【キーンランドC】後方待機に妙味あり 舞台適性が高い欧州血統を持つ有力馬は
坂上明大
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傾向解説
サマースプリントシリーズ第5戦のキーンランドC。シリーズ終盤戦としても目が離せない一戦ですが、他方ではGⅠスプリンターズSの前哨戦としても重要度の高いステップレース。既存勢力と新興勢力の勢力図にも大きな影響を与える一戦といえるでしょう。本記事では血統面を中心に、キーンランドCで求められる適性を整理していきます。
<初角位置別成績(札幌開催の過去9年)>
真ん中から前【5-5-7-61】勝率6.4%/連対率12.8%/複勝率21.8%/単回収率29%/複回収率57%
真ん中から後ろ【4-4-2-50】勝率6.7%/連対率13.3%/複勝率16.7%/単回収率130%/複回収率67%
まず紹介したいデータは初角位置別成績。基本的に短距離戦は先行有利になることが多いカテゴリーですが、キーンランドCにおいては後方待機勢の台頭も目立つのが大きな特徴。札幌芝1200mはスタートから初角までの距離が400m以上あるため先行争いが長引きやすく、コーナー角が緩いことから外を回すデメリットも大きくありません。データ上でも、複勝率こそ先行勢に分があるものの、回収率では後方勢に軍配。小回りコースで力を出し切れなかった末脚型には絶好の舞台といえるでしょう。
<枠番別成績(札幌開催の過去9年)>
1枠【0-0-1-15】勝率0%/連対率0%/複勝率6.3%/単回収率0%/複回収率18%
2枠【0-0-1-14】勝率0%/連対率0%/複勝率6.7%/単回収率0%/複回収率36%
3枠【0-2-0-15】勝率0%/連対率11.8%/複勝率11.8%/単回収率0%/複回収率20%
4枠【2-2-1-13】勝率11.1%/連対率22.2%/複勝率27.8%/単回収率103%/複回収率98%
5枠【0-1-2-15】勝率0%/連対率5.6%/複勝率16.7%/単回収率0%/複回収率55%
6枠【3-1-0-14】勝率16.7%/連対率22.2%/複勝率22.2%/単回収率165%/複回収率61%
7枠【3-1-2-12】勝率16.7%/連対率22.2%/複勝率33.3%/単回収率260%/複回収率97%
8枠【1-2-2-13】勝率5.6%/連対率16.7%/複勝率27.8%/単回収率31%/複回収率94%
また、同様の理由から枠番別成績も外枠有利の傾向に。元々、札幌芝1200mは外枠有利の傾向が強いコースですが、キーンランドCにおいては連続開催の後半に行われるため、内目の傷んだ馬場状態も外枠有利の傾向に拍車をかけています。先週の降雨により内目の馬場が悪化。外枠有利の傾向は今年も継続されそうです。
<Sadler's Wells内包馬(札幌開催の過去9年)>
該当馬【2-2-2-14】勝率10.0%/連対率20.0%/複勝率30.0%/単回収率177%/複回収率118%
血統面ではSadler's Wellsなどの欧州血統に注目。比較的力を出し切りやすいコース、かつ別定戦ということから血統面からの適性評価の重要度は高いとはいえません。
ただ、傷み始めた洋芝でのスプリント戦とあって米国血統の単調なスピードだけでなく、欧州血統の底力も非常に大事な資質。特に欧州血統の代表格であるSadler's Wellsの血を内包する馬が短距離戦でこれだけ好走しているのはキーンランドCの大きな特徴といえるでしょう。
血統解説
・ナムラクレア
3代母Coup de Genie(1993年モルニ賞、サラマンドル賞)はMachiavellian(1989年モルニ賞、サラマンドル賞)の全妹という良血。Northern Dancerの血量が多いように感じますが、母母Fountain of Peaceが同血脈を持たないという、配合バランスも素晴らしい馬です。牝馬が調子の良い夏場でもあり、今回に限らずスプリンターズSでも楽しみな一頭です。
・ウインマーベル
父アイルハヴアナザーはダート種牡馬ではあるものの、Sadler's Wellsの血を内包しており、本馬自身も昨年の同レースで2着の実績。父の産駒は力のいる馬場で高いパフォーマンスを発揮し、洋芝での成績も上々。馬場が渋ればさらに好走確率は上がるでしょう。
・シュバルツカイザー
半姉Jack Naylorは2015年愛オークス2着馬。本馬は欧州の芝短距離GⅠ馬を数多く輩出するDark Angelの産駒で、Sadler's Wellsの血は持たないものの典型的な欧州芝短距離の血統馬といえます。去勢明け3戦目から連勝中と勢いもあり、適性、調子ともに楽しみな上がり馬です。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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