【京成杯AH】前走・関屋記念3着のラインベックは大チャンス ソウルラッシュは連勝した舞台で巻き返し可能
勝木淳
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かつてほど荒れない最終戦
サマーシリーズも今週で閉幕する。スプリントは重賞2勝のジャスパークローネが大きくリードしているが、マイルは大混戦になった。
優勝ラインの12P+対象レース1勝以上という条件を満たすのは、セルバーグただ1頭。それもギリギリの12Pだ。同馬は最終戦の京成杯AHには出走せず。かわって11Pメイショウシンタケ、8Pラインベック、5Pウイングレイテストらが逆転優勝を狙う。同点の場合はどちらも優勝になるので、2Pミッキーブリランテまでチャンスがある。サマーマイルチャンピオンの座に向け、激戦を期待しよう。データは2014年新潟を除く、過去9回分を使用する。
サマーマイルシリーズが2012年にはじまり、その最終戦になったからなのか、近年の京成杯AHはかつてほど荒れなくなった。1番人気は【4-0-1-4】勝率44.4%、複勝率55.6%と好成績で、2番人気【0-1-2-6】複勝率33.3%は気になるところだが、4番人気以内7勝と上位人気は比較的堅実だ。10番人気以下は【1-4-2-48】勝率1.8%、複勝率12.7%。15年13番人気1着フラアンジェリコのほかに2、3着に紛れ込んだ例もあるため、相手候補は幅広く、ゾーンを上げて待ってもいい。
次は年齢別成績を確認しよう。主力は5歳【5-4-3-34】勝率10.9%、複勝率26.1%、4歳【2-0-2-20】勝率8.3%、複勝率16.7%のふた世代。もちろん、6歳【0-4-1-31】複勝率13.9%などベテランもまた複勝圏内に入れたい。
シリーズ組が中心
実績馬ソウルラッシュ、サマーマイルチャンピオンを狙うメイショウシンタケなど5歳勢を中心に、春に同舞台のダービー卿CTを勝った4歳インダストリア、さらにシリーズ優勝圏内にいる6歳ラインベック、ウイングレイテストやコース巧者ミスニューヨークあたりが圏内だろうか。ほかにも、逃げればしぶといシャイニーロックなど伏兵も多彩だ。
ここからは前走戦績を中心に多彩なメンバーから候補を絞っていく。まず前走GⅠ【1-2-3-11】勝率5.9%、複勝率35.3%のうち、安田記念は【0-1-0-2】複勝率33.3%と思いのほか少ない。ハンデ戦のため、GⅠ好走馬の始動戦には使いにくいという事情もある。過去の好走は安田記念3着ダノンシャークの2着。今年は安田記念9着ソウルラッシュが駒を進める。中山は2、3勝クラスを連勝し、マイラーズC制覇へつなげた舞台であり、ここから再び勢いをつけたいところだろう。
次に前走GⅢ【5-5-5-60】勝率6.7%、複勝率20.0%について内訳からみていこう。サマーシリーズの中京記念は【3-0-2-12】勝率17.6%、複勝率29.4%。ここは2、3着馬【3-0-1-3】、4着馬【0-0-0-2】なので、4着ウイングレイテストには気になる。とはいえ、中京記念で先行~中団だった馬【3-0-2-7】であり、4コーナー7番手だった同馬にとっては救いのデータだ。逆転優勝への執念ひとつで着順データをひっくり返せるかもしれない。
毎年、多くの馬が当てはまる前走関屋記念【1-3-2-36】勝率2.4%、複勝率14.3%は分母が大きいため絞りにくい。今年も3着ラインベック、5着メイショウシンタケ、7着ミッキーブリランテなど候補は多い。着順の内訳は、3着【0-0-2-2】複勝率50.0%はいいが、5着は【0-0-0-3】。掲示板以内【1-2-2-14】に対し、6着以下【0-1-0-22】。5着もデータはよくないが、掲示板に入った馬とそれ以外は区別しておこう。メイショウシンタケもウイングレイテストと同じくシリーズ逆転への執念を味方につけてほしい。
なお、インダストリアなどの前走エプソムCは【0-0-0-3】と好走がない。昨年のダーリントンホールを含め、15、3、2番人気で13、5、12着と人気に推されて負ける馬が目立つ。春にダービー卿CTを勝っているが、2018年以降、ダービー卿CT勝ち馬のうち、京成杯AH出走は18年ヒーズインラブ1頭しかおらず、9着に敗れた。同馬は55キロでダービー卿CTを勝ち、京成杯AHでは56.5キロを背負った。56キロで勝ったインダストリアは確実に57キロ以上を背負わされそうで、周囲とのハンデ差に注意しよう。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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