【注目2歳馬】直線モタつき後退もラスト150mで非凡な瞬発力を発揮 キズナ産駒アローメタル
三木俊幸

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
母はアメリカ牝馬三冠で3着好走
週末に撮影したレースから印象に残った馬を紹介する「注目2歳馬」。11月1週目の土曜日はゴールデンイーグルなどが行われたシドニー・ロイヤルランドウィック競馬場へと向かい、そのまま深夜便で帰国。日曜日は天皇賞(秋)が行われる東京競馬場というスケジュールを組んだ。そうした関係上、JRAでの撮影は日曜日のみで、今回は東京5Rに組まれた芝2000m新馬戦を制したアローメタルを取り上げる。
父キズナ、母のミスベジルは重賞勝利こそないものの2014年にアメリカの牝馬三冠、CCAオークスとアラバマSでともに3着に入着した実績がある。Into Mischief産駒の半兄ルディックはJRAダート路線で3勝、American Pharoah産駒のタイセイドラードは京都ダート1800mの新馬戦で後続に1.9秒の大差をつけて勝利を挙げている。
シルクレーシングにて総額8000万円(一口16万円)で募集、木村哲也厩舎所属となったアローメタルは馬体重508kgでC.ルメール騎手を背にデビューを迎え、単勝1.3倍の支持を集めた。
道中は3〜4番手のインを追走
9頭立てとなったレースはアレステリオスがハナを奪い、2角でやや行きたがる素振りもあったツインドライヴが2番手を追走する形で落ち着く。
13.2-12.0-12.6-13.4-13.2とペースは落ち着き、1000m通過が1:04.4。バランスを崩しかけながらスタートを切ったアローメタルは3〜4番手のインを追走した。
直線に向いてからは残り400m手前でスペースがあまりなかったところ、ツインドライヴに進路を阻まれ、その後もオメガディコンに被されて行き場を無くす苦しい展開に。
しかし、残り200mを切ったところで進路が開き、外にいたアドマイヤフクと馬体を併せる形になってからは騎手のムチに反応してエンジン点火。先に抜け出して勝ちパターンに持ち込んだオメガディコンを一気に捉えて1馬身差をつけた。
勝ちタイムは2:03.6で、高速決着が多い馬場状態ながらペースが遅かったこともあり平凡な決着。ラストも11.0-11.4と減速しながらの差し切りだったが、並の馬ならそのまま伸びを欠いて敗れるというシーンが想像できるところ、残り150mからは非凡な瞬発力を発揮した。
胴長の体型でまだ太め感も残る馬体という印象。追い出されてからの反応も決して速いタイプではなく、少しモタつくところもあっただけに、更なる距離延長もプラスに働きそう。このまま順調に行けば、重賞戦線で活躍が期待できそうなポテンシャルは示したと言えるだろう。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
勝ちタイム1:33.6、ラスト11.4-11.3でまとめる
一つ前の4Rに組まれた牝馬限定の芝1600m新馬戦も、シルクレーシングの勝負服にルメール騎手騎乗のモーリス産駒・モートンアイランドが勝利した。
母はモシーン、半姉には東京新聞杯など重賞3勝をあげたプリモシーンがいる良血。好スタートを切るも12.4-10.7-11.4-12.3(46.8)と新馬戦としては流れる展開となり、道中は7番手を追走する。
直線はうまく捌いて内から4頭目のラインから伸び、後続に1馬身半差。馬体重430kgと小柄な馬体ながらピッチ走法で立ち回りの巧さを見せるとともに、ラストは11.4-11.3の加速ラップでまとめた。
時計の出やすいコンディションながら、新馬戦で勝ちタイム1:33.6は好タイム。1400〜1600m路線でこちらも活躍が期待できそうなインパクトある走りだった。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。
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