【函館記念】斤量変化と前走レースに注目 ハヤテノフクノスケ、新潟大賞典組がデータから浮上

勝木淳

過去10年のデータから見る函館記念,ⒸSPAIA

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近年はヒモ荒れ中心

今年から函館記念は函館開催の後半戦から、開催の折り返し地点に移り、七夕賞にかわってサマー2000シリーズ開幕戦になった。7月半ばの函館は天候に左右されやすく、開催の後半の傷んだ洋芝に追いうちをかける。6月に移ったことで、馬場状態が改善される一方、巴賞は函館記念と入れ替わる形になり、前哨戦ではなく、後夜祭的立ち位置に変わるなど、出走馬の流れが変わる。

もともと巴賞との相性は決してよくないが、それでも過去10年、前走巴賞は【2-4-1-48】。6着以下に限ると【1-3-0-18】。ここに穴馬が潜んでおり、これを狙っていたファンも多い。今年からは新たなパターンを探っていかないといけない。出走間隔の変化などに気をつかいつつ、ここからは過去10年のデータを使用しながら今年の函館記念を展望する。

人気別成績,ⒸSPAIA


人気別成績から見ていく。1番人気【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%、3番人気【3-0-2-5】勝率30.0%、複勝率50.0%など5番人気以内が8勝と昔のイメージほど大波乱はない。サマー2000シリーズの定着とともに函館記念の波乱は減った。シリーズ参戦の馬たちのレベルが上がったのも要因だろう。

波乱は10番人気以下【1-5-3-60】勝率1.4%、複勝率13.0%など2、3着の複穴に限られつつある。ちなみに巴賞6~9着の10番人気以下は【0-2-0-7】。この作戦がもう使えないのは悲しい。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢では4歳が【3-2-2-20】勝率11.1%、複勝率25.9%と目立つも、ここは分母が少ない。4歳で重賞常連となれば、函館記念ではかなり重いハンデを課される。実績馬が嫌うため、頭数が少ない。

5歳【2-1-4-37】勝率4.5%、複勝率15.9%、6歳【4-4-3-38】勝率8.2%、複勝率22.4%と6歳の数字がいい点には注目。複勝回収率は108%と高く、複穴は6歳から出現する。

ちなみに実績馬の出走が少ない4歳も回収率は単:328%、複:128%と高い。斤量をみると、4歳・54キロ【1-1-0-4】、6歳・56キロ【2-1-0-8】、同57キロ【1-0-1-6】の回収率が目立つ。

ハンデキャッパーの意図を読む

阪神大賞典2着マコトヴェリーキーやマイネルモーント、トップナイフら5歳勢と青森産ハヤテノフクノスケ、ヴェローチェエラなど4歳勢に、6歳はボーンディスウェイ、アルナシームらが出走予定。昨年、14番人気3着と穴を開けたアウスヴァールの名もあり、活気ある流れが予想される。

前走との斤量比較,ⒸSPAIA


今回はハンデに注目する。記事執筆時点ではハンデは未確定なので、読者の皆さんはハンデが確定した後に、好走馬を探していってほしい。

単純に斤量の増減を比べると、今回斤量減が【6-6-8-66】勝率7.0%、複勝率23.3%と好走馬の大半は斤量減が占める。また斤量が減る馬が総数としても多く、これが函館記念の難しさにつながる。

斤量減のうち、前走重賞組が【4-2-5-17】勝率14.3%、複勝率39.3%で、重賞経由の斤量減は馬券のポイントといっていい。

斤量減×前走重賞 クラス別成績,ⒸSPAIA


ひと口に重賞といってもGⅠからGⅢと幅がある。クラス別成績では複勝圏を比べると、GⅠ【1-1-3-6】勝率9.1%、複勝率45.5%と馬券の軸向きであることがわかる。定量のGⅠからハンデGⅢというローテーションで、なおかつ斤量減となると、ハンデキャッパーのジャッジは力量的には少し厳しいといったニュアンスが込められているか。

そのうち、前走が天皇賞(春)だと【1-1-1-4】勝率14.3%、複勝率42.9%。距離短縮で見込める上積みと馬の力量を比べ、ハンデキャッパー的には距離短縮での上積みが少ないとみる馬がかえって狙える。また、距離短縮がプラスにならない長距離志向の馬が走るという意味合いもある。

前走天皇賞(春)11着のハヤテノフクノスケは4勝目を芝3000mであげており、短縮による上積みが少ないとみられ、斤量は前走の58キロより軽くなるだろう。そうなれば、かえって狙える。ちなみに前走天皇賞(春)の10着以下は【1-1-1-3】となっている。

前走GⅢの斤量減は【2-1-2-9】勝率14.3%、複勝率35.7%。ここは前走5~9着【2-1-0-4】、10着以下【0-0-2-5】。できればひと桁着順はほしい。ただしGⅢでもハンデ戦からハンデ戦の斤量減は【0-0-1-3】。好走は牝馬の18年エテルナミノルだけ。牝馬だから斤量減ならいいが、牡馬がハンデ戦を続戦で斤量減となると、力量的な問題もある。

前走オープンで斤量減は【1-4-2-42】勝率2.0%、複勝率14.3%。5着以内【0-1-2-23】、6着以下【1-3-0-19】。ただしこれこそ、大半が前走巴賞【1-4-1-36】。今年は悲しいことに使えない。

斤量増減なし×前走重賞 クラス別成績,ⒸSPAIA


斤量据え置きは【3-3-1-48】勝率5.5%、複勝率12.7%。ここも重賞のクラス別でみると、GⅢは【2-1-1-20】勝率8.3%、複勝率16.7%、GⅡは【1-2-0-6】勝率11.1%、複勝率33.3%となっている。

さらに前走ハンデ戦から斤量据え置きは【2-3-1-17】で、そのうち、新潟大賞典は【1-1-1-10】、さらにひと桁着順だと【1-0-1-5】。該当馬のハンデを確認しよう。このパターンでもっともいいのは目黒記念だが、今年は目黒記念組がいない。新潟大賞典ひと桁着順のボーンディスウェイ(前走57キロ)、ディマイザキッド(56キロ)、マイネルメモリー(55キロ)あたりが頼りか。

過去10年のデータから見る函館記念,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

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