【注目2歳馬】イクイノックスの全妹・超良血イクシード 上がり33.4の瞬発力で豪快に差し切る

三木俊幸

10月11~13日の注目2歳馬イクシード,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

単勝1.7倍の支持を集める

週末に撮影したレースから印象に残った馬を紹介する「注目2歳馬」。3日間開催の中日にあたる12日の東京競馬場はクロワデュノールの全弟・チャリングクロスの勝利や、白毛のスーホがデビューするなど話題が多い一日となったが、それらを上回るインパクトを残したのは5R・芝2000m新馬戦を制したイクシードだった。

父キタサンブラック、母シャトーブランシュという血統。GⅠ・6勝、2022〜2023年の年度代表馬にして2023年のワールドベストレースホースランキング1位にも輝いたイクイノックスの全妹という超良血で、美浦・木村哲也所属、馬主も兄と同じシルクレーシングで総額1億円(一口20万円)で募集された。

兄を超えるような活躍を願い、C.ルメール騎手を背に迎えたデビュー戦。単勝1.7倍という支持を集め、パドックでは落ち着いた周回を重ねている点は好感を持った。


道中は後方4番手を追走

12頭立てのレースはエンジェルボイスが逃げる展開。最初の200mまでの入りは13.0とゆったりしていたが、その後は11.9-12.0-12.1-12.4というラップで流れ、前半1000m通過を1:01.4で通過する。

ゲートが開いてからの反応も遅く、大外枠のスタートから外に膨れる面もみせたイクシードは後方4番手というポジションから運んだ。レース後半に入っても12.4-12.3とペースは変わらなかったが、4角では1つポジションをあげつつ大外を回して直線へ。残り400m標識あたりからルメール騎手のゴーサインが出た。

好位追走からロスなく立ち回った人気の一角モンシークも内にモタれながら一旦先頭に立ったが、残り50mで交わし去ると1馬身半差をつける快勝。レース上がり11.5-11.4-11.2(34.1)の加速ラップでモンシークが勝利しても不思議ではないところ、自身は上がり33.4の瞬発力を披露した。見ている側もさすが良血と思わせる末脚だったが、騎乗したルメール騎手もゴール手前から首筋をポンポンと叩く仕草があり、今後に向けて手応えを感じたことだろう。

前日に3.0mm、当日も朝までに0.5mmの雨が降った影響は全く感じさせない高速馬場ながら、勝ちタイムは東京芝2000mの2歳新馬戦としては最も速い2:00.2を記録。3Rに行われた同距離の2歳未勝利戦ではチャリングクロスが2:00.0で勝利しているように数字ほどずば抜けているものではないが、初戦から速いタイムで走り切ったことは評価していい。

イクイノックスも2歳秋に東京スポーツ杯2歳Sを勝利したあとは、3歳春の皐月賞まで間隔をとるローテーションだったように、体質の弱さも抱えて若い時期の成長曲線は緩やかだった。

イクシードも直線で何度も手前を替えながら走っていたことや馬体重472kgながら数字以上に線が細くみえた点からも、ゆっくりと成長を促しながらレースを重ねていく必要はあるが、2000〜2400mあたりの中距離路線で飛躍が期待できそうだ。


10月11~13日の注目2歳馬イクシード,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。

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