【宝塚記念】血統で見るグランプリ、凱旋門賞馬の血が騒ぐ 京大競馬研の本命はイクイノックス
京都大学競馬研究会
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ダービーでは走らない血統がずらり
6月25日(日)に阪神競馬場で宝塚記念(GⅠ)が行われる。昨年の年度代表馬でドバイでも圧勝したイクイノックスを筆頭に、天皇賞馬ジャスティンパレス、エリザベス女王杯を勝ったジェラルディーナ、長距離で実績残すディープボンドやアスクビクターモアなど相手も見劣らないメンバーが揃った。
イクイノックスの1強ムードが漂うが、ここまでの勝ちっぷりを見る限り、実力が抜けていることを認めざるを得ないか。負ける可能性があるとすれば、不利や疲労と言った予想に収まらない部分に依るという前提で、今回は血統から相手選びを行った。
まずは過去5年の宝塚記念好走馬の父馬を調べた。ディープインパクトの文字が並び続けたダービーとは打って変わって、近5年ではキングマンボ系が2勝(ミッキーロケット、タイトルホルダー)、Red God系のバゴ産駒が2勝(クロノジェネシス)と、東京ではお世話にならない血統の台頭が目立つ。梅雨の時期で雨が多いことや、阪神内回りで直線が短いことなどが原因で、ディープインパクト系の持っている切れ味が削がれ勝ちきれなくなっていると考える。
ディープ産駒で唯一このレースを勝ったマリアライトは前年稍重馬場だったエリザベス女王杯を勝ち、一方で良馬場での重賞勝ちがなかった。切れ味勝負になりにくいこの舞台が合っていたのだろう。同じディープ産駒でもこの舞台に合う合わないをどのように判断すれば良いのだろうか。
母父馬欧州型が有利
宝塚記念への適性を測るものが母父馬になる。近5年の勝ち馬4頭中3頭は母父馬が欧州調教馬だった。唯一該当しないクロノジェネシスは父バゴがフランス調教馬である。このことから、直線での末脚に特化したアメリカ血統ではなく、雨などに強い欧州の血統を持っていることが勝利の条件と言える。
2着馬に関しても近2年は母父が欧州調教馬だ。19、20年2着のキセキは母父こそディープインパクトだが、父が当レースで有利なキングマンボ系ルーラーシップ。18年2着のワーザーは父父Montjeu、母父父Sir Tristramどちらも欧州調教馬で、血統の面では宝塚記念に向いていたことが分かる。相手選びでも欧州血統を重視したい。一方で母父米国調教馬は近5年では3着が2回あるのみ、三連系のヒモまでにしておきたい。
母父父は凱旋門賞馬 実は血統面でも有利
◎イクイノックス
秋の天皇賞から目下GⅠ・3連勝中。ドバイで下した相手が帰国後続々と巻き返しておりハイレベルな一戦であったことが判明した。切れ味の問われた天皇賞、早仕掛けで持続力を問われた有馬記念どちらも快勝で、レースの質や脚質に何の注文もつかない点はプラス。
母父キングヘイローは凱旋門賞馬ダンシングブレーヴの血を引く欧州型で、皐月賞とダービーはこの血統が邪魔になったことから、本質的に宝塚向き。3枠5番とマークが厳しくなりそうな枠だが、そこを何とか対処できるのがC.ルメール騎手であるから、事故がなければ負けないものと考えたい。
◯ダノンザキッド
大阪杯に続いての高評価。前走は展開も向かせて完璧に乗った3着で、勝ち馬に劣らない内容だった。今回は距離延長で守備範囲外の2200mになることが不安材料だが、母父Dansiliはフランス調教馬で、産駒に凱旋門賞馬レイルリンクがいるなど2400mでもこなせる下地はあるはず。2枠3番と内枠を拾ったことで距離のごまかしがきけば、ここでも穴をあけてくるだろう。
▲ディープボンド
天皇賞(春)は3年連続の2着。伸びずバテずが持ち味で、完璧な折り合いと跳びの広さゆえのズブさから、やはり長距離向き。母父キングヘイローはイクイノックスと同じで舞台適性はあるが、昨年の宝塚記念でデアリングタクトに競り負けたように中距離ではスピード不足。雨予報がなくなったのもマイナスで、相手がイクイノックスでなくてもやはりアタマは厳しいか。離れた2、3着争いなら。
△アスクビクターモア
母父Rainbow Questはイギリス調教の凱旋門賞馬。ディープ産駒ながらキレはなく、宝塚向き。良馬場になりそうなのもプラス。
×ジャスティンパレス
春の天皇賞馬。母父Royal Anthemはイギリス調教馬で血統は悪くない。ただしイクイノックス相手では分が悪い。▲△とは能力面でも印の上でもほとんど差はなく、オッズと好みで差をつけた。
×ジオグリフ
皐月賞でイクイノックスを倒した経歴あり。その後は合わない東京、詰まった香港、海外ダート2戦と敗因が明確でこの舞台なら巻き返し可能。距離が少し長いため内枠が欲しかった。内枠なら本命だった。
ジェラルディーナは昨年の秋3走が全て枠や展開に恵まれており、恵まれなかった大阪杯は6着と敗れたように展開利が欲しい。能力で3番人気に足るだけの馬ではなく、点数を減らすため今回は切りとした。
馬券は1着イクイノックス、2着が△までの3頭、3着が相手5頭の三連単12点で勝負する。個人的な話だが、今回初めてイクイノックスを本命に据える。それまで逆らい続けた人気馬に本命を打った途端に負けるのはよくあることで、当記事でも私は2回断然人気の馬を飛ばしている(2020年チャンピオンズカップのクリソベリル4着と2021年安田記念のグランアレグリア2着)。非常に恥ずかしいため、もうやめてほしいものだ。(文:福山)
宝塚記念 予想印
◎イクイノックス
◯ダノンザキッド
▲ディープボンド
△アスクビクターモア
×ジャスティンパレス
×ジオグリフ
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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