【新潟2歳S】今が狙い時の仕上がりが早い血統 Cアナライズはアスコリピチェーノを推奨

貴シンジ

新潟2歳ステークスの人気別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は8月27日(日)に新潟競馬場で行われる新潟2歳Sについて、下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった14頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。


重要データ:レースサンプル少ない2歳戦も人気馬が中心

人気別成績,ⒸSPAIA


新潟2歳Sは数戦程度しか出走歴のない2歳馬たちが参戦してくるレースで、参考にする過去レースが少ない。見えていない能力が多く、一見荒れそうな印象を受けるが、人気馬が圧倒的に強い点は頭に置いて予想すべきだ。

過去10年の1~4番人気の成績は【10-7-5-18】で単勝回収率113%、複勝回収率93%。対して5番人気以下は【0-3-5-97】で勝ち馬が出ておらず、複勝回収率は35%となっている。

過去にハープスターやイスラボニータのワンツーや、セリフォスが勝利したことから、上位勢はGⅠ級、もしくは重賞戦線で戦えるだけの実力を持っている馬のことが多い。一方、下位の馬は1勝クラスで頭打ちになってしまうことも多い。

早い時期に行われる2歳重賞の多くに共通して言えることだが、上位馬と下位馬の実力差が通常の重賞より大きいことが、人気馬が強いことの要因となっている。また、新潟芝1600mという直線の長いコース設定であることも、ポイントで強い馬が自身の能力を発揮しやすい。

【上位人気が予想される出走予定馬】
・アスコリピチェーノ
・ヴァンヴィーヴ
・エンヤラヴフェイス
・ルクスノア
・ルージュスタニング


前走不利データ:新馬戦のルクスノア

ルクスノアの前走は新馬戦1着。同馬はオルフェーヴル産駒だが、同産駒は晩成傾向が強い。

デビュー戦の単勝回収率は38%とかなり低く、早期では狙いにくい血統といえる。2戦目も単勝回収率47%と決して高くはないが、数の多いサンプルで10%近く回収率を上げているという点は注目すべきだ。

ルクスノアのデビュー戦は中京芝1600m。新潟同様の左回りで直線の長いコースを経験している点も加点要素といえる。


血統解説:アスコリピチェーノ、ルージュスタニング

・アスコリピチェーノ
日本での牝祖は祖母リッスンで、フィリーズマイル(GⅠ・芝8F)の勝ち馬。産駒にはローズS勝ちのタッチングスピーチ、共同通信杯で3着などの実績があるムーヴザワールド、菊花賞で2着のサトノルークスがいて、母としても優秀である。このファミリーは3代母のBrigidから世界各国でかなり繁栄していて、リッスンの枝はこれでも目立たない方だ。

この牝系によく見られる傾向として、仕上がりが早いことが挙げられる。ただ、成長力も兼ね備えているというわけではなく、古馬になってからは少し尻すぼみな成績になってしまうのもよく見られる傾向だ。本馬は父がダイワメジャーで、よりその傾向は強くなりそう。ゆえに2歳早期のここはまさに絶好の狙い時。前走は差す競馬で速い上がりを使っての完勝だったた。2戦目で競馬に前進が見られて、もう少し前につけられるなら勝ち負けだろう。

アスコリピチェーノの血統表,ⒸSPAIA


・ルージュスタニング
母ボインビューティーが米国産馬で日本での牝祖は母。同馬は未出走だったが、半兄にはドバイワールドC(GⅠ・ダート10F)などGⅠ・4勝のArrogateがいて、日本でも産駒が走っている。Arrogateは強さが際立っていたが、どんな形の競馬もできる器用さと反応の良さ、そしてスピードを持ち合わせていた。

本馬は父がInto Mischiefで基本的にダート血統ではあるが、デビュー戦で芝を走れたのは若駒、牝馬という2つの条件が重なり、身体が柔らかかったからだと考えられる。極端な上がり勝負になると芝血統の馬たちに切れ負けする可能性があり、スローペースが多い新潟2歳Sは前走のような競馬は難しいかもしれない。

ルージュスタニングの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではアスコリピチェーノを推奨

今回のCアナライズではアスコリピチェーノを推奨する。上位人気の可能性が高いが、まさに今が狙い時の血統。前走の内容からも、まだまだ競馬に前進の余地がある。そんな中で、3着以下の3頭が次走で2着にくるようなハイレベルのレースを完勝しているわけだから、能力も高い。

もう一頭挙げるとすれば、やはり前走不利データを持っているオルフェーヴル産駒のルクスノア。こちらは狙い時はまだ先だが、ルージュスタニングが人気するようであればオッズ的に妙味が生まれる。前走よりパフォーマンスを上げてくる可能性は他馬より高いだろう。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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