【2歳馬ジャッジ】シャンパンマークが東京芝2000mでラスト2F11.0 -11.0記録 今後の活躍に期待膨らむ
山崎エリカ
ⒸSPAIA
10月1週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回はサウジアラビアRCを勝ったゴンバデカーブースや、東京の新馬を好内容で勝ったシャンパンマークなどが出た、10月7~9日の2歳戦について指数と評価を掲載する。
10月7日(土)東京5R 優勝馬 タリフライン 指数-4 評価AA
4番枠から出遅れて行き脚がつかず、後方馬群の外目を追走した。3~4角でも外目を回り、直線でしっかり外に出してラスト2Fでスパート。前の馬たちも速い脚で粘っていたため、なかなか前に出ることができなかったが、ラスト1Fでグンと伸びて前を一気にかわし、ゴールした。
ラスト2Fは11秒3-11秒0と驚きの数字が出た。レース映像ではそこまで一気に加速している印象はなかったが、やはりラスト1F11秒0は素晴らしい。
以前はラスト1Fでこのような数字を出す馬は稀だったが、今秋の中山開催からやや多くなってきた。以前はもっと高速馬場だった時もあるので、馬場が良いだけでなく、やはり日本の2歳馬のレベルが年々上がっているということだろう。
ラスト1F11秒0の数字が決定打にならない時代に突入してきたのかもしれない。しかし、本馬は余裕を持ってこの新馬戦を勝利しており、素晴らしい瞬発力の持ち主であることは確か。重賞で活躍する馬になっていくだろう。
10月7日(土)東京11R 優勝馬 ゴンバデカーブース 指数-15 評価AA
6月東京の新馬戦を勝利した素質馬が集い、それらが上位人気に支持された一戦。おそらく優勝するのはボンドガールだろうと見ていたが、前半が速い流れのなか、出遅れて後方から位置を押し上げる選択をして掛かり気味となり、最後の直線ではジリジリとした伸び。シュトラウスになんとか先着しての2着だった。
ボンドガールは前走比で指数は上昇したが、やや期待はずれ。指数上は新馬戦で倒したキャットファイトのアスター賞に及ばなかったことになる。全能力を出し切れなかったことが次に繋がることを期待したい。
シュトラウスは新馬戦でド派手な高指数をマークしての勝利だったが、ややキレ不足のところが懸念だった。よって、出遅れて後方からになってしまったことは、ボンドガール以上にマイナスだったはず。それでも3着に奮闘と大収穫。今後が楽しみになった。
前走の札幌未勝利戦をオーバーペースで逃げ、かなり強い内容で勝利したレーヴジーニアルは4着。今回は1勝クラスを勝てる指数を記録しており、いずれオープン入りして重賞戦線で活躍することになるだろう。
優勝したゴンバデカーブースは6月からの成長がとても大きく、素晴らしい末脚だった。序盤に前のエコロマーズが下がってきたところに巻き込まれたが、思い切って最後方まで位置を下げて脚をためたことで、能力をフルに引き出せた結果ではあった。ただ指数は例年のサウジアラビアRCの水準にある。今回の指数はセットアップが優勝した札幌2歳Sには及ばないが、現時点で2位にあたる。脚質から成績に安定感は出ないかもしれないが、今後も活躍が期待できる。
10月8日(日)東京5R 優勝馬 シャンパンマーク 指数-5 評価AA
5番枠からスタート後に内の馬に寄られた。やや後手を踏んだが、2角までに位置を上げて中団の中目で流れに乗った。超スローペースではあるが、道中は逃げたロジプラヤが後続をやや離して隊列は縦長。3~4角でじわっと前のスペースを詰めて4角では外。直線序盤で追い出されると、ラスト1Fで楽々と先頭に立った。そこから軽やかなフットワークで突き放して2馬身差の快勝だった。
東京芝2000mの新馬戦でラスト2Fは驚きの11秒0-11秒0と、素晴らしい数字。昨秋の東京芝1800mの新馬戦で同様の数字だった1着ソールオリエンス、2着レーベンスティールは衝撃的でAAA評価にした。映像を見ても超A級馬たちらしい迫力のあるレースぶりだった。なにしろ新馬戦だけで日本ダービーを意識させられたし、実際その2頭はその後トップクラスの馬となった。
しかし、本馬の勝ちっぷりは映像を見る限りではそこまでのインパクトを感じさせなかった。よってラスト2Fの数字から、本来はAAA評価にするべきではあるが、今回はAA評価にとどめた。ただ、今年のNHKマイルC勝ち馬シャンパンカラーの半弟にあたる良血。あとで振り返れば、やはりAAA評価が妥当だったという結果になるかもしれない。
10月9日(月)東京2R 優勝馬 オメガウインク 指数-4 評価A
新馬戦は2番枠から抜群のスタート。そこから控えようとしたが外の馬が行ってくれず、目標にされて2着に敗れた。今回はそれを踏まえて4番枠から五分のスタートでいったん好位につけた。しかし、前がペースを引き上げたため、さらに下げて好位直後の中目を追走した。3~4角で包まれ、直線の進路取りにややまごつく場面もあったが、脚をためたことが最後の伸びに繋がって勝利した。
2着馬とは半馬身差、指数はこの時期の未勝利クラスとしては並レベルだが、評価できるのはラスト2F12秒3-12秒0の数字。超スローペースとなることが多い新馬戦なら、ラスト1F12秒0は全く評価できる数字ではないが、ある程度レースが流れる条件で最後まで加速したことは価値が高い。能力の天井はもっと高く、これから面白い馬になりそうだ。
10月9日(月)東京3R 優勝馬 コガネノソラ 指数-7 評価A
