【クイーンS】「前走不利データ」を持ち、札幌実績も十分 Cアナライズからは軽斤量のドゥーラを推奨

貴シンジ

クイーンS 前走クラス別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

先週の中京記念ではメイショウシンタケを推奨し6番人気8着。相性が良かった藤岡康太騎手が乗れなくなってしまったのは痛かった。さて、今回は7月30日(日)札幌競馬場で行われるクイーンSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった19頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。

重要データ:前走重賞で人気薄だった馬の激走に期待

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


クイーンSでは前走クラスが重要なファクターとなっている。海外や地方のレースも含めて前走重賞だった馬の成績は【10-7-7-56】、前走条件戦もしくはOP・Lだった馬の成績は【0-3-3-37】で、過去10年の勝ち馬は全て前走が重賞だった。

前走重賞組をもう少し深掘りすると、前走時の人気が重要な要素となっている。意外にも前走で人気だった馬よりも、人気がなかった馬の方が成績が良い。前走1~5番人気だった馬の成績は【2-5-4-14】で単勝回収率32%、前走6番人気以下だった馬の成績は【7-2-3-42】で単勝回収率209%となっている。上位人気が予想されるジネストラ、ルビーカサブランカはこの好走データには合致しない。

なお前走が海外重賞だったディアドラ(2018年1着)は上記人気別の成績からは除外している。

【前走重賞で6番人気以下だった出走予定馬】
・イズジョーノキセキ
・キタウイング
・シャーレイポピー
・ドゥーラ
・トーセンローリエ
・ビジン
・フィアスプライド
・ミスニューヨーク
・ライトクオンタム
・ローゼライト

前走不利データ:オークスのドゥーラ

ドゥーラの前走はオークス3着。オークスは桜花賞組が強いことは知れ渡っているが、桜花賞組と言えども大敗から巻き返す馬はかなり少ない。

桜花賞で11着以下だった馬のオークスでの成績は【0-0-1-17】でほとんど好走馬が出ていない。ドゥーラは桜花賞14着と大敗しているが、同レースはスタートが遅かったことが敗因として挙げられ、3走前のチューリップ賞は不利が痛かった。

その2走を除けば阪神JFでは上がり最速で6着、札幌2歳Sでは上がり最速で勝利するなど、ここに入っても十分通用するだけの実績の持ち主だ。51キロという斤量はかなり魅力的で、札幌実績もあることから上積みも見込める。

前走不利データ:オークスのライトクオンタム

ライトクオンタムの前走はオークス17着。オークスで逃げた馬の成績は【0-0-0-10】となっていて、東京2400mを3歳牝馬が逃げ切ることは至難の業だということがわかる。

桜花賞では2番人気に推された素質馬であり、オークスは自分の形とは違う競馬になってしまったことが敗因の一つだろう。3走前のシンザン記念で倒したペースセッティングが3勝クラスで勝ち負けしていることから、牝馬限定戦のここなら通用する可能性はある。

血統解説:ドゥーラ、ライトクオンタム

ドゥーラの血統表,ⒸSPAIA


・ドゥーラ
3代母ターミナルフラワーが日本での牝祖。同馬の牝系は本馬の祖母アラマサスナイパー(父ステイゴールド)から繋がる枝が繁栄していて、叔母には函館2歳S勝ちのクリスマス(父バゴ)がいる。活力はGⅠ級とまでは言い難いが、半兄オシリスブレイン(父バゴ)が芝短距離で3勝クラス入りするなど、重賞で戦えるだけのポテンシャルは秘めている。

ファミリーの特徴は、ターミナルフラワーの父Salt Lakeの影響が強くスピード性能が高い馬が多いことだ。祖母アラマサスナイパーにステイゴールドが入るが、母イシス(父キングヘイロー)がスプリンターだったように距離はそれほど持つ母系ではない。しかし本馬はドゥラメンテの影響が非常に強く、胴長な馬体はファミリーでは異質。コーナー角が緩やかで動きやすい札幌なら自慢の末脚を発揮しやすい。

ライトクオンタムの血統表,ⒸSPAIA


・ライトクオンタム
母イルミナントが米国産馬なので、日本での牝祖はイルミナントとなる。牝系としては広がりを見せているわけではないが、同馬は現役時にゲイムリーS(GⅠ・芝9F)を勝利している。米国産馬と言えど父はQuality Roadでスピードを持った欧州タイプの芝馬と考えても良いかもしれない。

そこにディープインパクトを父に迎えた馬がライトクオンタムで、成長力と洋芝をこなせるだけのパワーは十分あると考えられる。今回は立て直しの一戦となるが、52キロの斤量を活かして前進したい。

Cアナライズではドゥーラを推奨

今回のCアナライズではドゥーラを推奨する。好走データ該当馬でもあり、洋芝での実績もすでに持ち合わせている。これまでの戦績からも今回は十分通用する可能性があるだろう。

ライトクオンタムも捨てがたいが、一度崩れると立て直すのが難しいディープインパクト産駒。さらに牝馬なので、前走で逃げてしまったことが悪い方向に出なければといったところだ。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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