【注目2歳馬】ラスト10.8-11.3で逃げ切ったレースセンスを評価 コントレイル産駒テルヒコウ
三木俊幸

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
GLAYのボーカルTERU氏が命名
週末に撮影したレースから印象に残った馬を紹介する「注目2歳馬」。10月4週目、菊花賞当日の京都競馬場で行われる芝1800m新馬戦は出世レースとも言われ、過去にはアンライバルド、エピファネイア、ワールドプレミア、シャフリヤールなど後のGⅠホースが勝利している。今年はコントレイル産駒で坂井瑠星騎手が騎乗したテルヒコウが制した。
母ミッシングリンクも同じ小田吉男オーナーが所有し、JRAで4勝、交流重賞のTCK女王盃も制して芝ダートを問わず通算5勝の活躍をみせた。3番仔となった同馬は管理する矢作芳人調教師とも親交が深いロックバンドGLAYのボーカルを務めるTERU氏が命名。勝利後にはその話題でも注目を集めた。
1000m通過1:04.4のスローペース
2024年のセレクトセールにて6億4900万円という超高額で落札されたエムズビギンが断然人気を集めていたが、テルヒコウは3番人気という評価で馬体重486kgでの出走となった。
10頭立ての一戦はスタートを決めてじわっと先頭に立ったテルヒコウが単騎で逃げる展開。2番手にジェンティール、3番手にグラシアムヘールと隊列もすんなりと落ち着いたこともあって、馬群は一団。1000m通過は1:04.4(13.4-12.1-12.6-13.1-13.2)とスローペースで流れる。
楽な手応えのまま、勝負所の坂を下りながら12.4-11.6と徐々にペースアップ。直線に向くと後続との差を広げていき、後続を全く寄せ付けず2馬身半差で逃げ切り。勝ちタイムは1:50.5、ペースが遅かったとはいえラストは10.8-11.3としっかりとした末脚も披露し、ゴール前まで力強さも感じた。
前日夕方から夜にかけて17.5mmの雨量を計測した影響で馬場発表は稍重ながら、このレースの時点では回復傾向にあったのに加え、先行勢が残りやすい馬場状態のなかで今回は瞬発力が際立つ内容だったが、器用さもあって実戦に行っての良さも垣間見ることができた。今後はレースセンスを武器に、コーナー4つのコース形態でさらに良さが発揮されそうだ。
スタートで出遅れ、序盤は頭を上げる仕草も覗かせながら5番手追走となったエムズビギンも、テルヒコウを0.1秒上回る上がり最速33.6の末脚で前を追ったが、逃げて10.8-11.3でまとめられてはどうしようもないという展開となってしまった。鞍上のC.ルメール騎手も大事に乗ったという印象、若さも覗かせたが次走に繋がるレース内容と言えるだろう。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
ラスト11.3-11.2を差し切ったアドマイヤクワッズ
最後に、休載してしまった前週の開催で目に付いた注目馬として、18日の東京5Rに組まれた芝1600m新馬戦を制したアドマイヤクワッズについても触れておきたい。
父はリアルスティール、母デイトラインという血統で2024年セレクトセールにて7260万円で落札。当日の馬体重472kgと均整のとれた馬体で1番人気に推されての出走だった。
スタート自体は速くなかったが、鞍上の坂井瑠星騎手が軽く促して中団9番手の外を追走する。隊列は比較的固まっていたものの、前半800mまで12.7-11.3-11.9-12.0(47.9)というペースで流れた。
直線に向いて各馬が横に広がり、残り200mを切ったところで2番手から運んだスペルーチェの押し切り濃厚かと思われたところ、大外から突き抜けて3/4馬身差をつけた。
勝ちタイム1:34.1も優秀で、ラスト11.3-11.2と加速ラップで2着スペルーチェ、3着は逃げたハニージョーと先行勢が残る展開のなかで差し切った点からも能力は高い。
レース前半は鞍上に促されつつというレースだったことからも、もう少し距離が延びても対応はできそうだが、同じ友道康夫厩舎からマイルGⅠを制したアドマイヤマーズ、アドマイヤズームのようにマイル路線での活躍を期待したい。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。
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