【中京記念】末脚勝負に強い血統を推す 京大競馬研究会の本命はダノンスコーピオン
京都大学競馬研究会
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直線一気が目立つレース
7月23日(日)に中京競馬場で中京記念(GⅢ)が行われる。復活を期すGⅠホースのダノンスコーピオンを筆頭に、牝馬GⅠで戦ったルージュスティリアやサブライムアンセム、リステッド戦で実績を残すウイングレイテストやメイショウシンタケなど16頭が揃った。
春に条件戦を勝ち、手頃なハンデと勢いを背に夏のハンデ重賞で飛躍を遂げる馬はままいる。しかし、今年は近走で精彩を欠いている馬が例年以上に多く、予想がいっそう難しくなった。巻き返しを決めるのはどの馬なのか、さまざまなデータから予想を組み立てたい。
まずは中京競馬場改修後の2012年から2019年まで、中京記念8回分の脚質別データを調べた。先行馬が抜け出す競馬の王道とは違う珍しい結果が出ており、最も成績の良い脚質は追込【4-1-4-31】で複勝率22.5%であった。勝ち馬4頭全て外からの大味な競馬で突き抜けており、前が坂で脚色鈍るところを捕まえるというのが、このレースにおける「王道」なのだろう。
先行【2-4-0-22】でもある程度の伸びは見せるが、勝利した2頭は道中3番手以内を進んだ穴馬であった。また、穴でよく狙われる逃げ馬の馬券入りはゼロで、このレースにおいて逃げ馬は基本消しとなる。買うべきは外枠の差し馬と、逃げ馬の後ろに付けられる穴馬になるだろうか。外枠に入ったダノンスコーピオンは注目だ。
末脚の目立つディープインパクト、ロードカナロア産駒優勢
次に過去5年の中京芝1600m(新馬、未勝利戦除く)における種牡馬別成績を、今回出走する馬の父を中心に調べた。外差しが決まりやすいこのレースにおいて、鋭い末脚がある血統はやはり有利なようで、切れ味最上級のディープインパクト産駒【17-11-18-118】、短距離で爆発的な末脚をもつロードカナロア産駒が【16-6-13-63】と、勝利数で他の種牡馬を大きく引き離す。
複勝率が最も良かった種牡馬はキングカメハメハ【6-9-3-21】複勝率46.2%であった。モーリス産駒も【7-8-3-23】同43.9%とくらいついており、勝率は17.1%とディープ産駒やカナロア産駒のそれを上回っている。サンプル数が増えた際には2大巨頭を超えうる勢いがあるため、是非買っておきたい。
好走時は外差し競馬 相手弱化と乗り替わりで復活を
◎ダノンスコーピオン
昨年の富士S3着以降は見せ場のない競馬が続いている。しかし、好走したレースはどれも中団以降から外を伸びており、馬群に突っ込んだ朝日杯FSや揉まれ続けた京王杯SCなどでは競り負けた様子から、外回し外伸びの競馬でしか走れないタイプなのだろう。先行して失速している現状の競馬がおそらく合っておらず、乗り替わりはプラスに出ると考えている。また、他にGⅠで勝負になる馬が皆無で、相手が非常に軽くなっているため、安田隆行調教師のおっしゃるとおり、走ってもらわないと困る、そんなレースになりそうだ。
◯サブライムアンセム
前走VM(ヴィクトリアマイル)では出遅れ、後方から追い込んだが、展開的に出番がなかった。近走は特に出遅れが多く力を出し切れていないが、阪神牝馬Sの時のように、好発から流れに乗ることが出来ればここで見劣る存在ではない。枠は少し内目に入ったが、深く考えず中団から堂々と外を回せば勝ち負けできるだろう。出遅れても展開は向くが、できればゲートは決めたい。
▲ディヴィーナ
VMを展開不利の中追い込んで4着。それまでがまるで通用していない競馬であったため、筆者としては能力面で全幅の信頼は置いていない。しかし、返し馬など多方面で改善を加えて結果を出したことは確かであるため、高い厩舎力とモーリス産駒という血統面での好データを武器に、前走以上の結果を期待しても良いだろう。ゲートがそこまで上手くないM.デムーロ騎手であることも、脚質面では逆にプラスになりそうだ。
△カイザーミノル
大穴枠。1月の京都金杯で差のない5着。外枠外差しのロードカナロア産駒でデータの後押しが多数ある。
×アナゴサン
逃げ馬の後ろを取れる穴馬。前走は馬体を減らしすぎた反動による負けであるため、馬体を戻せばチャンスある。軽斤量も生かしたい。
×ウイングレイテスト
逃げ馬の後ろその2。場所問わずほどほどに上位を取ってくる安定性がある。枠が少し外目でポジション取りに失敗すると巻き返しが不可能なため、アナゴサンより評価は下だ。
ルージュスティリアは先行競馬の限界に当たっている。今回は大外枠のため差し競馬を試してくる可能性があるが、直線だけでどこまで巻き返せるか未知数であるにもかかわらず、1番人気想定と旨味がない。これまで通りの先行策だとまず通用しないため消しとした。
馬券はダノンスコーピオン軸の馬連5点で勝負する。馬連に戻してから筆者自身回収率が向上しているため、当面の間、三連系の予想はやめて馬連で鍛え直すことにする。記事の方でも的中数を増やしていきたい。(文:福山)
中京記念 予想印
◎ダノンスコーピオン
◯サブライムアンセム
▲ディヴィーナ
△カイザーミノル
×アナゴサン
×ウイングレイテスト
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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