【新潟2歳S】エンヤラヴフェイスを6つのデータが後押し 今年は中京マイル新馬組を中心視

門田光生

新潟2歳ステークスの前走コース別成績(過去10年),ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

関西馬、牡馬優勢

2023年8月27日に新潟競馬場で行われる第43回新潟2歳S。ここ10年の勝ち馬を調べると、のちに重賞2勝以上を記録した馬が5頭もいた。仕上がりの早さが求められる2歳重賞とはいえ、ごまかしのきかない新潟のマイル戦が舞台だけあり、仕上がりの早さだけで勝つのは難しいのかもしれない。

2013年の1着馬はハープスター(桜花賞1着)、2着はイスラボニータ(皐月賞1着)。のちのGⅠ馬がワンツーフィニッシュを決めている。クラシックにもつながる可能性がある新潟2歳Sにはどのような傾向があるのか。今回も過去10年の成績を基にして検証していきたい。

新潟2歳S出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆所属
新潟は東日本ブロック扱いになるのだが、ホームである美浦所属馬3勝に対し、栗東所属馬は7勝。出走頭数は美浦の方が約2倍多いことを考えると、栗東所属馬有利と言わざるを得ない。

新潟2歳S出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆性別
性別は牡馬6勝(14連対)、牝馬は4勝(6連対)。勝率、連対率とも牡馬が上回っている。この時期の2歳戦は性別の斤量差がないのだが、長い直線の追い比べになると、牡馬に軍配が上がることが多いようだ。

新潟2歳S出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆キャリア
出走馬のキャリアは1~3戦。最も勝ち馬が出ているのはキャリア1戦で、7勝。2着の6回も最多となっている。続いてキャリア2戦で3勝(7連対)。キャリア3戦の馬は3着が最高着順となっている。

新潟2歳S出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA


☆前走クラス
キャリア1戦の馬が活躍しているということは、新馬勝ちした馬が活躍しているということになる。未勝利戦組は3勝、2着4回。前走オープン組は22頭が出走して馬券に絡んだ馬はいない。GⅢ組は、2015年に8番人気で3着に好走したマコトルーメン(前走、函館2歳S5着)だけ。

新潟2歳S出走馬の前走場所,ⒸSPAIA


☆前走場所
このレースと同じ新潟で走っていた馬が5勝(6連対)。当地を経験している強みもあるのだろうが、出走頭数も計55頭と抜けて多いので、当然といえば当然か。また、6頭が連対というのは、中京(4勝、2着2回)、東京(1勝、2着5回)と並んで最多タイ。新潟、中京、東京はいずれも左回り。本番と同じ経験が生きているのかもしれない。

新潟2歳S出走馬の前走着差,ⒸSPAIA


☆前走着差
連対した20頭すべてが前走1着馬。これらはどのような着差で勝っていたのかを調べてみると、コンマ2秒差で勝った馬が最多の4勝。7連対という数字も最多だし、勝率と連対率も最上位なら信頼していい。勝率、連対率で見ると、コンマ3秒差、またはコンマ6秒差以上で勝った馬も見劣りしない。

新潟2歳S出走馬の前走距離,ⒸSPAIA


☆前走距離
今回と同じマイル戦を使っていた馬が8勝と強さを見せている。残る2勝は前走1400m組。1800m組は未勝利だが、2着馬を5頭出しており、連対率は20%と及第点。前走1200m以下の組だけ結果が出ておらず、該当する21頭から連対馬は出ていない。

新潟2歳Sにおけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを挙げていこう。まずは前走人気。4番人気以下に該当する51頭中、連対したのは2頭だけ。また、前走で減量騎手を背に走っていた馬はすべて馬券外。キャリアが浅い馬だけに、斤量が増えたことによる戸惑いがあるのかもしれない。続いて前走馬体重が440キロ以下に該当する43頭のうち、連対したのは2022年の1着馬キタウイング(436キロ)だけだ。


今年は中京組が主力

新潟2歳Sのデータをまとめていこう。

【好走データ】
A「栗東所属馬」
B「牡馬」
C「キャリア1戦」
D「前走が左回り」
E「前走がコンマ2秒、コンマ3秒、コンマ6秒差以上で勝った」
F「前走がマイル戦」

【好走率低い】
G「前走が4番人気以下」

【勝ち馬なし】
H「前走が1800m」

【連対なし】
I「キャリア3戦」
J「前走が1着以外」
K「前走が1200m以下」
L「前走が減量騎手騎乗」。

今回はプラスデータが6個。サンプルが少ない2歳戦にしては多く出てきた。この6つすべてを満たしているのはエンヤラヴフェイスだけ。前走で中京を走っていた勝ち馬は過去に4頭いるのだが、うち3頭は新馬戦を1番人気で勝っており、エンヤラヴフェイスもこれに該当。冒頭に名前が出てきた桜花賞馬ハープスターも中京の新馬戦を1番人気で勝っての参戦だった。

続いてプラスデータが5つあり、マイナスデータが1つもないのはジューンテイク、ルージュスタニングの2頭。ともに「中京」の「新馬戦」を「2番人気」で勝っているが、前者は1400m戦、後者は1600m戦だった。データ的にマイル戦を走っていた馬の方が結果を出しているということで、後者を対抗、前者を3番手とする。

上位3頭がいずれも中京組になってしまったので、あと1頭は最多5頭の勝ち馬を出している前走新潟組を。その新潟組は今回、クリーンエア、ゲンヨウサイ、ニシノクラウン、ホルトバージの4頭が登録しているが、ゲンヨウサイとニシノクラウン、ホルトバージはマイナスデータが複数あって印を入れづらい。というわけで、残る1頭クリーンエアを押さえにする。

◎エンヤラヴフェイス
◯ルージュスタニング
▲ジューンテイク
△クリーンエア

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
新潟競馬場は、JRAでは福島競馬場と並んで訪れたことがない競馬場のひとつ。駐車場が広く、「車でお越しください」といえる、JRAで唯一の競馬場とかいう話を聞いたことがあるぐらい。ペーパードライバーの私には関係ない話なのですけどね。

《関連記事》
【新潟2歳S】「新馬マイル勝ち」×「上がり最速」が好走条件 エンヤラヴフェイスやヒヒーンらにチャンスあり
【新潟2歳S】今が狙い時の仕上がりが早い血統 Cアナライズはアスコリピチェーノを推奨
【注目2歳馬】ラスト3F11.7-11.6-11.4の加速ラップを記録 Into Mischief産駒ルージュスタニングが突き抜ける

おすすめ記事