【注目2歳馬】ロードカナロア産駒ラヴェニューが5馬身差勝ち クロワデュノールに並ぶ好時計をマーク

三木俊幸

11月8、9日の注目2歳馬ラヴェニュー,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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半兄は重賞2勝のギベオン

週末に撮影したレースから印象に残った馬を紹介する「注目2歳馬」。11月2週目からは8日の東京5R・芝1800mの新馬戦をピックアップ。勝利したのは友道康夫厩舎所属で戸崎圭太騎手が騎乗、ロードカナロア産駒のラヴェニューだった。

母はコンテスティッドで半兄には金鯱賞、中日新聞杯を制したギベオンがいる血統。2023年のセレクトセール当歳部門にて、香港デザインズオンロームなどを所有した著名な馬主の息子であるKa Ching Cheng氏が2億2000万円で落札した。

しかし、翌年のセレクトセール1歳部門にMega Trident Holdings Ltd.を販売者として上場すると1億8700万円で売却。平田修氏名義でデビューを迎えたという珍しい経緯を持つ。


後半1000m57.2、ラストは11.3-11.2

デビュー戦の馬体重は500kg、単勝2.5倍の2番人気という支持を集めた。レースは好スタートを切ったアミナスに、単勝1.5倍と断然の支持を集めていたミラージュノワールが並びかけていき、1000m通過は1:01.1(13.3-11.7-12.2-12.3-11.6)と新馬戦としては流れる展開。3番手の外で流れに乗りつつも、3〜4角では鞍上が促す場面もあって2番手までポジションを押し上げた。

直線に向いてからの手応えは十分で、残り300mで追い出されると楽々と先頭へ。右ムチが2発入ったが、後続を突き放してゴール前100mは流す余裕がありながら5馬身差をつける完勝だった。

勝ちタイム1:46.7は、東京芝1800mの2歳新馬戦においては今年のダービー馬クロワデュノールが昨年マークした最速タイムに並ぶもの。後半1000mはクロワデュノールの57.3に対しラヴェニューは57.2、後半800mという括りでも45.6を記録。ラスト11.3-11.2と加速ラップでまとめている点も評価できる。

同じく東京芝1800mでデビュー勝ちを果たし、のちにダービー馬となった2022年タスティエーラは勝ちタイム1:47.2、後半1000m58.3だったということも比較対象にすると、GⅠ級の数字を叩き出したことになる。

馬体は素晴らしいが、実際に撮影していると迫力や凄さを感じたというよりは普通に楽勝したという印象で、ターフビジョンに表示されたタイムを見たときには少し驚いた。こちらの体感以上に楽々とすごいことをやってのけてしまう、そのギャップこそが底知れぬポテンシャルを秘めている証と言っていいだろう。

レース序盤や勝負所での促され方を見ても、現時点で距離が伸びることに関しては問題なく、来春のクラシックを狙えるだけのインパクトは残しただけに、まずはこのまま順調に成長してほしい。そして次走でもワンランク上のパフォーマンスを披露してくれることを楽しみにしたい。


11月8、9日の注目2歳馬ラヴェニュー,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


2番手追走から上がり32.9の瞬発力を披露

また同日の東京3R、芝2000m未勝利戦を制したスワーヴリチャード産駒のグリーンエナジーもなかなかインパクトある内容が目についた。

好スタートを切ったが、内からノリマルを行かせて道中は2番手を追走。1000m通過1:03.3(13.2-11.9-12.4-12.9-12.9)とスローペースで流れたこともあるが、手応え良く直線に向くと、持ったままで先頭へ。残り200m標識手前で戸崎騎手が軽くゴーサインを出しただけで一気に後続を突き放し、最後は流しながら3馬身差をつけた。

勝ちタイムは2:01.2、グリーンエナジー自身もレース上がりと同じ32.9を計測。頭の高い走法ながら後半1000mは57.9、800mでは45.3を記録したうえにラスト10.5-11.1。一見すると瞬発力が目につくが、スピードの持続力も含めた総合力の高さを見せつけた。順調にいけば、こちらもクラシック戦線に乗ってくる存在だろう。


グリーンエナジー,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。

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