川田将雅騎手が中距離で無双状態、武豊騎手は重賞で複回128% 現役最高の京都巧者を種牡馬、騎手ごとに徹底検証
東大ホースメンクラブ

ⒸSPAIA
秋の京都開催がスタート
先週から京都開催がスタート。今年の秋も11月末までのロングラン開催を予定しており、三冠最終戦の秋華賞や菊花賞のほか、エリザベス女王杯にマイルチャンピオンシップと計4つのGⅠが開催される。
今週末は3日間開催の最後を締めくくるスワンステークス(GⅡ)が行われる。のちの皐月賞馬ミュージアムマイルを破って朝日杯フューチュリティステークスを勝利したアドマイヤズームや、1400m重賞を3勝しているウインマーベル、3勝クラスを3馬身半差で圧勝してきたワールズエンドなど楽しみなメンバーが揃った。
予想する上で、ポイントになるのが“京都適性”。かつてはマイルCSから天皇賞(春)まで、京都で開催される重賞なら距離など関係なしに馬券に絡んだトーセンラーなど、特徴的な淀の舞台を得意とする「京都巧者」は数多く存在する。
そこで今回は、種牡馬や騎手の京都適性を徹底検証。ここでは京都での勝率から全場での勝率を引いたものを「京都巧者率」と定義し、この数値に基づいて得意・不得意を議論してゆく。なお、参照するデータは京都競馬場改修後の2023年4月22日〜2025年10月5日とする。
芝の巧者率トップは荻野極騎手

この章では、京都芝を得意とする騎手を紹介する。
■荻野極騎手
・巧者率:13.6%-8.3%=5.3%
京都での勝率31.7%を誇る川田将雅騎手をおさえ、巧者率は5.3%をマーク。なかでも短距離~マイルでの信頼度が高く、1600mは【2-0-0-6】単回収率216%、1200mでも【1-1-0-4】単回収率158%とプラスを叩き出している。
また、京都で挙げた6勝中5勝が逃げ・先行であり、前走4コーナー5番手以内の馬に騎乗した際は【4-1-1-13】勝率21.1%、単回収率161%とベタ買いでプラスだ。
■川田将雅騎手
・巧者率:31.7%-28.1%=3.6%
特に素晴らしいのが1600m〜2200mのレンジ。成績は下記の通り。
1600m【18-9-6-16】勝率36.7%、単回収率114%
1800m【16-4-2-16】勝率42.1%、単回収率117%
2000m【18-10-6-10】勝率40.9%、単回収率115%
2200m【6-3-5-4】勝率33.3%、単回収率149%
すべて勝率30%オーバーで、単回収率も100%オーバーという無双状態だ。
一方で、1400m以下【2-3-2-30】勝率5.4%、単回収率18%や2400m以上【3-0-2-8】勝率23.1%、単回収率32%など、上述した範囲から外れると成績がガクッと落ちる。短距離戦や長距離戦での過信は禁物だが、マイル~中距離での信頼度は抜群に高いと覚えておこう。
■武豊騎手
・巧者率:16.1%-13.6%=2.5%
淀と言えばこの人!というイメージも強いレジェンド。なかでも内枠に入った時は狙い目で、1〜3枠では【11-8-5-27】勝率21.6%、単回収率107%と妙味十分だ。
また、大舞台での強さも光り、重賞で【2-3-3-19】複勝率29.6%、複回収率128%とプラス域をマークしている点も見逃せない。
逃げ先行のイスラボニータに注目

