【神戸新聞杯】ファントムシーフとハーツコンチェルトは消し 確実に残るはマイネルラウレアのみ

藤川祐輔

神戸新聞杯、『前走JRA重賞以外』かつ『前走非根幹距離』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週は秋華賞トライアル・ローズSを予想した。オークス4着の実績馬・ラヴェルを推奨したが14着とまさかの惨敗、勝利したマスクトディーヴァも消去しており悔しい結果となった。

今週は9月24日に阪神競馬場で行われる神戸新聞杯(GⅡ)を予想する。中京で開催された2020年~2022年を除く過去10回(10年~19年)のデータから、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。

『前走JRA重賞以外』×『前走非根幹距離』 ★2.8%★

当レースは牡馬クラシック最終戦・菊花賞へと繋がる重要な一戦と言うこともあり、日本ダービー組を筆頭に前走でJRA重賞を使っていた馬が優勢だ。その成績は【9-7-5-38】(複勝率35.6%)となっており、好走馬の多くがこの組に属している。反対に前走でJRA重賞以外のレースを使っていた馬は【1-3-5-66】(同12.0%)と苦戦を強いられている。

この非重賞組からは9頭が馬券に絡んでいるが、このうち8頭は前走で根幹距離のレースを使っていた。反対に非根幹距離から転戦してきた馬は【0-0-1-35】(同2.8%)と全く振るっていない。

近3年は中京2200mでの施行であったが、今年は4年ぶりに阪神2400mの根幹距離に舞台が戻る。前走で非根幹距離を使っていた馬は、レベルの担保があるJRA重賞組以外は軽視していいだろう。

【今年の該当馬】
・サスツルギ
・サヴォーナ
・ナイトインロンドン
・バールデュヴァン
・ビキニボーイ

『前走JRA重賞』×『前走11着以下』 ★5.6%★

当レースは前走で重賞を使っていた馬が優勢であることは、1つ目の項で紹介した通りである。だがこの組の全ての馬が狙い目と言うわけではなく、前走11着以下だった馬に関しては成績が【0-1-0-17】(複勝率5.6%)と低調であった。

今年のメンバーではサトノグランツ、ショウナンバシットの日本ダービー出走馬2頭が該当。実はこのデータに含まれる18頭中17頭が前走GⅠ組であり、例えハイレベルなレースに出走していても、大敗を喫した馬は通用していない。2頭とも春の実績から人気を集めそうだが、今回は消去リストに加える。

【今年の該当馬】
・サトノグランツ
・ショウナンバシット

『父ノーザンダンサー系』×『非ノーザンファーム生産馬』 ★0.0%★

次は血統面のデータに着目したい。当レースは根幹距離で行われるトライアルレースという側面から、いわゆる主流血統が優勢だ。キングマンボ系【3-3-0-11】(複勝率35.3%)、ディープインパクト系【2-2-5-14】(同39.1%)、ハーツクライ系【1-3-0-10】(同28.6%)といったクラシックと好相性の血統が順当に結果を残している。

一方で苦戦を強いられているのがノーザンダンサー系で、その成績は【0-0-1-11】(同8.3%)と低調だ。更にこれを非ノーザンファーム生産馬に限ると【0-0-0-9】(同0.0%)と全滅であり、これを凡走データとする。

今年はノーザンダンサー系であるハービンジャー産駒が2頭登録しているが、どちらもノーザンファーム以外の生産馬で不安データに該当。皐月賞で3着に好走したファントムシーフも含まれるが、思い切って軽視する。

【今年の該当馬】
・スマートファントム
・ファントムシーフ

『美浦所属』×『クラシック連対経験なし』 ★0.0%★

今年のメンバーを見て驚いたのが、関東馬が4頭も登録していることである。菊花賞トライアルを使う関東馬は先週のセントライト記念に出走するケースが大半で、仮に今年の登録馬4頭が全て出走すれば、記録の残る86年以降で最多となる。

10年~19年に限れば関東馬は6頭出走しており、その成績は【1-0-0-5】(複勝率16.7%)となっている。唯一勝利をしたのは17年のレイデオロ。同馬は5戦4勝で日本ダービーを制し、後に天皇賞(秋)も制したスーパーホースだ。この条件に「クラシック連対経験なし」を掛け合わせると【0-0-0-5】(同0.0%)。この5頭すべてが当レースで下位4頭内に沈む大敗を喫している。

86年以降、阪神開催時に馬券に絡んだ関東馬は5頭しかおらず、そのうち4頭は皐月賞か日本ダービーで連対していた。関東馬ながら勝利したのは先述のレイデオロ、ゼンノロブロイ、シンボリクリスエスといった歴史的名馬のみで、関東馬にとっては鬼門となっている。

今年出走する4頭の関東馬にクラシックで連対経験のある馬はおらず、こうした名馬と肩を並べるポテンシャルを現時点では感じられない。日本ダービー3着のハーツコンチェルトを含め4頭ともに消去リスト行きとする。

【今年の該当馬】
・シーズンリッチ
・ハーツコンチェルト
・(サスツルギ)
・(ナイトインロンドン)

『前走初角4番手以内』×『1~2枠』 ★7.7%★

4つの条件を終えて、13頭のうち11頭を消去した。最後の絞り込みは、前走の初角通過順と枠順を掛け合わせたデータを用いる。

取り上げるのは前走初角を4番手以内で通過し、今回1~2枠の内枠に入った馬だ。阪神開催の過去10年で【0-0-1-12】(複勝率7.7%)の成績で、唯一馬券圏内に入ったのはビッグウィーク(10年・3着)のみだった。

残っている2頭のうち、前走初角通過順が4番手以内だったのはロードデルレイのみ。1~2枠に入った場合は消去対象とする。

【今年の該当候補】
・ロードデルレイ
・(サヴォーナ)
・(シーズンリッチ)

全ての条件を終えて、確実に消去を逃れたのはマイネルラウレアのみとなった。当馬は2連勝で若駒Sを快勝したが、その後は故障に悩まされ春の重賞では結果を残せなかった。父ゴールドシップを彷彿とさせる豪脚が持ち味であり、前走・京都新聞杯でも上がり最速33.2秒をマークして勝ち馬に0.1秒差まで詰め寄った。

ポテンシャルの高さは常に示しており、近2走の敗戦から人気が落ちるようならば馬券的な妙味は十分。単複はもちろん、ロードデルレイが消去対象とならない場合は2頭の馬連・ワイドも含めて推奨したい。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。

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