【注目2歳馬】サトノボヤージュがダート替わりで一変 後続に2.0秒差勝ちで2歳レコード更新

三木俊幸

8月9、10日の注目2歳馬,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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直線は持ったまま独走状態

週末に撮影したレースから印象に残った馬を紹介する「注目2歳馬」。8月2週目の開催からは、9日の新潟1Rに組まれたダート1200mの2歳未勝利戦を勝利したサトノボヤージュを取り上げる。

持ち込み馬のサトノボヤージュは下河辺牧場の生産。父は北米のリーディングサイヤーInto Mischief、母ジョリーオリンピカはブラジル産で芝1600mのブラジルジョッキークラブ大賞(GⅠ)を勝利。その後、アメリカに移籍して芝1600m以下の重賞で3勝という成績を残している。

美浦・田中博康厩舎の所属ながら、早めに栗東入りして滞在した6月14日の阪神芝1200mでデビューすると、3番手追走からゴール前はじわじわと前に迫ったが2着に終わった。今回はダート替わりでブリンカーも着用して挑んだ一戦。前走からプラス2kgの馬体重464kgでの出走となった。

スタートで右にヨレて2番枠のニケフェリーチェに接触する形となったが、芝からダートに入ったところで加速して先頭へ。12.0-10.8-11.4とスピードを見せつけて前半600mを34.2で通過する。

そのまま直線に向くと、後続との差は大きく広がって独走状態。ラストは12.0-12.4と減速したが、追われることなく持ったままで、4角9番手から伸びて2着のグラティアムには2.0秒差をつける圧巻の大差勝ち。勝ちタイムは1:10.8で、2022年にスクーバーが記録した2歳レコードを0.2秒更新した。

当日は良馬場発表も、火曜日から木曜日にかけて133.5mmもの雨量を計測したこともあり、ゴール前含水率5.7%と水分を含んだコンディションではあった。しかし、同日の5Rに行われた3歳以上1勝クラスが1:12.1、10Rの3歳以上2勝クラスが1:10.4での決着だったことと比較しても、2歳夏の時点で持ったままこのタイムを出せるというのは高い能力がなければできないこと。

スピードの違いがあったとはいえ、少し促してからの行きっぷりが良かっただけに、今後に向けて覚えていかなければならないこともあるが、ダートへの適性が高いのは間違いなく、2歳限定戦であれば暮れの全日本2歳優駿も十分に狙えるのではないかと思わせる力は示した。将来的に短距離路線が主戦場となりそうだが、海外も含めて大きな飛躍を期待したい。

8月9、10日の注目2歳馬,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。

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