着した。
レースのラップを見ると12.8-11.3-11.4-12.1-12.7-12.6-12.5-11.7-11.5-11.5。前半は速く、中盤は落ち着くという緩急のあるラップ構成で前半1000mが1:00.3、後半は59.8のミドルペースで、新馬戦とは真逆の持久力勝負の展開。折り合いを欠きながらも楽に勝ち切ったということから、持っている能力は高いと言える。
その一方で出遅れ、道中も終始折り合いを欠くという褒められない内容を2戦連続で露呈してしまったことは、大舞台を目指すうえでは必ず克服しなければならない課題だ。普段の調教、レース経験を積み重ねることで一歩ずつ課題を克服していけるかが今後の飛躍を占うポイントとなりそう。ポテンシャルと現状の課題を天秤にかけての評価が非常に難しいところだが、友道康夫厩舎の“厩舎力”に期待を込めて将来性は★4つとしたい。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。
《関連記事》
・コントレイルは複回148%の外枠で買い、秋以降に期待高まるインディチャンプ 2025年新種牡馬分析
・【注目2歳馬】キズナ産駒オルフセンが快勝 上がり33.6の瞬発力と馬群を割って突き抜ける好内容
・【注目2歳馬】ロードカナロア産駒ラヴェニューが5馬身差勝ち クロワデュノールに並ぶ好時計をマーク
