【札幌2歳S】データは前走・函館のマーゴットソラーレを後押し 注目馬ガイアメンテは不安要素あり
勝木淳
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昨年勝ち馬ドゥーラはオークス3着
札幌2歳王者を決める舞台は芝1800mであり、夏の2歳重賞のなかで唯一の中距離戦だ。昨年の1、2着ドゥーラ、ドゥアイズを含め、過去10年で牝馬は【4-4-2-28】。ドゥーラはのちにオークス3着、今夏クイーンSを勝った。
ほかにも3着以内馬にはレッツゴードンキ、クロコスミア、ソダシ、ユーバーレーベンとのちに大舞台で活躍した馬たちばかり。開催最終週の洋芝での力勝負に挑み、牡馬と互角以上の走りを見せた馬は必ず覚えておきたい。データは函館で行われた2013年を除き、過去9回を使用する。
まずは人気の傾向から。1番人気は【3-1-2-3】勝率33.3%、複勝率66.7%と安定だが、2番人気【2-0-1-6】勝率22.2%、複勝率33.3%以降は5番人気【3-1-1-4】勝率33.3%、複勝率55.6%など、ひとひねりも必要だ。10番人気以下も2着が2回あり、比較的堅い傾向にある夏の2歳重賞のなかでは、波乱決着も想定できる。
前走札幌芝1800m新馬は不振
先ほど牝馬に出世する馬が多いと書いたが、牡馬も21年1着ジオグリフ(皐月賞)、2着アスクワイルドモア(京都新聞杯)といて、やはり好走馬はクラシック戦線で注目すべきか。また、19年勝ち馬ブラックホールはその後未勝利で終わったが、今年も相馬野馬追で元気な姿を見せてくれた。
話を戻そう。前走クラス別成績をみると、前走オープン・L【1-3-3-17】勝率4.2%、複勝率29.2%。新潟2歳Sは前走オープン【0-0-0-22】(※13~22年)だったが、それとは傾向が違う。必ずしも新馬【5-4-6-50】勝率7.7%、複勝率23.1%、未勝利【3-2-0-21】勝率11.5%、複勝率19.2%で決まるわけではない。
ただ、オープン組の内訳はクローバー賞【1-1-1-5】、コスモス賞【0-2-2-11】で、同舞台のコスモス賞よりクローバー賞(1500m)の相性がいいのは注意だ。
前走新馬のコース内訳は函館芝1800mが【2-1-2-13】勝率11.1%、複勝率27.8%で、札幌芝1800mは【0-1-3-13】複勝率23.5%と勝ちがない。同コース経験馬が優位であってもよさそうだが、なぜだろうか。そしてここにガイアメンテが当てはまってくる。逆に函館芝1800mはマーゴットソラーレが該当する。この辺はレース間隔が関係しているか。
札幌芝1800m新馬のなかでも、連闘~中3週【0-0-1-11】に対し、中4週以上は【0-1-2-2】と好走確率は上昇する。ガイアメンテは中3週だ。
負かした馬が2頭勝ちあがったマーゴットソラーレ
マーゴットソラーレの新馬戦は、人気に推され敗れた9、11着馬が次走V、侮れない。ガイアメンテの新馬は2番手から抜け出し、ハープスターの弟コルレオニスに2馬身差快勝とスケールは感じる。
ウールデュボヌールの札幌芝2000m新馬は、そもそも18年以前は組まれていない。19~22年で6鞍が組まれ、札幌2歳S参戦はコスモス賞を間に挟んだウェイビー(8着)しかいない。札幌記念当日の芝2000m新馬といえば、エフフォーリアと同じ。ウールデュボヌールも将来楽しみだ。
他場では牝馬トレミニョンなどの福島芝1800m【0-1-0-8】複勝率11.1%で、ギャンブルルームの阪神芝1800mは出走例がない。
未勝利のコース別成績でも、函館芝1800m【2-1-0-2】勝率40.0%、複勝率60.0%に対し、札幌芝1800mが【1-0-0-9】勝率、複勝率10.0%と函館組が優勢だ。また、ロジルーラーの福島芝1800mも【0-0-0-3】と好走がない。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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