【アイルランドT】ポイントは「末脚」と「欧州血統」　アンリーロードは適性ピタリ、ドゥアイズに一変の可能性

2025/10/09 06:00

坂上明大

ⒸSPAIA

この記事のレース

アイルランドＴ

GⅡ

10月12日(日)　東京11R

傾向解説

先週の毎日王冠と同じ東京芝1800mで行われるアイルランドトロフィー（旧アイルランドトロフィー府中牝馬ステークス）。毎日王冠では今年もディープインパクト系のレーベンスティール（父リアルスティール）が勝利しましたが、牡馬と牝馬では同じ条件でも求められる血統のバランスは微妙に異なります。本記事では血統面を中心に、アイルランドトロフィーのレース傾向を整理していきます。

まず紹介したいデータは、前走上がり3F最速馬の好成績。東京芝1800mは末脚勝負になりやすいため、近走での上がり順位には要注目の舞台です。

また、牝馬限定重賞では1600mからの距離延長馬が多いため、距離適性の面でも前走の上がり順位は重要。アイルランドTでは前走上がり3F最速馬が素晴らしい成績を残しており、2022年には12番人気の低評価を覆してイズジョーノキセキが勝利しています。

前走上がり3F1位,ⒸSPAIA

＜前走上がり3F1位＞
該当馬【5-2-1-13/21】
勝率23.8%/連対率33.3%/複勝率38.1%/単回収率354%/複回収率113%
※過去10年（旧アイルランドトロフィー府中牝馬S）

血統面ではNureyev≒Sadler's Wellsなどの欧州血統に注目。特に近年はNureyev≒Sadler's Wellsのクロス馬の活躍が目立ち、2022年イズジョーノキセキ（Sadler's Wells≒Nureyevの4×5）、2023年ディヴィーナ（Sadler's Wells≒Nureyevの4×4）、2024年ブレイディヴェーグ（Nureyevの5×5）と3年連続で該当馬が勝利しました。

また、昨年10番人気2着のシンティレーションもNureyev≒Sadler's Wellsの5×4を持っており、北米血統でスピード面を強化するよりも欧州血統でスタミナ面を補強する配合形の方がアイルランドTには向いています。

Nureyev≒Sadler's Wellsクロス馬,ⒸSPAIA

＜Nureyev≒Sadler's Wellsクロス馬＞
該当馬【3-1-0-7/11】
勝率27.3%/連対率36.4%/複勝率36.4%/単回収率391%/複回収率133%
※過去10年（旧アイルランドトロフィー府中牝馬S）

【注目血統馬】

前記の傾向に合う注目血統馬を2頭ピックアップしました。

☆アンリーロード
3代母クラフテイワイフに遡る名牝系に属し、母カシシは2011年天皇賞（秋）優勝馬トーセンジョーダンの全妹。本馬は先週の毎日王冠勝ち馬レーベンスティールと同じリアルスティール産駒で、Nureyevの5×4を持つ点が牝馬としては高得点の配合形です。

前走は3勝クラスとはいえ、上がり最速の末脚で差し切り勝ち。血統面でも実績面でもアイルランドTにピッタリの一頭ではないでしょうか。

☆ドゥアイズ
母母サミットヴィルは2005年サンチャリオットステークス2着馬で、母ローズマンブリッジはJRAの芝1600m戦で2勝。本馬はルーラーシップ×ディープインパクトの芝中長距離血統で、キングカメハメハ系×ディープインパクトの組み合わせは昨年勝ち馬ブレイディヴェーグと共通しています。

また、Nureyevの5×5を併せ持つ点もアイルランドTでは加点材料で、マイルから中距離なら堅実な末脚を披露してくれる優等生タイプです。芝に戻る今回は一変に要注意。

《ライタープロフィール》
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン（栗東）。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』（KADOKAWA）を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』（主婦の友社）を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。