【新潟記念】キャリアや年齢を重ねるほど下がる好走率 データで導く「過信禁物の注目馬」

藤川祐輔

新潟記念の「過信禁物の注目馬」,ⒸSPAIA

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北の大地で行われる、大舞台への「前哨戦」

9月3日、新潟競馬場では新潟記念(GⅢ)が行われる。当レースはサマー2000シリーズの最終戦として実施されるが、今年は秋のGⅠ戦線を見据えて賞金加算を狙う面々が多く集まった印象だ。

当レースは近2年連続して2ケタ人気の馬が勝利しており、夏のハンデ戦らしく波乱の傾向が強い。1番人気馬は4年連続で馬券圏外に敗れており、馬券検討においては人気馬の取捨選択が悩ましいところ。今回は過去10年のデータを基に「過信禁物の注目馬」を導いていく。


31戦以上キャリアを重ねている馬は苦戦傾向

キャリア別成績,ⒸSPAIA


最初に注目するのが出走馬のキャリア別成績だ。当レースへの出走時点でキャリアが20戦以内だった馬の成績は【7-5-7-56】勝率9.3%、連対率16.0%、複勝率25.3%と良好で、馬券に絡んだ30頭の内19頭がこの組に含まれている。21戦~30戦の馬は【2-4-2-48】勝率3.6%、連対率10.7%、複勝率14.3%と着度数がやや落ち込んでいる。だが単勝回収率193%、複勝回収率93%と馬券的な妙味は高く、軽視は禁物だ。

注意したいのはキャリア31戦以上の組で、成績は【1-1-1-35】勝率2.6%、連対率5.3%、複勝率7.9%と振るっていない。この組から連対したのはカラテ(22年1着・キャリア31戦)、トーセンスーリヤ(21年2着・キャリア34戦)の2頭。両馬は重賞勝利歴があり、斤量57.5kgのトップハンデを背負っていた。近2年はこの組から好走馬が出てはいるが、メンバーの中で抜けた実績がない限りは静観が無難だろう。


年齢を重ねる毎に好走率はダウン

年齢別成績,ⒸSPAIA


先程のキャリア別の成績と通ずるデータとして、出走馬の年齢別の成績を取り上げたい。3歳馬は複勝率25.0%、4歳馬は同26.7%と若い馬が好成績を残しており、5歳馬も同20.0%と悪くない。6歳馬は【3-2-1-38】勝率6.8%、連対率11.4%、複勝率13.6%となり、複勝率こそ落ち込むが3頭が勝利。回収率は単295%、複105%と優秀であることから、侮れない存在といえる。

一方で7歳以上は【1-1-2-33】勝率2.7%、連対率5.4%、複勝率10.8%と奮わず、回収率も単24%、複72%と高くない。またこの組からはユーキャンスマイル(22年2着)、パッションダンス(15年1着)の2頭が連対しているが、それぞれ出走時のキャリアが27戦、16戦と年齢の割に浅く「キャリア31戦以上」の不安データには該当しなかった。

最初に紹介したキャリア別の成績、本項で取り上げた年齢別の成績の両面から、当レースは経験を重ねたベテラン勢が苦戦を強いられていることが分かる。こうした傾向を鑑みれば、3歳から5歳のフレッシュな馬たちを中心に馬券を組み立てるのが良さそうだ。


サンデー系が優勢 ロベルト系は連対率0.0%

種牡馬・系統別成績,ⒸSPAIA


最後に紹介するのは、父馬の血統系統別の成績である。サンデーサイレンス系の成績は【6-8-6-89】勝率5.5%、連対率12.8%、複勝率18.3%となっており、馬券に絡んだ30頭のうち20頭を輩出している。キングマンボ系は【3-1-0-14】勝率16.7%、連対率22.2%、複勝率22.2%、ノーザンダンサー系は【1-1-1-11】勝率7.1%、連対率14.3%、複勝率21.4%と母数ではサンデーサイレンス系に及ばないが優秀な数値をマークしている。

一方で苦戦を強いられているのがロベルト系であり、成績は【0-0-2-13】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率13.3%と低調だ。2頭が3着に食い込んではいるが、複勝回収率も44%と低く馬券的妙味も感じられない。新潟外回り2000mは長い直線での瞬発力が問われるコースで、持続力勝負が得意なロベルト系には不向きな条件。もちろん各馬の適性は血統だけで計れるものではないが、過去の戦績から瞬発力勝負への適性を示していない限りは軽視していいだろう。


データで導く「過信禁物の注目馬」

ここまで紹介したデータを総括すると、当レースにおける不安要素は以下の3点となる。

・キャリア31戦以上
・7歳以上
・ロベルト系種牡馬産駒

これを踏まえて、今回は「過信禁物の注目馬」としてマイネルウィルトスを挙げる。

前走の函館記念で1年ぶりの出走ながら4着に善戦。一度叩いた上積みが期待でき、重賞2着3回の実績と合わせて上位人気に支持されるだろう。だが、ロベルト系のスクリーンヒーロー産駒であり、戦績を見てもタフな馬場やタフなレース展開を得意としている。前走は開催の進んだタフな洋芝、稍重、差し有利の展開とあらゆる面が向いての結果であり、今回は同様のパフォーマンスが可能とは考えにくい。7歳馬、キャリア35戦である点と合わせて全ての不安データに該当しており、積極的に馬券に組み込む必要はないだろう。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。

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