【札幌2歳S】キングスコールが割引データを覆す予感あり 良血ショウナンマクベスも面白い

勝木淳

過去10年のデータから見る札幌2歳S,ⒸSPAIA

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総合力を問う札幌芝1800m

スプリントでもなく、マイルでもない。1800mという距離がどうしたって来春を意識させる。

加えて、近年はソダシにジオグリフと立て続けにクラシックウイナーを輩出し、22年ドゥーラもオークス15番人気3着。クラシックを振り返ると、札幌2歳Sはキーポイントだったという年も多い。

洋芝の札幌を約1周する舞台は、速いラップを刻み続ける持続力が問われる。GⅠは瞬発力だけでは活躍できない。総合力こそ決め手。札幌2歳Sは距離以上に試されるものがある。データは過去10年分を使用する。


人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【3-1-2-4】勝率30.0%、複勝率60.0%。以下、5番人気【3-1-1-5】勝率30.0%、複勝率50.0%まではどこからでも入れる。対戦がないキャリアの浅い馬同士の戦いらしく、上位5頭は実力的に人気ほど差がない。割れた上位人気馬のなかから軸を選ぶのが得策だろう。

下位人気は10番人気以下【0-2-0-36】複勝率5.3%などないわけではないが、穴馬を狙うより、上位人気の順番決めといったレースか。


所属別成績,ⒸSPAIA


北海道はご存じの通り、東も西も滞在でじっくり調整し競馬に臨む。今年の函館・札幌は8月18日までに計264レース行われ、東121勝、西143勝と拮抗している。昨年もほぼ同じ数字で、北海道シリーズでは東西の差は少ない。

一方、札幌2歳Sは美浦【6-4-2-47】勝率10.2%、複勝率20.3%、栗東【3-5-7-47】勝率4.8%、複勝率24.2%と勝率は東が優勢だ(残り1勝は地方馬)。

東の6勝のうち、1番人気はロックディスタウンとジオグリフの2勝。残る4勝は5、6、5、3番人気。西3勝は2、2、1番人気なので、東は妙味もある。


芝1800m新馬勝ちの取捨

注目は各地の芝1800mで新馬勝ちを決めた馬たち。札幌キングスコール、ファイアンクランツ、函館マジックサンズ、福島ホウオウガイア、東京モンドデラモーレとマイルではなく、中距離にこだわりたい馬たちがそろった。この芝1800m新馬勝ちの取捨選択はカギを握る。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA
前走新馬・コース別成績,ⒸSPAIA


前走新馬【5-5-7-55】勝率6.9%、複勝率23.6%は分母も多く、コース別で選別していこう。

好走確率では函館芝1800m【2-1-2-14】勝率10.5%、複勝率26.3%、東京芝1800m【1-1-0-2】勝率25.0%、複勝率50.0%あたりか。マジックサンズ、モンドデラモーレが当てはまる。

マジックサンズの新馬は1:54.0(稍重)と遅いが、1000m通過1:05.4のスロー。上がり600m12.2-11.8-11.6。目立った記録ではないものの、最後は加速ラップを刻んで抜け出した。札幌向きの、コーナーでの機動力もある。

モンドデラモーレの新馬もスローの上がり勝負。ラストは11.4-11.2-11.2。4コーナー4番手から抜け出した勝ち馬は上がり600m33.5。持続力を感じる。

一方で、同舞台の札幌芝1800mは【0-2-3-14】複勝率26.3%で0勝。昨年はパワーホールが4番人気2着と好走したが、ガイアメンテは1番人気6着に敗れている。

キングスコールの新馬1:47.8は2歳レコード。高速決着が目立った1週目の記録だが、後半800mは11.5-11.7-11.6-11.5。4コーナー先頭で押し切ったキングスコールは記録上では札幌2歳Sを勝つレベルの数字を出している。データを覆せるだけのスケールを感じる。


前走未勝利・レース間隔別成績,ⒸSPAIA


前走未勝利戦も【4-2-0-22】勝率14.3%、複勝率21.4%と決して悪くない。買うなら、中3週【1-2-0-3】勝率16.7%、複勝率50.0%、中4~8週【2-0-0-8】勝率、複勝率20.0%とある程度間隔をとって挑む馬。中3週以上をひとつの目安としたい。

6月30日の福島芝1800mの未勝利戦を勝ったニシノタンギーは中8週。中9週と1週だけズレるが、東京芝1600mの未勝利戦を勝ったレーヴドロペラもいる。どちらも目立つ記録ではないものの、その分、札幌向きの渋さを感じる。

東京3週目の新馬芝1600mを逃げ切ったショウナンマクベスも取り上げる。マイペースのスローだったが、ラストは11.4-11.3-11.5で後続に並ばせなかった。3、4着シルバーレイン、オーケースマイルは新潟、札幌で快勝しており、メンバーレベルは高い。

ショウナンマクベスは母の母がブランシェリー。叔母はシャトーブランシュで、イクイノックスの近親。トニービン、フジキセキ、スペシャルウィーク、シーザリオ、キングカメハメハと血統表も豪華絢爛だ。


過去10年のデータから見る札幌2歳S,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。

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