【チャレンジC】データからは「前走惜敗×距離短縮」が有効 目黒記念3着マイネルクリソーラの前進期待

勝木淳

20年以降の阪神芝2000mデータから見るチャレンジC,ⒸSPAIA

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今年から秋に戻り、ハンデ戦に

チャレンジCは再び施行時期を秋に戻された。長らく朝日チャレンジCとして秋口に3歳馬が中距離で古馬に挑むといったコンセプトで行われ、2012年から暮れの阪神に舞台を移し、朝日杯FSが中山から阪神に替わったタイミングで、レース名をチャレンジCに改められた。

この間、別定からハンデ戦になり、また別定へ、芝2000mから芝1800mに変わり、再び芝2000mへ戻りと条件も変わった。そして、今年、秋に戻ったタイミングで、芝2000mこそ昨年と同じだが、負担重量はまたもハンデキャップになった。

整理すると、4回阪神2週目、3歳以上、芝2000m、ハンデ戦。これがチャレンジCの新たな施行条件だ。色々と記憶がこんがらがるものの、がんばってついていきたい。ここでは、2020年以降、古馬オープン・重賞計20レースのコースデータを使用し、上位クラスでのコース傾向を探っていく。

人気別成績,ⒸSPAIA


人気別成績では1番人気【5-4-3-8】勝率25.0%、複勝率60.0%、2番人気【5-3-1-11】勝率25.0%、複勝率45.0%と1、2番人気の信頼度は高い。少し紛れや波乱のイメージもある阪神内回りだが、上位クラスはそう荒れない。

5番人気【2-1-3-14】勝率10.0%、複勝率30.0%までは人気順に推移していき、ここから数字が一気に落ちていく。10番人気【3-0-4-94】勝率3.0%、複勝率6.9%に少々見どころがあるものの、基本ラインは上位堅実とみるべきだろう。

脚質別成績,ⒸSPAIA


位置取りの傾向を出すと、予想以上に数字がはっきりと出た。逃げ【3-1-1-16】勝率14.3%、複勝率23.8%、先行【10-2-2-49】勝率15.9%、複勝率22.2%と前が圧倒的に優位。差し【6-12-11-82】勝率5.4%、複勝率26.1%、追込【0-4-5-71】複勝率11.3%と後方脚質は2、3着まで。

ベラジオオペラの大阪杯連覇は先行優位のデータを裏づける例といえる。内回りを意識し、後続が早めに動いても、簡単には前は止まらない。これは差し馬が外を回る距離ロスも関係する。いかに効率よく立ち回れるかがポイントになる舞台だ。

距離短縮、惜敗組に注目

近況で注目するなら、新潟大賞典2着のサブマリーナ、小倉記念を勝ったイングランドアイズあたりだろう。夏の重賞出走馬とその間を休養に充てた馬たちとの力関係もまた、秋のはじめに行われる重賞のカギとなる。

前走距離別成績,ⒸSPAIA


前走距離データから傾向を探ると、同距離の2000m【6-7-7-72】勝率6.5%、複勝率21.7%に対し、2000m超の短縮が【10-9-5-63】勝率11.5%、複勝率27.6%と優勢。分母はほとんど差がなく、この数字は特筆できる。

内回りらしく後半早めにペースアップする持続力勝負だからこそ、前半はそこまで突っ込んで入らない。まして、スタートから1コーナーまでは同じ内回りの芝2200mほど長くなく、ペースが早めに落ちやすい構造でもある。前半が落ち着きやすい舞台では、長めの距離からの転戦組が流れに戸惑わず、自分のリズムでレースに入りやすい。ここに持続力勝負が加わり、体力差が問われるので、短縮組が優位になる。

前走2000m超・着順別成績,ⒸSPAIA


そこで短縮組の着順傾向をみる。前走1着馬は【1-2-1-10】勝率7.1%、複勝率28.6%と、さすがに昇級もしくはオープン・重賞連勝は厳しいが、2着【3-2-1-4】勝率30.0%、複勝率60.0%、4着【3-0-0-3】と惜敗した馬の成績が目立つ。

前走3着【1-0-0-7】が少し気になるものの、目黒記念3着のマイネルクリソーラは注目したい。近走は2400、2500mで好走しているが、昨年の中山金杯3着など2000mでの成績も悪くない。先行できる枠順や組み合わせなら、前進があってもいい。

前走2000m・着順別成績,ⒸSPAIA


同距離組も同じく着順傾向をチェックする。こちらも1着は【1-1-0-13】勝率6.7%、複勝率13.3%と悪いが、2着【0-2-1-6】複勝率33.3%など2~4着【2-4-3-15】と惜敗から好走馬が出る。イングランドアイズはハンデも課されるので、過信禁物だが、サブマリーナはデータ上、買える。もちろん、ハンデには注意だが、キャリアを通じて最低着順が4着とほぼ崩れていない堅実な戦歴は評価に値する。

また、6~9着【1-2-3-20】勝率3.8%、複勝率23.1%、10着以下【2-0-1-19】勝率9.1%、複勝率13.6%と掲示板を外した馬たちの反転もみられる。新潟大賞典6着オールナット、小倉記念14着カネフラなど候補は多い。特に、カネフラは全4勝中3勝が阪神芝2000mであげており、適性は高い。追い込み脚質なのは気になるが、コース巧者は侮れない。

20年以降の阪神芝2000mデータから見るチャレンジC,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 純白の奇跡』(ガイドワークス)に寄稿。

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