【サウジアラビアRC】6月東京で新馬勝ちの素質馬が激突 シュトラウス、ボンドガール、ゴンバデカーブースが有力

勝木淳

2023年サウジアラビアロイヤルカップに関するデータ,ⒸSPAIA

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重賞昇格後の勝ち馬は4番人気以内

来春といえばまだまだ先の話に感じるが、クラシック戦線に乗せ、さらに勝ち負けまで目指す側にとって、カウントダウンは刻一刻と進んでいる。馬それぞれの個性と成長具合を考え最適解を求めるなかで、理想的なのは6月にデビューし、秋までに重賞で2勝目をあげ、トライアル、本番へと進む道だ。

サウジアラビアRCも6月の東京でデビューした素質馬が2勝目を目論み、登録してきた。とはいえ、それを叶えられるのは1頭しかいない。残りはここから軌道修正を強いられ、予定が狂っていく。クラシックはまるでトーナメントのようなもの。だからこそ、2歳秋から争いは一気に激化していく。データは重賞昇格後の過去9年分を使用する(2014年は名称が「いちょうS」)。

サウジアラビアRCの人気別成績,ⒸSPAIA


人気別では1番人気【3-3-1-2】勝率33.3%、複勝率77.8%を筆頭に、勝ち馬はすべて4番人気以内と堅実だ。小細工無用の東京マイル戦に素質馬が集結となれば、紛れや不測の事態は起きにくい。そもそも出走頭数自体も少なく、7番人気【0-2-0-7】複勝率22.2%が少し目立つ程度で、基本は上位人気同士の争いになる。

サウジアラビアRCのキャリア別成績,ⒸSPAIA


キャリア別では1戦が【6-7-2-13】勝率21.4%、複勝率53.6%と大半を占める。基本は2戦【1-1-5-29】勝率2.8%、複勝率19.4%まで。3戦以上も好走馬を多少出してはいるが、出走数自体も少なく、キャリア1、2戦の素質馬同士が激突する重賞だ。


シュトラウス、ボンドガール、ゴンバデカーブースが有力

今年もまずは6月東京の新馬を勝ったシュトラウス、ボンドガール、ゴンバデカーブースの3頭に目がいく。この3頭の取捨選択と、その他の前走成績を見ていく。

サウジアラビアRCの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


サウジアラビアRCの前走新馬、コース別成績,ⒸSPAIA


キャリア1戦が優勢なので当然、前走新馬【6-7-2-13】勝率21.4%、複勝率53.6%がポイントだ。注目の東京芝1600m組は【3-0-0-2】勝率、複勝率60.0%と好成績を収めている。ただ、グランアレグリア、サリオス、コマンドラインが勝利するも、昨年は1、4番人気で4、5着だった。これはグラニットが大逃げを打ち、前後半800m46.3-47.1とハイペース寄りの流れを演出したためでもある。スローの瞬発力勝負が定番であり、そうなれば似た流れの前走東京芝1600m新馬を勝った馬が力を出し切れる。

シュトラウスの新馬は1週目の土曜日に行われ、前後半800m50.1-46.8の超スローペースになった。後半600m11.5-11.4-11.6を逃げて9馬身差つけたのは文句なし。今回、控えて折り合いを欠くといったことさえなければ、間違えなく上位だろう。ブルーメンブラットの仔は新馬こそ勝つも、2勝目は遠いといったタイプが多く、連勝で突破するようなら、これまでの産駒とは異なった評価をしないといけない。

ボンドガールは翌日の牝馬限定戦で勝利した。前後半800m49.2-45.4で上がりは11.2-11.0-11.1。シュトラウスの新馬より馬場が回復していた点を差し引いても、ボンドガールが記録した上がり33.0は強烈で、着差は3/4馬身でもスケール感は劣らない。2~6着馬はすでに勝ち上がっており、メンバーレベルも低くはない。半兄ダノンベルーガはデビューこそ2歳11月だったが、連勝で共同通信杯を勝った。

ダノンベルーガと同じ堀宣行厩舎のゴンバデカーブースは翌週の新馬を勝った。前後半800m48.1-46.7と上記2頭ほどスローペースではなかった。上がり600m11.5-11.4-11.8を逃げ切ったのはシュトラウスと似たラップ構成だ。2、3着馬は勝ちあがっており、それなりのレベルではありそうだが、こちらも将来性を見込んで控えた際、どうなるのか。そこが課題になる。

新馬よりは劣るが、前走未勝利も【3-0-4-19】勝率11.5%、複勝率26.9%でチェックは必要だ。レーヴジーニアルの札幌芝1500mは【1-0-1-2】で楽しみはある。ただ、雨の影響を受けた重馬場で、最後は12.8-12.7-13.1と非常に時計を要する一戦だった。東京のスピード勝負への対応はどうだろうか。母レッドリヴェールは不良馬場の札幌2歳S、ハイペースの阪神JFを勝った。

ただ前走新馬戦だった馬が複勝率50.0%を超えている。また前走が東京芝1600m組が過去9年で3勝しているように、基本的にはシュトラウス、ボンドガール、ゴンバデカーブース3頭の順位づけではないか。

サウジアラビアRCに関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。


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