芝はルメール騎手以外に池添謙一騎手も狙い目 騎手、種牡馬の東京巧者を徹底検証
東大ホースメンクラブ

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東京開催がスタート
今週からいよいよ東京開催がスタート。開幕週からいきなり2日連続でトライアル重賞が開催されるという豪華なラインナップだ。
オークストライアルのフローラSや今年から1週前倒しになったダービートライアルの青葉賞。この2レースには、右回りで小回りの中山開催をあえてパスし、左回りで大箱の東京開催に照準を合わせてきた東京巧者たちが多くそろった。
そこで今回は、種牡馬や騎手の府中適性をデータで徹底検証。ここでは東京コースでの勝率から全場での勝率を引いたものを「東京巧者率」と定義し、この数値に基づいて各種牡馬や騎手の東京コースに対する得意、不得意を議論していく(データは2022年4月23日から2025年4月20日までの過去3年のものを使用する)。
東京巧者の「新星」サートゥルナーリア

まずは、種牡馬別に芝コースの東京巧者率について分析する。今回は過去3年の東京競馬場での芝の勝ち数がトップ30以内の種牡馬たちが調査対象だ。
■サートゥルナーリア
巧者率はなんと21.9%-13.3%=8.6%。東京コースでの勝率は20%オーバーとスペシャリストっぷりを遺憾無く発揮している。昨年が初年度産駒デビューということでデータ数は少ないが、東京の重賞では【0-0-2-2】複勝率50.0%、複回収率115%となかなかの好成績だ。
また、東京では牡馬が複勝率33.3%、複回収率39%である一方、牝馬は複勝率42.9%、複回収率105%とプラス域をマークしている。牝馬を中心に狙っていきたい。
■スワーヴリチャード
こちらも巧者率は17.5%-10.7%=6.8%となかなかの数字だ。東京コースの中でも芝1800mと2000mの成績が頭一つ抜けており、ここが狙い目。東京芝1800m【3-1-4-9】単回収率147%、複回収率178%、東京芝2000m【3-1-2-3】単回収率125%、複回収率204%と妙味たっぷり。府中の中距離で同産駒はまさに金脈と言っていいだろう。
■イスラボニータ
意外にも巧者率は14.5%-9.0%=5.5%と高い。1600m以下は【20-16-9-82】で単回収率309%、複回収率112%と短距離やマイルで大暴れ。イスラボニータ自身には東京巧者のイメージがあまりなく、そのギャップが妙味を生んでいるようだ。
■ロジャーバローズ
巧者率は10.3%-5.8%=4.5%とこちらも良好。上級条件でこそ輝く産駒が多く、3勝クラス以上では【1-3-1-4】複回収率164%。厳しいペースの方が合っているのだろう。父同様に重賞で大波乱を演出する産駒が現れてもおかしくない。
ここからは巧者率がマイナス、すなわち東京コースを苦手としている種牡馬も紹介する。
大物どころではキズナが該当。巧者率は8.7%-11.6%=-2.9%だった。その他、ゴールドシップが4.0%-6.4%=-2.4%、サトノダイヤモンドが6.1%-8.7%=-2.6%、グレーターロンドンが9.9%-13.5%=-3.6%とマイナスの巧者率を記録している。
今週の重賞では青葉賞にロジャーバローズ産駒のマテンロウバローズ、フローラSにはサートゥルナーリア産駒のエストゥペンダが出走予定。一方で、フローラSにはマイナスの巧者率を記録したキズナ産駒が5頭出走する点も覚えておきたい。
芝1800m以上なら池添謙一騎手に注目

