【エリザベス女王杯】レガレイラが不動の中心 札幌記念2着ココナッツブラウンも有力

勝木淳

過去10年のデータから見るエリザベス女王杯,ⒸSPAIA

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秋の牝馬は難しい

いよいよ京都の秋は2週連続GⅠ開催。5回開催のピークを迎える。

近年、牝馬の超A級は牡馬とともに東京、中山の中長距離GⅠへ進むケースも目立つが、かつてはホクトベガ、ヒシアマゾン、メジロドーベル、アドマイヤグルーヴ、ダイワスカーレットと勝ち馬に名牝がズラリと並ぶ。

今年はGⅠ・2勝馬レガレイラが参戦。どちらも牡馬相手に勝っており、牝馬限定GⅠのタイトルがない珍しい経歴の持ち主でもある。オールカマーを完勝しここに駒を進め、さらにその先に挑戦するであろう有馬記念連覇まで目を離せない。データは阪神開催も含めた過去10年分を使用する。

人気別成績,ⒸSPAIA


牝馬限定戦の難しさは1番人気【2-1-2-5】勝率20.0%、複勝率50.0%や2番人気【0-0-2-8】複勝率20.0%にあらわれている。必ずしも主役がそれに違わぬ結果を残すとは限らない。なんらかの要因で力を出し切れないという状況を、戦前に予想するのは難しい。

一方で3番人気は【4-0-3-3】勝率40.0%、複勝率70.0%と好成績。主役のなかでも一歩下がったところに勝ち馬がいる可能性は高い。

また、5番人気【1-3-0-6】勝率10.0%、複勝率40.0%のほか、9番人気【0-2-1-7】複勝率30.0%や10番人気以下【1-3-0-77】勝率1.2%、複勝率4.9%など伏兵激走もある。

年齢別成績,ⒸSPAIA


3歳【2-2-3-22】勝率6.9%、複勝率24.1%と4歳【6-5-5-48】勝率9.4%、複勝率25.0%に加え、5歳【2-3-1-57】勝率3.2%、複勝率9.5%と年齢別ではこの3世代が中心。特に4歳の成績がいい。

6歳は【0-1-0-10】複勝率9.1%なので、やはり牝馬のレースは年齢が基準の一つになる。

レガレイラとココナッツブラウンの共通点

その4歳はレガレイラ、前哨戦を勝ったラヴァンダ、春に連勝したセキトバイースト、GⅠ馬ステレンボッシュにアドマイヤマツリ。そして秋の京都でオープン勝ちを決めたオーロラエックスと多士済々。秋華賞組との力関係もカギになる。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走GⅠ【1-2-5-18】勝率3.8%、複勝率30.8%は前走秋華賞が【1-2-2-16】勝率4.8%、複勝率23.8%で、このうち1、2着【0-0-0-8】に対して3着【1-0-1-2】勝率25.0%、複勝率50.0%となっている。

今年は3着パラディレーヌが浮上するほか、6着以下も【0-2-1-4】なので11着ケリフレッドアスクも消せない。一方、秋華賞の流れを支配して2着に入ったエリカエクスプレスはマークされる立場になり、連続好走は難しいかもしれない。

前走GⅡ・条件別成績,ⒸSPAIA


前走GⅡ【8-8-2-66】勝率9.5%、複勝率30.8%は前哨戦の牝馬限定重賞が大半であり、牝馬限定戦【5-6-1-43】勝率9.1%、複勝率21.8%は当然といえば当然か。

一方で、前走であえて牡馬混合のGⅡに出走した馬も【3-2-1-23】勝率10.3%、複勝率20.7%となる。この中では京都大賞典が【0-0-0-9】なので、3着とはいえヴェルミセルには疑問符がつく。

だが、ここを除くと【3-2-1-14】勝率15.0%、複勝率30.0%と確率が変わり、印象も変わってくる。内訳は前走オールカマー【2-1-0-13】勝率12.5%、複勝率18.8%と札幌記念【1-1-1-1】勝率25.0%、複勝率75.0%だ。

これらすべてひっくるめて、前走牡馬混合GⅡ3着以内と見ると【2-2-1-6】。6着以下は【0-0-0-5】なので、牡馬相手に互角の戦いを演じた事実を重くみたい。今年は札幌記念2着ココナッツブラウンと、オールカマーを勝ったレガレイラを有力視したい。

前走牝馬限定GⅡ・着順別成績,ⒸSPAIA


前走牝馬限定GⅡ組も同じように着順の傾向をとる。やはり基準は好走馬であり、ひと桁着順までは好走馬を出した。

確率では5着以内【4-5-1-20】勝率13.3%、複勝率33.3%を候補とすると、アイルランドトロフィーから1着ラヴァンダ、3着カナテープ、4着ライラックが残る。

過去10年のデータから見るエリザベス女王杯,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『もう一つの引退馬伝説2 関係者が語るあの馬たちのその後』(マイクロマガジン社)に寄稿。

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