この章では、京都芝を得意とする種牡馬を紹介する。
■エイシンヒカリ
・巧者率:16.7%-5.3%=11.4%
代表産駒に京都の短距離OP2勝、重賞でも3度馬券に絡んだエイシンスポッターがいる。産駒の距離別成績も下記の通り特徴的だ。
1600m【0-2-0-3】複勝率40.0%、複回収率154%
1400m【2-1-0-4】複勝率42.9%、複回収率124%
1200m【2-1-2-4】複勝率55.6%、複回収率142%
エイシンスポッターのイメージ通り短距離で活躍する産駒が目立ち、距離が短ければ短いほど複勝率は上がっていく。回収率もプラス域で、見かけたら積極的に狙っていきたい。
■イスラボニータ
・巧者率:16.8%-8.6%=8.2%
代表産駒には重賞2勝のヤマニンサルバムや、京都開催の2024年米子ステークスを勝利し、その勢いで関屋記念も制したトゥードジボンなどがいる。
こちらの狙い目は1600mと1800mで、1600mでは【8-2-1-19】単回収率230%、1800mでは【1-1-2-6】複回収率145%と妙味十分だ。
また、活躍馬は逃げ先行に集中しており、前走4コーナー3番手以内の馬は【8-2-3-12】で勝率32.0%、単回収率141%とベタ買いするだけでプラスになる。「逃げ先行のイスラボニータ」で覚えておこう。
■リアルインパクト
・巧者率:12.8-7.4%=5.4%
代表産駒にはNHKマイルカップ勝ち馬ラウダシオンや、葵ステークスをロケットスタートから逃げ切ったモズメイメイなどがいる。
こちらは外枠が狙い目で、6〜8枠なら【4-1-2-19】勝率15.4%、単回収率435%を記録している。
和田竜二騎手は内枠で狙い

この章では、京都ダートを得意とする騎手を紹介する。
■坂井瑠星騎手
・巧者率:23.4%-18.8%=4.6%
巧者率は騎手別ダントツ。特に逃げ先行策を取った際の強さは圧倒的で、逃げが勝率46.5%で単回収率173%、先行では勝率29.9%、単回収率103%を記録している。
当然、狙いは前に行ける馬。前走4コーナー3番手以内の馬に騎乗した際は【34-19-7-60】勝率28.3%、単回収率100%となっている。
■松山弘平騎手
・巧者率:17.1%-15.2%=1.9%
特にダート1200m戦を得意としており、その成績は【11-11-8-39】で勝率15.9%、単回収率125%とベタ買いでプラスだ。
こちらも逃げ先行策を得意としており、前に行ける馬で買っておけば間違いない。前走4コーナー3番手以内の馬に騎乗時は【28-22-14-73】勝率20.4%、単回収率104%とプラス域をマークしている。
■和田竜二騎手
・巧者率:6.7%-4.9%=1.8%
なかでも内枠での成績が良く、1〜2枠では【7-6-5-45】勝率11.1%、単回収率151%の好成績となっている。
また、距離は長ければ長いほど良いタイプで、内枠×1800mは【4-2-3-19】勝率14.3%、単回収率135%を誇り、1900mに至っては【1-3-0-0】複勝率100.0%、複回収率305%と無双状態だ。
二刀流リアルインパクト

この章では、京都ダートを得意とする種牡馬を紹介する。
■リアルインパクト
・巧者率:14.1%-7.6%=6.5%
芝でもダートでも高い巧者率を記録する真の「京都巧者」である。
活躍馬が牝馬に集中しているのが大きな特徴で、牡馬の【3-1-2-34】勝率7.5%、単回収率19%に対して牝馬は【7-0-4-20】勝率22.6%、単回収率151%と大きな差がある点は要注意だ。
■モーニン
・巧者率:11.5%-7.6%=3.9%
京都ダートは全体成績も複勝率32.8%、複回収率156%となっており、見かけたら紐に入れておいて損はない。
距離を見ると1200m〜1900mまで幅広く好走馬を出しているが、とくに狙い目なのがダート1400m【3-4-3-21】で、複勝率32.3%に複回収率も139%となっている。
■シニスターミニスター
・巧者率:14.6%-10.8%=3.8%
京都ダートでは2位のドレフォンに10勝以上の差をつける48勝を挙げており、単回収率123%、複回収率103%と妙味の面でも優秀だ。
特に1800mでは【26-21-7-82】単回収率130%、複回収率133%と単複ともにプラス。また、2歳戦も【8-8-5-20】複勝率51.2%と得意。複回収率も140%を記録している。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をも大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
《関連記事》
・東京芝はルメール騎手以外に池添謙一騎手も狙い目 騎手、種牡馬の府中巧者を徹底検証
・コントレイルは複回148%の外枠で買い、秋以降に期待高まるインディチャンプ 2025年新種牡馬分析
・【スワンS】直近3年“3番人気以内全滅”の波乱傾向 京都巧者の伏兵で高配当ゲットだ
