【アイルランドT】府中牝馬S3着馬ラヴァンダ、京成杯AH勝ち馬ホウオウラスカーズは消し ハイブリッド式消去法
久保田大五郎

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5つのデータから絞れた馬は?
今週末の中央競馬は3日間開催。日曜にはエリザベス女王杯の前哨戦・アイルランドトロフィーが行われる。回次は今回が「第1回」となるが、条件は昨年まで行われていた「アイルランドトロフィー府中牝馬S」をそのまま引き継ぐ重賞だ。
今回はその「アイルランドトロフィー府中牝馬S」の過去10年データを用いて、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップ。当てはまった馬を消していく。登録馬全17頭を対象とする。
『前走0.7秒以上負け』×『前走GⅠ以外』★3.4%★
まずは前走の結果が振るわなかった馬からメスを入れる。用いるのは前走時の「着差」。勝ち馬から0.7秒以上離されて負けていた馬は【0-1-3-38】複勝率9.5%と苦戦傾向にある。
馬券圏内へ巻き返した4例のうち、3つは前走がGⅠレースだった。つまり「前走GⅠ以外で0.7秒以上の負け」を喫した馬は【0-0-1-28】同3.4%。2017年アドマイヤリードの2番人気3着があるだけだ。
初手で以下の4頭が消去となった。ダート不発で芝に戻るドゥアイズが少し気になるくらいで、それ以外は近況の不振からして消しが妥当だ。
【今年の該当馬】
・キャットファイト
・ドゥアイズ
・ピースオブザライフ
・フィールシンパシー
『前走3勝クラス』×『重賞4着以内経験なし』★0.0%★
今回大挙6頭が登録する「前走3勝クラス組」、昇級初戦の馬についてデータを見る。過去10年で該当馬の成績は【2-1-0-15】複勝率16.7%とよくはないが、これ単体で減点材料にするほどでもない。
ただし、好走した3頭を見ると17年1着クロコスミアは2歳で札幌2歳SとアルテミスS3着、3歳時にローズS2着があり、22年1着イズジョーノキセキはチューリップ賞4着、前年エリザベス女王杯5着、昨年2着シンティレーションは3歳時にフラワーC3着の実績があった。
言い方を変えると「前走3勝クラスで過去に重賞4着以内の実績がない馬」は【0-0-0-11】となる。これを2つ目の消去データとして採用する。
該当馬は以下の4頭。いずれも重賞は好走どころか出走した経験もない。一口に昇級馬と言っても、ローズS4着があるアンリーロード、重賞で3度の馬券絡みと秋華賞4着があるラヴァンダとは同列に扱えない。
【今年の該当馬】
・アンゴラブラック
・エープラス
・セフィロ
・リラボニート
『4~5歳以外』×『前走4番人気以下』★0.0%★
今度は年齢に注目する。本レースは好走馬の大半が4~5歳に偏っており、その成績は【10-9-9-91】複勝率23.5%だ。逆に3歳馬あるいは6歳以上の馬は【0-1-1-18】同10.0%と押されている。このうち、前走で4番人気以下だと【0-0-0-15】と全滅だった。
消去済みの2頭に加え、新たにホウオウラスカーズ、ライラックが消しとなった。ホウオウラスカーズの京成杯AHは52kgの軽ハンデと開幕週の内有利な馬場を存分に生かしたもの。あの勝利ひとつで評価は上げられない。
【今年の該当馬】
・(エープラス)
・(フィールシンパシー)
・ホウオウラスカーズ
・ライラック
『前走480kg以上』×『前走4角4番手以内』★0.0%★
続いては馬体重データから。本レースでは軽量馬の活躍が目立っており、馬体重479kg以下が【8-8-8-68】複勝率26.1%に対し、480kg以上だと【2-2-2-41】同12.8%。複勝率ベースで2倍以上の差がついている。
大型馬のうち、差し馬にはまだ好走例もあるが、先行タイプは不振傾向が強い。「前走馬体重480kg以上」かつ「前走4角4番手以内」だった馬は【0-0-0-12】。18年に3番人気10着と大敗したソウルスターリングも、馬体重490kgと牝馬のなかでは大柄な先行馬だった。
この項目で前走時492kgだったラヴァンダが消去対象となる。春に府中牝馬Sで一度セキトバイースト、カナテープと対戦して敗れている。
1000m通過58秒台と決して緩いペースではなかったものの、前を行った2頭との差をなかなか詰められなかった。あの一戦である程度勝負付けが済んだ印象を受ける。
【今年の該当馬】
・(エープラス)
・ラヴァンダ
『同年ヴィクトリアマイル10着以下』×『馬番7番から外』★0.0%★
4つのデータを終えた時点で残るは6頭。最後は当日の枠順が絡むデータを紹介する。
対象は「同年ヴィクトリアマイルで10着以下に敗れた馬」。その成績は【0-3-1-19】複勝率17.4%で、決してチャンスがないわけではない。
ただし、馬券に絡んだ4頭はいずれも本レースで馬番1~6番を引いていた。7番から外に入ってしまうと【0-0-0-12】で途端に厳しくなる。シュート発走で初角が近いコース、開幕してからまだ2週目の馬場で、内枠がベターなのは間違いない。
登録馬のうち、ヴィクトリアマイル10着以下だったのは下記の2頭。サフィラは阪神牝馬S勝ちがスローペース先行で展開に恵まれており、どこまで評価できるか。
折り合いに難しさのあるボンドガールはマイルを4戦使ったあとの1ハロン延長が鬼門だ。どちらも枠順次第で消去しよう。
【今年の該当候補】
・サフィラ
・ボンドガール
5つの消去データを終え、確実に残るのはアドマイヤマツリ、アンリーロード、カナテープ、セキトバイーストの4頭となった。枠順次第で最大6頭の布陣となる。
注目馬を1頭決めるならセキトバイースト。3歳時は重賞で善戦止まりだったが、古馬になって本格化が著しい。都大路Sは1000m通過57.5秒の超ハイペースを4角2番手から抜け出して3馬身半差で圧勝した。
前走は2着カナテープより2.5kg重いハンデを背負って重賞初制覇。そのカナテープも次走で関屋記念を勝っており、レースとしてのレベルも高い。同コースで再び牝馬限定重賞なら好走必至だ。馬券は残った馬の馬連ボックスと指定しておく。
《ライタープロフィール》
久保田大五郎
競馬歴14年目のアラサーおじさん。データを駆使した予想でロマン馬券を狙う。趣味は料理とプロ野球観戦。大のベイスターズファン。
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