次は、騎手別に芝コースの東京巧者率について分析する。こちらも過去3年の東京競馬場での芝の勝ち数がトップ30以内の騎手たちが調査対象だ。
■C.ルメール騎手
東京競馬場はやっぱりこの人の庭! 巧者率は30.0%-25.6%=4.4%をマークしている。東京芝での勝率はなんと30.0%、府中で同騎手に逆らい続けるのはあまりにも厳しい。
重賞でも【13-9-10-25】複勝率56.1%、複回収率90%。なかでも府中の重賞で3番人気の時の成績が抜群で、【4-2-0-2】単回収率252%、複回収率141%と大幅にプラスだ。
■池添謙一騎手
豪雨の中、オルフェーヴルで二冠を達成した日本ダービーやグランアレグリアでアーモンドアイを負かした安田記念など、府中での印象的なGⅠ勝ちも多い。実績は中距離以上に集中していて、芝1800m以上では【6-1-3-17】で単回収率184%、複回収率114%と狙い目だ。
川田将雅騎手は19.3%-27.5%=-8.2%と巧者率がマイナスに。勝率19.3%も十分高いのだが、他と比べると信頼度はグッと落ちることは頭に入れておきたい。また、武豊騎手も同様に5.1%-12.6%=-7.5%と巧者率がマイナスになっている。
ルメール騎手は青葉賞でエネルジコ、フローラSでヴァルキリーバースに騎乗予定。池添騎手はフローラSでルクスジニアに騎乗する予定となっている。
ダートでもキタサンブラック!

ここからはダート編。ここでは種牡馬別にダートコースの東京巧者率について分析する。こちらも過去3年の東京競馬場でのダートの勝ち数がトップ30以内の種牡馬たちが調査対象だ。
■キタサンブラック
意外にもトップは、芝で多数の活躍馬を出している同産駒。巧者率は16.9%-11.6%=5.3%だった。
最も得意としているのが東京マイル。【6-3-7-12】で勝率21.4%、複勝率57.1%と素晴らしい安定感だ。妙味の面でも複回収率127%となっており、見かけたら紐に入れておいて損はない。
■ニューイヤーズデイ
東京巧者率は17.6%-12.8%=4.8%と高水準。東京ダートでの単回収率は307%となっており、見かけたら単勝ベタ買いでOK。東京で挙げた16勝のうち10勝は未勝利戦だった。この条件では【10-0-3-31】勝率22.7%、単回収率524%とさらに数字を上げる。
■リアルスティール
巧者率は14.0%-9.8%=4.2%となかなか高い。狙い所はダート2100m。【7-5-0-11】で勝率30.4%、単回収率173%、複回収率113%と素晴らしい成績を残している。連対率も52.2%で単系、連系どちらの馬券でも入れておきたい。
■ロードカナロア
先日のフェブラリーSでは産駒のコスタノヴァが制した。巧者率は12.3%-9.1%=3.2%と良好。前目につければしぶとい馬が多く、前走4コーナーで3番手以内だった馬は【10-6-7-28】で複勝率45.1%、複回収率116%とプラス域。とにかくポジションを取れる馬を探そう。
一方、シニスターミニスターは巧者率7.8%-11.7%=-3.9%とマイナスを記録。その他、キズナも巧者率7.6%-11.3%=-3.7%となっており、東京を苦手としているようだ。
横山典弘騎手の明確な買い時

ここでは騎手別にダートコースの東京巧者率について分析する。こちらも過去3年の東京競馬場でのダートの勝ち数がトップ30以内の騎手たちが調査対象だ。
■横山典弘騎手
最も東京巧者率が高く、17.6%-11.4%=6.2%となっている。単回収率118%、複回収率118%と妙味たっぷり。買うべき馬と買うべきでない馬を見分ける明確なポイントがある。それは、前走も横山典弘騎手が騎乗していたか否か。継続騎乗だった場合は【9-3-3-19】で勝率26.5%、単回収率184%まで成績がアップする。じっくり馬を教育することに定評のある同騎手らしいデータだ。
■原優介騎手
巧者率は5.8%-4.7%=1.1%で、狙い目は断然東京ダート1400m。【9-5-1-105】勝率7.5%、単勝回収率171%と妙味抜群だ。
東京ダ1400m×1~5枠なら【8-1-1-64】勝率10.8%、単回収率273%で、内~中枠に入ると信頼度、妙味ともにグンとアップ。
一方、東京ダ1400m×6~8枠では【1-4-0-41】勝率2.2%、単回収率7%と不振。外枠は割引く必要がある。
岩田望来騎手は巧者率9.0%-12.0%=-3.0%。坂井瑠星騎手も巧者率13.2%-16.3%=-3.1%となっており、関西の有望な若手が東京ダートの攻略に苦戦していることが読み取れる。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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