【香港国際競走】香港カップはロマンチックウォリアーが連覇 日本馬は香港ヴァーズ2着のゼッフィーロが最高着順

三木俊幸

2023年香港カップの勝ち馬ロマンチックウォリアー,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

地元香港馬が3勝

12月10日(日)に香港・シャティン競馬場を舞台に争われた香港国際競走は、地元香港馬が3勝。日本調教馬13頭は“勝利なし”という結果に終わった。世界の力を改めて突きつけられる形となったが、そうした中でも健闘した日本馬たちの結果とともに4レースを振り返る。


香港ヴァーズ 道中最後方から差し切ったジュンコ

2023年香港ヴァーズの勝ち馬ジュンコ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


GⅠレースの幕開けを飾った芝2400mの香港ヴァーズ。日本で発売された単勝オッズ1.9倍、香港でも2.3倍と1番人気の支持を集めたのは、レーベンスティールだった。

レースの主導権を握ったラシティブランシュが400mごとのラップでは26.70-25.64-26.10、1200m通過が1:18.44と超スローペースを刻んだ。勝負所の残り800mを切ったあたりで2番手からウォームハートが早め先頭に立ち直線に向くも、道中最後方8番手からフランス調教馬のジュンコが突き抜けた。勝ちタイムは2:30.12、前走のバイエルン大賞に続く勝利を挙げ、GⅠ連勝を達成した。

2着は日本馬で前走アルゼンチン共和国杯を勝利して挑んだゼッフィーロ。後方2番手のインで脚をためて馬群を割って伸びたが、1馬身及ばず。3着にはアイルランドのウォームハートという結果だった。

ジェラルディーナは3番手を追走する先行策に出たが4着。レーベンスティールは中間にスクミが出た影響もあってか8着と期待に応えることはできず、田中博康調教師は「状態は問題ないと判断して出走させましたが、見立てが甘かったです。馬に申し訳ないです」と語った。


香港スプリント ラッキースワイネスが直線で包まれるも危なげない勝利

2023年香港スプリント勝ち馬ラッキースワイネス,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


ジャスパークローネとマッドクールの2頭が出走した芝1200mの香港スプリントは、日本、香港ともに単勝1.3倍の支持を集めたラッキースワイネスが勝利した。

レースはジャスパークローネが果敢に逃げて前半400mを23.76、続く200mを11.02で通過。4番手から運んだラッキースワイネスは4番手のインを追走し、直線では一旦包まれたが、Z.パートン騎手は冷静に外へと持ち出すとそのまま危なげなく押し切った。香港スプリント界のトップホースとしての力を見せつけた。勝ちタイムは1:09.25、2着にはラッキーウィズユー、3着はウェリントンが入った。

ジャスパークローネは直線半ばで失速して7着、スプリンターズS2着から挑んだマッドクールは8着に終わった。マッドクールを管理する池添学調教師は「周りのペースが速く、うまく脚を溜められなかったです。結果は残念でしたが、良い経験ができました」と振り返った。

香港スプリント7着のジャスパークローネ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


香港スプリント8着のマッドクール,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


香港マイル ゴールデンシックスティが大歓声に応える勝利でGⅠ・10勝目

GⅠを10勝したゴールデンシックスティ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


芝1600mで争われた香港マイル。香港の英雄ゴールデンシックスティが2020、2021年に続き、同レース3度目の優勝でGⅠ通算10勝目をあげた。フランスから遠征したトリバリストが前半800mを47.98というペースで逃げる展開になったなか、ゴールデンシックスティは道中7番手を追走。直線はスムーズに外を回し、大歓声に応えて残り300mで先頭へ躍り出ると、2着のヴォイッジバブルに1馬身半差をつけた。勝ちタイムは1:34.10だった。

3着は道中後方2番手追走から4角で進出開始して追い込んだナミュール。「素晴らしい走りでした。12番ゲートからのスタートでしたが、今日の末脚も素晴らしかったです。道中の位置取りは悪くなかったですし、スーパー牝馬になってきましたね」と騎乗したW.ビュイック騎手が語ったように、マイルCSを制した勢いそのままに好走を果たした。

4着には同じく後方集団から運んだソウルラッシュが入った。4角で接触する不利があったとのことでスムーズではなかったが、力は証明したと言えるだろう。

セリフォスは中団のインで脚を溜め、直線は外へと持ち出す競馬を試みたが7着。ディヴィーナは11着、これが3度目の香港遠征となったダノンザキッドは12着だった。

ゴールデンシックスティ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


香港マイルで4着入線を果たしたソウルラッシュ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


香港カップ ロマンチックウォリアーが連覇達成

香港カップを連覇したロマンチックウォリアー,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


メインレースとして行われた芝2000mの香港カップは、前走オーストラリアに遠征してコックスプレートを制した地元香港のロマンチックウォリアーが勝利し、連覇達成となった。

マネーキャッチャーが逃げて、1200m通過が1:15.07(26.36-24.83-23.88)というペース。ロマンチックウォリアーは4番手を追走していた。4角で外からルクセンブルクが進出を開始するも、ロマンチックウォリアーは抜群の手応えで直線に向くと堂々先頭へ立った。一旦は完全に突き放したところを、残り150mで再びルクセンブルクとヒシイグアスにジワジワと詰め寄られ、短アタマ差の接戦となるも抜かせることなく2:02.00で押し切った。

昨年の香港カップ、春のクイーンエリザベス2世カップなどに続く香港でのGⅠ勝利となった。引き上げてくる馬上でJ.マクドナルド騎手は何度も拳を突きあげて喜びを表現した。

ルクセンブルクからさらに、短アタマ差の3着に入ったのはヒシイグアス。2021年の同レースで2着となるなど適性は示していたが、今回も7番手追走から直線は狭いスペースを突く内容ながら見せ場を作った。

クイーンエリザベス2世カップでは2着だったプログノーシスは、ゴール前で馬群を割って追い込んでくるも、勝ち馬から0.15秒と僅差の5着。ローシャムパークはスタートでの出遅れもあり、8着という結果だった。

香港カップ3着のヒシイグアス,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


香港カップ5着のプログノーシス,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

《関連記事》
【香港国際競走】レーベンスティールは芝コースに馬場入り 田中博康調教師「日本でしっかり仕上げていたので状態は大丈夫です」
【香港国際競走】プログノーシスは川田将雅騎手騎乗でラスト400mを24.1 日本調教馬14頭が馬場入り
【香港国際競走】ゼッフィーロとソウルラッシュは芝コースで2頭併せ 枠順抽選会も行われる

おすすめ記事