【札幌2歳S】過去10年で須貝厩舎は3勝 Cアナライズからはパワータイプ血統のガイアメンテを推奨

貴シンジ

札幌2歳S 須貝厩舎とその他厩舎の成績(過去10年),ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

先週の新潟2歳Sではアスコリピチェーノを推奨し1番人気1着。やはり完成度は高く、2歳重賞で狙いやすい血統だった。さて、今回は9月2日(土)札幌競馬場で行われる札幌雄2歳Sについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった12頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。

重要データ:須貝厩舎得意のローテーション

須貝厩舎とその他厩舎の成績,ⒸSPAIA


札幌2歳Sを予想する上で参考にできるデータは複数あるが、その中で最も注目したいのは須貝厩舎がこのレースを非常に得意としていることだ。須貝厩舎は素質馬を夏の北海道開催でデビューさせることが多く、そのまま札幌2歳Sへというローテーションを取ることが多い。【3-1-1-5】という成績でなんと10年間で3勝も挙げている。

その3勝はソダシ、アドマイヤエイカン、レッドリヴェールの3頭で、ソダシとレッドリヴェールがGⅠ馬になっており、エース級の馬をここに進ませているのは間違いないだろう。今年の札幌2歳Sにも2頭出しで必勝を期す構えだ。

【須貝厩舎の出走予定馬】
・ウールデュボヌール
・ガイアメンテ

前走不利データ:新馬戦のガイアメンテ

ガイアメンテの前走は新馬戦1着。ドゥラメンテ産駒は父譲りのバネを生かして柔らかい走りをする馬が多く、基本的には綺麗な馬場で走るのが得意な傾向がある。通算成績では、芝・良【166-153-150-1045】で勝率11.0%の単勝回収率69%、芝・稍重【36-34-31-235】で勝率10.7%の単勝回収率60%、芝・重【11-17-11-84】で勝率8.9%の単勝回収率55%となっている。ガイアメンテの新馬戦は重馬場で行われ、決して得意な馬場状態ではなかった。

本馬はパワータイプの血統で他のドゥラメンテ産駒に比べれば重馬場もこなせるだろうが、そのパワーというのは濡れて滑る馬場というより、荒れた馬場で求められるパワーという表現が正しい。今週末の北海道の天気を現時点で断定はできないが、良馬場で走れるなら新馬戦以上のパフォーマンスを期待できるだろう。

血統解説:ウールデュボヌール、ガイアメンテ

・ウールデュボヌール
日本での牝祖は3代母ゴーンプロフェッショナル。このファミリーは日本に入ってきてからJRA複数勝利馬こそコンスタントに出しているが、重賞級は出せておらず、もう一押しに欠ける印象だ。また、元々米国で繋がってきた一族ということもありダートの短距離~中距離を中心に活躍する馬が多く、パワーが持ち味のファミリーといった印象がある。

ただ本馬は父がキタサンブラックで母父ハービンジャーという組み合わせで芝適性が強くなっていて、身体つきを見てもパワータイプの芝馬という印象。ファミリーの良いところを継承しつつ適性は芝に寄ったという見方で良いだろう。開催が進んだ今の札幌の馬場は合っていて対応可能だ。あとは活力の点で少し足りないのがどうか。

ウールデュボヌールの血統表,ⒸSPAIA

・ガイアメンテ
母ミュージカルロマンスが米国産馬で日本での牝祖は母。ミュージカルロマンスは現役時BCフィリー&メアスプリント(GⅠ・ダート7F)とプリンセスルーニーS(GⅠ・ダート6F)などを勝利しており、ダートの短距離で活躍した馬で実績は十分。兄弟は中央4勝のキラーコンテンツをはじめ、中央出走4頭全てが勝ち上がっている非常に打率の高いお母さんだ。

また、同じ牝系にはBCダートマイル(GⅠ・ダート8F)を勝ったBattle of Midwayもいる。牝系の特徴としては豊かなスピードが挙げられるが、大物はパワータイプというのも特徴の一つ。母の産駒は芝8勝ダート2勝だが、芝の8勝は全てディープインパクト産駒。ハーツクライ産駒のソリダリティはダート馬に出ている。

ディープインパクト産駒でもダートで走った経験がある馬もいることから、ドゥラメンテをつけた本馬は他のドゥラメンテ産駒に比べてパワーに勝ったタイプと考えるのが妥当だろう。前述のウールデュボヌールと同様にパワータイプで今の札幌は合う。牝系の活力の点ではガイアメンテに軍配が上がる。

ガイアメンテの血統表,ⒸSPAIA

Cアナライズではガイアメンテを推奨

今回のCアナライズではガイアメンテを推奨する。今年も札幌2歳Sに素質馬2頭を送り込んできた須貝厩舎にフォーカスを当てたが、両馬ともこのレースで勝ち負けできるだけのパフォーマンスを初戦から見せている。今の荒れた札幌の馬場は合うし、逆らう必要はないだろう。

一方、その2頭に割って入ろうとするのが大久保厩舎のギャンブルルーム。こちらも新馬戦を0.9秒差の楽勝で勝利しており、2着馬は既に勝ち上がっていることから実力は十分。血統的にもパワータイプで札幌も合う。今年は堅い決着となる可能性が高いのではないだろうか。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

《関連記事》
【札幌2歳S】データは前走・函館のマーゴットソラーレを後押し 注目馬ガイアメンテは不安要素あり
【2歳馬ジャッジ】ガイアメンテが余裕を感じさせる美しい走りで好指数勝ち 大きな飛躍が期待できる逸材
【2歳馬ジャッジ】クラシック戦線の主役候補ギャンブルルーム 宝塚記念と同日に古馬を超える上がりを記録

おすすめ記事