【新潟2歳S】「新馬マイル勝ち」×「上がり最速」が好走条件 エンヤラヴフェイスやヒヒーンらにチャンスあり
勝木淳
ⒸSPAIA
とにかく軽い新潟芝
新潟外回りを使うマイル戦は究極の末脚比べになりやすく、2歳馬にとって負担も大きい。18年ケイデンスコールから昨年キタウイングまで5年連続で上がり600m最速馬が勝っており、瞬発力がないと厳しい。そして、残念なことにその後、しばらく勝利から見放される馬も多い。ダメージの影響もあるかもしれないが、非常に軽いレースになりやすい新潟外回りと、そこまで軽くならない中央場との適性のズレもあるだろう。
だからこそ、そのズレを気にせず走れる馬は超A級に育つ。13年ハープスター、21年セリフォスなど大物輩出のレースでもある。データは過去10年分を使用する。
1番人気【4-3-0-3】勝率40.0%、複勝率70.0%、3番人気【4-2-1-3】勝率40.0%、複勝率70.0%など勝利はすべて4番人気以内で、非常に手堅い。様々な要素はあるものの、比較的単純な末脚比べになりやすい分、そこを評価されて人気に推される馬は力を示しやすい。複勝圏なら6番人気【0-1-2-7】複勝率30.0%、8番人気【0-0-3-7】複勝率30.0%など、穴馬の好走はあるが、基本的には堅く収まるレースだ。
穴はジューンテイクも、決め手勝負なら
今年も各地の新馬勝ち馬や2戦目で勝ち上がったばかりの馬が多く揃う。対戦比較が難しい反面、前走パフォーマンスからある程度候補が絞れるのもこのレースの特徴だ。ここからその傾向についてみていこう。
ダリア賞など前走オープン・L【0-0-0-22】で、中心は前走新馬【7-6-7-59】勝率8.9%、複勝率25.3%、未勝利【3-4-2-33】勝率7.1%、複勝率21.4%になる。今年も東京で新馬を勝ったアスコリピチェーノや阪神で勝ったヒヒーン、中京組のエンヤラヴフェイス、ルージュスタニングなどに、未勝利を勝ったヴァンヴィーヴ、ホルトバージらがどこまで迫れるかといった図式だ。
まずは前走新馬組から具体的に。距離は前走1600m【5-3-3-19】勝率16.7%、複勝率36.7%で、若駒のレースらしく距離変化はない方がいい。一方で、1600m未満の新馬を勝った馬のうち、中京芝1400mに限っては【2-1-0-3】勝率33.3%、複勝率50.0%と好成績だ。ジューンテイクがこれに該当する。
しかし、同じ左回りの1400mでも、東京芝1400mの新馬勝ちは【0-0-0-8】と好走がなく、アスコリピチェーノはこのデータに引っかかる。例年、東京の新馬はマイル戦にハイレベルな出走馬がそろう傾向がある。実際、2020~22年、6月の東京芝1400m新馬を勝った馬は9頭いるが、その次走は【1-1-0-7】。22年ウンブライルは10月のもみじS1着、21年ハイアムズビーチは9月アスター賞2着で、夏競馬に限ると【0-0-0-4】と好走がない。
続いて前走芝1600mの新馬を勝った馬について。競馬場別では新潟【2-0-1-7】勝率20.0%、複勝率30.0%、東京【1-3-1-6】勝率9.1%、複勝率45.5%、中京【2-0-0-5】勝率、複勝率28.6%、阪神【0-0-1-1】複勝率50.0%。エンヤラヴフェイス、ルージュスタニングら中京組に阪神のヒヒーンらが好走ゾーンに入る。
次に未勝利組も距離別に成績を出すと、1600m【3-0-2-9】勝率21.4%、複勝率35.7%で、まず同距離が一歩リード。こちらも新潟芝1600mが【3-0-0-5】。一方で、1600m超は【0-3-0-12】複勝率20.0%で、ヴァンヴィーヴ、ホルトバージも連下候補には入れておきたい。
今年は新馬も未勝利も理想的な前走新潟マイル組が見当たらない以上、例年よりやや候補を絞り切れない。
では新たな手掛かりを手に入れるべく、クラス関係なく、前走上がり3ハロン別の成績をみていく。やはり、前走で上がり最速だと【8-6-3-49】勝率12.1%、複勝率25.8%で2位は【2-4-7-22】勝率5.7%、複勝率37.1%、3位以下【0-0-0-43】なので、馬券は前走上がり最速から2位へ流すといった形がいい。
先ほど好走データに一致したジューンテイクは上がり2位なので、少し評価を落とそう。理想の好走パターンは、エンヤラヴフェイスら前走マイルの新馬戦で上がり1位を記録した馬になる。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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