【注目2歳馬】リバティアイランドの半妹コニーアイランドが快勝 レース内容に課題も伸びしろ期待
三木俊幸

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
行き脚つかず道中ポジションを押し上げる
週末に撮影したレースから印象に残った馬を紹介する「注目2歳馬」。当初は土曜、日曜ともに新潟競馬場で撮影予定だったところ、諸事情により急遽中京→新潟のややハードな旅程に変更せざるを得ないことになったが、両競馬場では超良血馬が圧倒的な人気に応えてデビュー勝ち。今回はその2頭を取り上げる。
2日の中京2R、牝馬限定・芝1600mの新馬戦はリバティアイランドの半妹で川田将雅騎手騎乗、コントレイル産駒のコニーアイランドが単勝1.9倍の支持に応えて勝利した。
見栄えがする青毛の馬体で、馬体重は470kg。デビュー前の追い切りではタイムこそ出ており能力の高さはあるものの、幼さも覗かせるなど現時点ではまだまだ動けていないようにも感じ、7頭立てとはいえ今回の新馬戦については半信半疑な気持ちを持っていた。
レースはマユナイトが主導権を奪って、前半800mを48.9(13.1-11.5-12.1-12.2)で通過するなど少頭数としては淀みのないペースを刻む。コニーアイランドはスタートして行き脚がつかず最後方からとなるが、400mを過ぎたあたりから徐々にポジションを押し上げ、4番手の外に取りついた。
終始外を回す形で直線に向き、川田騎手は坂を登った残り300m付近から追い出しを開始すると、早め先頭に立っていたウィズクィーンを残り100mで捉え、1馬身半差をつけた。
勝ちタイム1:35.4はまずまずの好タイムも、レースラップはラスト11.1-11.5と平凡。それでも仕上がり途上で前進気勢がまだまだ感じられない点など、課題が多く残る状態かつ、道中ポジションを押し上げながら上がり33.9でまとめて勝ち切ったところは評価でき、能力は感じる。
跳びの大きな走りはリバティアイランドの面影を少し感じるが、爆発的な瞬発力が武器だった姉より持続力があって中距離に適性がある印象。まだまだ大きな伸びしろがありそうなだけに、長い目で見ていきたい。
検量前に戻ってきた際に、川田騎手はコニーアイランドの首筋をポンポンと叩いた。勝利の喜び、安堵感、そして──。とても、とても、心がこもった重みを感じる仕草だった。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
母はアーモンドアイ、プロメサアルムンドが勝利
3日の新潟4Rに組まれた芝1600m新馬戦では、アーモンドアイの2番仔でモーリス産駒のプロメサアルムンドがデビュー。その姿を一目見ようとパドックにも多くのファンが集まっていた。他の馬たちがミストに驚いて立ち止まる場面もあったが、自身は馬体重498kg以上に迫力を感じる体つきで堂々と周回していたのが印象に残った。
レースは13.1-10.9と200mを通過した2ハロン目で4頭による先行争いが激しくなったが、エマープが単独ハナを奪うと、徐々にペースは落ち着きを取り戻して前半800m通過は48.7。まずまずのスタートを切ったプロメサアルムンドは前に壁を作りつつ、中団馬群から運んだ。
直線に向いてからルメール騎手は少しずつ進路を外へと求め、内回りとの合流地点手前でゴーサインを出すと残り200mで先頭へ。ゴール前は2番人気だったバドリナートが内からジリジリと迫ったがクビ差封じ、場内は歓声と拍手に包まれた。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
ある程度ペースが流れていたとはいえ、勝ちタイム1:34.9は新馬戦としては好タイムと言っていい。ラストも11.3-11.3-11.2(33.8)というラップ構成のところ上がり最速33.2を記録。母のように爆発的な瞬発力があるというタイプではないものの、優等生と言えるレースぶりで能力は感じさせたレース内容。マイルという距離も合っていそうだ。
管理する国枝栄調教師は来春定年を迎える。残された機会は少ないものの、ルメール騎手、厩舎スタッフ、牧場関係者、一口持っている出資者、そして多くの競馬ファンが「プロメサアルムンドとともに国枝厩舎所属で大舞台に挑みたい」と思っているはずだ。皆の願いという後押しを受けて、次走以降もどのような走りをするのか注目していきたい。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。
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