【秋華賞】桜花賞馬エンブロイダリーは消し ハイブリッド式消去法

久保田大五郎

秋華賞(過去10年)『前走5着以下』×『同年GⅡ、GⅠで連対歴なし』,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

5つのデータから絞れた馬は?

今週は牝馬三冠の最終戦・秋華賞が行われる。桜花賞馬エンブロイダリー、オークス馬カムニャックが春二戦の中間距離にあたる京都芝2000mで激突する。

いつも通り過去10年のデータを用いて、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップ。当てはまった馬を消していく。登録馬のうち、1/4抽選対象馬(*)まで含めた21頭を対象として進める。

『前走5着以下』×『同年GⅡ、GⅠで連対歴なし』★0.0%★

まずはいつも通り、前走成績が悪かった馬から消去していく。前走5着以下だった馬は【0-2-1-60】複勝率4.8%と苦戦している。

好走した3頭はクイーンズリング(フィリーズR1着)、パールコード(フローラS2着)、モズカッチャン(フローラS1着、オークス2着)で、「同年GⅡ以上で連対した馬」という共通項がある。言い方を変えれば「前走5着以下で、同年GⅡかGⅠでの連対がない馬」は【0-0-0-46】と全滅だった。

今年は以下の7頭が該当する。フェアリーS勝ち馬エリカエクスプレスは得意の中山マイルで見せ場なく敗れた前走が物足りない。逆にパラディレーヌのローズS8着は出遅れや直線詰まるロスがあり見直せる内容だが、データに従い消しとする。

【今年の該当馬】
・エリカエクスプレス
・パラディレーヌ
・ブラウンラチェット
・ランフォーヴァウ
・ルージュソリテール
・レーゼドラマ
・ヴーレヴー

『同年オークス6着以下』×『キャリア7戦以上』★2.6%★

次はオークスの結果からこの秋華賞を占っていく。オークスの着順別に秋華賞成績を見ると、5着以内馬【9-4-4-15】複勝率53.1%に対し、同6着以下だと【0-2-3-56】同8.2%。オークスで掲示板を確保した馬はそのまま信頼できるが、大きく負けた馬の巻き返しはかなり少ない。

特に秋華賞を迎えた時点でキャリア7戦以上を消化していた馬は【0-0-1-37】同2.6%と極めて低調だった。早期からコンスタントに使われてオークスで底を見せてしまった3歳牝馬が、秋に息を吹き返す例はほとんど見られない。

ここでエンブロイダリーが脱落する。オークスでは道中引っかかるシーンがあり、いかにも距離が長そうだった。今回2ハロン短くなることは歓迎だが、父アドマイヤマーズの血統面からしても、本質的にはやはりマイルが理想。2000mでも若干長いだろう。疑う余地はある。

【今年の該当馬】
・エンブロイダリー
・ケリフレッドアスク
・ビップデイジー

『前走JRA重賞以外』×『前走0.3秒差以上で勝った馬以外』★0.0%★

3つ目は前走レースの格に注目。秋華賞では前走でJRA重賞に出走していた馬が10勝2着9回を占めている。それ以外のステップから臨む馬は【0-1-2-33】複勝率8.3%だ。

秋華賞も菊花賞も穴は「夏の上がり馬」と思われがちだが、データで見れば非重賞からの参戦はほとんど実っていないことが分かる。

上記の好走3例はいずれも直近の条件戦1着馬で、その着差が0.3秒、0.6秒、0.7秒だった。「敗戦or着差0.2秒以下の辛勝」だと【0-0-0-26】。しっかりと着差を付けて勝ってきた馬以外は軽視して大丈夫だ。

今年の登録馬で前走がJRA重賞でなかった馬は(交流重賞・マリーンCを使ったクリノメイ含め)5頭いる。着差0.3秒以上で勝ってきたインヴォーグとカネラフィーナには穴の資格あり、ほか3頭は消去となる。

【今年の該当馬】
・クリノメイ
・グローリーリンク*
・ジョイフルニュース*

『国枝栄厩舎以外の美浦所属馬』×『前走上がり2位以下』★2.1%★

今度は所属別成績を比較する。このレースは栗東所属馬が優勢で、過去10年で美浦【3-4-2-59】複勝率13.2%、栗東【7-6-8-82】同20.4%となっている。なお美浦の厩舎では国枝栄厩舎【2-2-1-4】だけが例外的に好成績で、「それ以外の美浦所属馬」は【1-2-1-55】同6.8%まで数字が落ちる。

このうち「前走上がり2位以下」だった馬は【0-1-0-47】同2.1%。唯一好走したファインルージュも2番人気2着で複勝回収率はわずか3%しかない。西高東低を意識して馬券を組みたい。

既に消去済みの馬に加え、新たに3頭が消えた。紫苑S2着のジョスランは栗東滞在をして長距離輸送は避けるようだが、初めての環境に身を置く点は懸念材料だ。

マピュースは中京記念がスローペースの2番手押し切りであまり内容的な強調点がなく、今回は距離も課題となる。

【今年の該当馬】
・(エンブロイダリー)
・カネラフィーナ*
・(ジョイフルニュース*)
・ジョスラン
・(ブラウンラチェット)
・マピュース

『ノーザンF生産馬』×『単勝6番人気以下』★0.0%★

4つの項目を終えた時点で残っているのは5頭。最後は当日の人気が絡むデータを使って仕上げる。

掛け合わせるのは「生産者」と「単勝の人気順」。やはり強いのがノーザンファームで、過去10年のうち生産馬が9勝という支配的な成績を残している。

しかしその実、馬券に絡んだのは上位人気馬ばかり。6番人気以下に限ると【0-0-0-31】と完全に沈黙していた。

残った5頭のうち、ノーザンF生産馬はダノンフェアレディとテレサの2頭。どちらも5番人気以内に入るか微妙だ。両馬の取捨はギリギリまでオッズとにらめっこして決めたい。

【今年の該当候補】
・ダノンフェアレディ
・テレサ

5つの消去データを終え、確実に残るのはインヴォーグ*、カムニャック、セナスタイルの3頭。抽選と当日人気次第で2~4頭の布陣となる。

やはり中心はオークス馬のカムニャックで揺るがない。デビューから6戦4勝、結局負けたのはデキが万全でなかったマイルの2戦だけ。前哨戦のローズSでは4角で内からぶつけられる不利を受けながらも勝ち切った。二冠濃厚と言っていい。

勝負馬券はそのカムニャックを軸に、残った馬たちへの馬連流しとする。エンブロイダリーら主要な対抗格を消しているため、当たりさえすればそこそこの配当は見込める。

《ライタープロフィール》
久保田大五郎
競馬歴14年目のアラサーおじさん。データを駆使した予想でロマン馬券を狙う。趣味は料理とプロ野球観戦。大のベイスターズファン。

《関連記事》
【秋華賞】過去10年のレースデータ
【秋華賞】カムニャックは“勝利なし”データを打ち破れるか エンブロイダリーの前例なき挑戦も注目
川田将雅が中距離で無双状態、武豊騎手は重賞で複回128% 現役最高の京都巧者を種牡馬、騎手ごとに徹底検証