【東京スポーツ杯2歳S】「前走1800m新馬組」サレジオ、ダノンヒストリーに好データ クラシック登竜門に豪華メンバー集結

勝木淳

過去10年のデータから見る東京スポーツ杯2歳S,ⒸSPAIA

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ドラマにも登場

話題のドラマのなかでも登竜門として紹介された東京スポーツ杯2歳Sはまたもクロワデュノールというダービー馬を輩出した。過去10年でみても、ワグネリアン、コントレイルに続く3頭目のダービー馬だからすごい。たまたまではない。

さらにのちに世界一の馬になるイクイノックスもこのレースを1:46.2で制した。ちなみにクロワデュノールは1:46.8。2歳11月に東京芝1800mを46秒台で駆け抜けるなら、将来は保証されたといっても過言ではない。それが登竜門だ。

ここからは過去10年分のデータを使用して今年の東京スポーツ杯2歳Sを展望する。

人気別成績,ⒸSPAIA


人気別では、1番人気【5-0-2-3】勝率50.0%、複勝率70.0%、2番人気【1-4-2-3】勝率10.0%、複勝率70.0%、3番人気はやや落ちるが、4番人気は【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%。やはりごまかし無用の東京芝1800mのGⅡとなれば、いくら2歳戦といえど、上位人気は強力だ。

18年8番人気1着ニシノデイジーの例もあるが、なかなか穴は狙いづらい。衆目一致の好素材は素直に買っておきたいところだ。

キャリア別成績,ⒸSPAIA


キャリアをみると、1戦【5-5-5-26】勝率12.2%、複勝率36.6%と馬券圏内の半数を占める。コントレイルやクロワデュノールらは新馬→重賞という流れからGⅠへと進んだ。ここを突破できれば、もうGⅠタイトルは目前だ。

2戦【3-4-4-18】勝率10.3%、複勝率37.9%、3戦【2-1-0-12】勝率13.3%、複勝率20.0%とキャリアで区切るならここまでがライン。3戦以内でないと、好走が難しいレースだ。

評価落とせないゾロアストロ

実績上位馬からは、前走サウジアラビアRC3着ゾロアストロ。新馬を勝ちたてだとサレジオ、ダノンヒストリー、テルヒコウら複数が参戦する。データ通りなら、今年も該当馬が多い1戦1勝馬は馬券に絡む可能性は高そうだ。

前走新馬1着・距離別成績,ⒸSPAIA


前走新馬勝ち組については距離を確認する。前走1800mが【5-2-2-17】勝率19.2%、複勝率34.6%と好成績。これは陣営がどの距離で競走馬としてキャリアをスタートさせるかという意図が見える数字だ。1800m超、ようは2000m【0-3-2-8】複勝率38.5%を含め、明らかに中距離戦線を歩ませるというメッセージは素直に受け取るべきだろう。

1800m組は阪神芝1800m【2-0-1-3】勝率33.3%、複勝率50.0%、東京芝1800m【2-0-0-3】勝率、複勝率40.0%が候補。母サラキアの良血サレジオ、ダノンベルーガやボンドガールの弟ダノンヒストリーなど好素材が残る。

キャリア2戦以上・前走クラス別成績,ⒸSPAIA


キャリア2戦以上は、未勝利組が【0-3-1-18】複勝率18.2%とイマイチで、GⅢ【3-0-0-9】勝率、複勝率25.0%、オープン・L【2-2-4-11】勝率10.5%、複勝率42.1%と“格の経験”が問われる。

前走サウジアラビアRC(GⅢ昇格後)は【2-0-0-0】。勝った2頭はどちらも3着以内からなので、ゾロアストロが当てはまる。前走は1番人気に支持されただけに3着はやや期待を裏切った感もある。

だが、母の母ナイトマジックはドイツオークス、バーデン大賞を勝った名牝であり、血統は申し分ない。一度の負けで評価は決して落とせない。

サウジアラビアRCは出遅れて3着。同じく出遅れたエコロアルバの大外一気にかっさらわれてしまったが、モタつきながらもしぶとく伸びた。レース経験を積み、反応が変わってくれば、距離延長でさらによさが出るだろう。

過去10年のデータから見る東京スポーツ杯2歳S,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『もう一つの引退馬伝説2 関係者が語るあの馬たちのその後』(マイクロマガジン社)に寄稿。

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