【秋華賞】狙うべきは桜花賞馬か、オークス馬か 直接対決は互角も好走率で明暗くっきり

東大ホースメンクラブ

秋華賞の桜花賞馬とオークス馬の成績(二冠馬除く),ⒸSPAIA

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最後の一冠を手にするのは

今週末は京都芝2000mで秋華賞(GⅠ)が開催される。牝馬三冠路線の終着点。最後の一冠を目指して桜花賞馬エンブロイダリー、オークス馬カムニャックといったGⅠホースのほか、桜花賞で1番人気の支持を受けた素質馬エリカエクスプレス、さらには新興勢力としてエフフォーリアの全妹ジョスランなど、楽しみなメンバーが揃った。

なかでも注目を集めるのは、やはり桜花賞馬エンブロイダリーとオークス馬カムニャックの直接対決だろう。桜花賞より400m長く、オークスよりも400m短いこの舞台ではどちらが強いのか。秋華賞を予想する上で避けて通ることができないテーマである。

そこで今回は「桜花賞馬vsオークス馬」をテーマに徹底検証。過去に12回あった直接対決や、これまでの桜花賞馬とオークス馬の成績(※二冠馬除く/集計期間:1996~2024年)をもとに、エンブロイダリーとカムニャックのどちらを重視すべきなのかを分析していく。


見事なまでの“3分割”

桜花賞馬vsオークス馬の対決結果,ⒸSPAIA


秋華賞が創設された1996年から昨年まで、秋華賞で「桜花賞馬vsオークス馬」の直接対決が実現したのは上記の計12回だった。なお、2010年に関してはオークス馬が1着同着となり、オークス馬はアパパネとサンテミリオンの2頭となっているが、アパパネは桜花賞馬でもあるため、今回は桜花賞馬アパパネとオークス馬サンテミリオンの対決として集計している。

結果を比較してみると、実は桜花賞馬4勝、オークス馬も4勝、その他の馬も4勝と見事なまでに割れた。勝敗に限れば、桜花賞馬とオークス馬は完全な互角となっている。

また、3回に1回は“第三勢力”の馬が勝利しているという点も見逃せない。一冠目、二冠目と異なる馬が制しているということは、その世代に抜けた力を持つ馬がいないことの証左であり、夏の上がり馬や春クラシック惜敗組などにもチャンスが生じたということだろう。


軸に最適なのは?

秋華賞 桜花賞馬・オークス馬の成績,ⒸSPAIA


直接対決では互角だった桜花賞馬とオークス馬。では、今回買うべきはエンブロイダリーなのか、それともカムニャックなのか。直接対決が実現しなかった際の桜花賞馬やオークス馬(※二冠馬は除く)まで範囲を広げて分析する。

まずは桜花賞馬について。複勝率は40.0%とまずまずであるが、単回収率54%に複回収率48%と妙味の面ではイマイチだ。

また、桜花賞馬のうちオークスでも馬券内に好走していた馬は勝率40.0%、複勝率60.0%で単回収率も106%と好成績だが、馬券外に敗れていた馬は【0-1-0-6】で馬券に絡んだのはキョウエイマーチ(1997年2着)のみ。やはり秋華賞においてオークスでの成績は非常に重要であり、オークスでは9着に敗れたエンブロイダリーは厳しい戦いを強いられることになりそうだ。

次にオークス馬について。やはり勝率、連対率、複勝率の全てで桜花賞馬を上回り、単回収率98%、複回収率63%と妙味の面でも優秀である。

基本的に、秋華賞では桜花賞馬よりもオークス馬を狙うべき。とはいえ気になる点もある。今年のオークス馬カムニャックは、近年のトレンドであるオークスからの直行ではなく、ローズステークス→秋華賞というローテーションを選択した。

オークス馬(※二冠馬除く)がローズSを使ってから秋華賞に出走した際の成績は【2-1-0-3】。さらにローズSで馬券に絡んだ馬は【1-1-0-0】と連対を外していない。これらのデータから、カムニャックは軸に最適と言える。


秋華賞の桜花賞馬とオークス馬の成績(二冠馬除く),ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
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約30年にわたる伝統をも大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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