新馬戦は逃げて3着、次走の未勝利戦は好位の最内を立ち回り、キャットファイトの2着とここまで安定していた。ところが前走は出遅れて中団からの追走となり、能力を出し切れずの4着だった。今回はデビュー4戦目。前走までの戦績を考慮したのか、4番枠から好スタートを決めて積極的にハナを主張した。これが能力発揮に繋がり、4着以下には7馬身以上の差をつけ、なかなか優秀な指数で勝利した。
評価できる点はラスト2F11秒5-11秒5と減速することなく、まだ余裕を感じさせる勝利だったことだ。逃げたことが能力解放に繋がっており、スタミナはかなりある。今後は戦法を選ぶタイプになり、成績にムラは出そうだが、条件が揃えば上のクラスでも一発が期待できる馬になるだろう。
10月9日(月)東京5R 優勝馬 ファビュラススター 指数-3 評価A
12番枠からはっきりと出遅れたが、そこからじわじわポジションを上げ、道中は2列目の外付近を追走した。3~4角の外を回り、直線でさらに外に出されて進路を確保すると加速開始。回転の速いフットワークで前との差を詰め、ラスト1F標地点で先頭列に並びかけ、そこから内の2頭を競り落として完勝した。
ラスト2Fは11秒1-11秒2とほぼ減速せず、なかなか優秀な数字だ。自身の上がり3Fタイム33秒9は、同日東京(稍重馬場)の古馬と比較しても1位タイ、これは高評価できる。今回は出遅れる不利がありながらの勝利で、まだ能力を出し切った感はない。また、最後の直線で瞬時に加速したフットワークの回転の速さは印象的だ。小回りコースでさらに良さが出そうなタイプ。重賞戦線に食い込んでいきそうな馬だ。
10月7日(土)京都2R 優勝馬 オペラプラージュ 指数-10 評価A
ダート1800mの2歳未勝利戦だが、なぜかデビュー戦としてここを選んできた。しかも16頭立てで1番人気に支持された。このレースは前走の新馬戦で2着の馬も含め、前走で掲示板を確保していた馬が数頭出走していた。本馬は調教では動いていたようだが、それで1番人気とはよほど関係者が強いと評価していたのか。
レースでは15番枠から五分のスタートを切って、じわっと進出。好位の外目、3、4番手でレースの流れに乗ったが、向正面で外からハチャトリアンが捲って3~4角からペースアップ。外目を回ったこともあり、直線序盤では置かれてやや前に離されたが、しぶとく伸びて2番手に上がった。ラスト1Fで逃げ馬を捉えて2馬身差をつけ、3着以下には9馬身以上の差をつけて快勝した。
記録した指数は1クラス上で通用レベルの優秀なもの。驚きのデビュー勝ちだった。本来、未出走馬をキャリアを積んだ馬たちにぶつけることは、いきなり緩みないペースのレースに出走させることになりやすく、後の疲労を考えれば良いことではないと感じる。近況を確認すると、レース後に骨折が判明したようだ。骨折は残念だが、ラスト2Fは12秒9-13秒0とラスト1Fの減速度合いが小さかったことからも、能力の天井が高いのは確か。復帰してからの活躍が楽しみだ。
10月8日(日)京都5R 優勝馬 ジャンタルマンタル 指数-5 評価A
3番枠から好スタートを決めてすっと抑え、外から前を主張する各馬を行かせ、好位の最内で折り合う優等生の競馬。新馬戦としては速い流れだったが、3~4角の最内で脚をため、直線で逃げ馬の外に出されるとラスト1F標地点で先頭に立った。そのまま後続を引き離し、2馬身半差で快勝した。
ペースが速かったこともあり、走破タイムは芝1800mで1分47秒4となかなか優秀。後続はバラけて入線しており、指数はなかなか良いものとなった。ラスト2Fは11秒4-11秒6と、見た目ほどは余裕がなかったかもしれないが悪くない。今回は多少疲れが残りやすいレース内容ではあったが、順調にレースに使えるようになれば、かなりの出世が期待できる。
10月9日(月)京都4R 優勝馬 バンドシェル 指数-2 評価B
14番枠から伸び上がるようなスタートとなり、はっきり出遅れたが、かかるくらいの行きっぷりで中団につけた。3角でかなり外を回ったが、それでも捲るように上がっていき、4角では大外。そこから一頭だけ違う脚色でグングン伸び、最後はしっかり差し切って勝利した。
ラスト2Fは12秒3-12秒2。重馬場のハイペース競馬で最後まで加速できたことは高く評価できる。全体的にロスの大きい競馬だったことを考えても、能力の天井は高そう。なかなか楽しめる馬になりそうだ。
10月9日(月)京都5R 優勝馬 オールナット 指数-3 評価A
3番枠から好スタートを決めて、逃げながらもペースを落として折り合う競馬。5F通過は65秒3。3~4角で馬群が凝縮して、4角では先頭から最後方まで4馬身差圏内という、直線ヨーイドンの瞬発力比べとなった。先頭の本馬は他馬よりもひと回り大きい馬体で加速。なかなか美しいフットワークで最後は手綱を抑えながらゴールした。
ラスト2Fは11秒0-11秒3。重馬場だったことを考えれば悪くない。半姉にはジャパンC勝ちのショウナンパンドラがいる良血馬。今回のレースは負担のかかるような内容ではなかったので、今後は順当に上昇が期待できそう。かなり上を目指せそうだ。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)シャンパンマークの指数「-5」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.5秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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