【小倉記念】軽斤量の差し追込が決まりやすいレース 京大競馬研の本命はアップデート
京都大学競馬研究会
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コース形態の割に差しが決まるレース
8月13日(日)に小倉競馬場で小倉記念(GⅢ)が行われる。昨年の覇者マリアエレーナや、海外帰り2戦目のエヒト、小倉巧者のカテドラルなど16頭が集まった。
2019年にはメールドグラースがここを勝って豪州GⅠを制したが、基本的に毎年メンバーは小粒。ここで生涯一度の大激走を見せる馬も多数いるため、非常に的中難易度の高いレースになっている。脚質や年齢別データから、ここで一変する馬を探したい。
まずは過去10年の脚質別成績を調べた。小回りコースの特性上、勝ちが最も多いのは先行【5-2-3-23】で、複勝率も30.3%ある。しかし、直線だけで差しきる中団【3-4-3-39】、後方【2-3-1-31】も、好走した頭数の面では先行勢に引けを取らない。
特に、暑熱対策で小倉記念が開幕週に移った2020年以降は、馬場傾向に反して昨年のマリアエレーナ以外は差し追込馬が台頭。9頭立てとはいえ、最後方から直線一気を決めた2021年モズナガレボシのような例すらある。開幕週のきれいな馬場を意識して先行から3コーナーで仕掛けにいく騎手が多いが、ここに出てくる馬では横綱相撲で押し切るには力が足りないため、結果後ろが恵まれるというわけだ。軽斤量の差し・追込が決まりやすいことも、同じ理由で説明がつく。
マリアエレーナの押し切りは珍しいパターンであるが、負かした相手や自身がその後GⅠでも好走している点から、ハンデGⅢでは力が二枚抜けていたという認識で良いだろう。今年も当然注目の1頭だ。
近年は4歳馬が特にアツい
次に、過去10年の年齢別成績を調べた。複勝率の最も高い3歳【0-2-0-1】は今年、出走なし。勝ち数が最も多いのは4歳【6-2-1-19】で、複勝率は32.1%。近5年中4年で勝利を収めており、軸に最適である。
5歳は4歳勢に押され気味ではあるが、それでも【3-5-3-24】、複勝率31.4%と悪くない。紐では必ずおさえておきたい。一方、6歳【0-1-5-32】、7歳【1-0-1-19】と年齢が上がるにつれ連対数が減る。馬連などを購入する際は軽視したい。
4歳、軽斤量、追い込み脚質で1番恵まれる馬
◎アップデート
3勝クラス6着からの参戦。近走では後ろからの競馬が多く、展開ハマらずの負けを繰り返している。しかし、不良馬場だった3走前を除いていずれも僅差、かつ昇級当時よりは着差も詰めていて、クラス慣れしてきたと考えて良いだろう。マリアエレーナ以外は手薄な先行勢と、もれなく斤量の重い後方勢が相手であれば、先述したデータなどから当馬が1番恵まれるのではないだろうか。重賞のペースに対応出来なければそれまでだが、相当の人気薄が予想されるため、ダメなら仕方ないで済ませる。
◯マリアエレーナ
連覇を狙う。珍しくハイレベルだった昨年の小倉記念を5馬身ちぎった勝ち方は鮮やかで、その後も牡馬に混じって健闘している。先行出来ることはそれだけでプラス、小回り適性抜群で無事に回ってきたら馬券圏内は間違いないだろう。しかし、今回と同じ斤量56.5kgを背負った愛知杯は伸び負けての3着と、馬体の小さいこの馬に56.5kgはやはり重い。抜け出して粘るところを、最後に斤量差で競り負ける可能性は考えておきたい。ただ連系の軸には最適だ。
▲ククナ
七夕賞2着。逃げ馬同士が牽制し合った結果、前が恵まれる展開の利はあったが、大幅距離短縮、休み明けに対応して全力の走りを見せてくれた。マリアエレーナが好走する展開になると、先行出来る当馬も必然的に恵まれる。
△スタッドリー
近2走は長距離を早仕掛けで垂れており、見直し可能。七夕賞、函館記念の除外で調整に狂いがなければ。
×カテドラル
小倉巧者。ムラ駆けであるため軸には出来ないが紐には必須。合わないダートを使った後で人気が落ちるようなら面白い。
×エヒト
海外帰りの前走は展開ハマらずの負けだったが、そもそも伸びが見られず出来が微妙だった可能性が高い。乗り替わりで先行するなら豊富なスタミナを使って残る可能性が高いと考え、年齢データ上は良くないものの紐には入れる。
馬券はアップデートの単複と、マリアエレーナ軸の馬連5点で勝負する。外に出られないほど暑い日が多く、新潟では回避続出、週中にはアスクビクターモアが亡くなるなど悲しい出来事が続いている。場所に関係なく全馬が元気に走って無事に帰ってくることを願いたい。(文:福山)
小倉記念 予想印
◎アップデート
◯マリアエレーナ
▲ククナ
△スタッドリー
×カテドラル
×エヒト
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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