【宝塚記念】世界チャンプの軸は不動 東大HCの本命はイクイノックス
東大ホースメンクラブ
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2023年上半期の総決算
日曜日、阪神競馬場でGⅠ宝塚記念が行われる。ドバイSCではノーステッキで2着に3馬身半差をつける衝撃Vを演じたイクイノックス、天皇賞(春)を2馬身半差で快勝したジャスティンパレス、有馬記念3着など牡馬とも互角以上に渡り合う牝馬ジェラルディーナ、昨年OP入りを決め、連勝でジャパンCを制したヴェラアズールなど、今年もグランプリに相応しいメンバーが揃った。
否が応でもイクイノックスに注目が集まり一強ムードが漂うが、今年はどのようなドラマが展開されるか。また馬券はどのように組み立てるべきか。今年も過去のデータから検証する。
問われるスタミナと末脚
<宝塚記念・過去10年の脚質別成績>
逃げ【0-2-2-6】勝率0.0%/連対率20.0%/複勝率40.0%
先行【8-2-3-25】勝率21.1%/連対率26.3%/複勝率34.2%
差し【2-2-4-40】勝率4.2%/連対率8.3%/複勝率16.7%
追込【0-3-1-41】勝率0.0%/連対率6.7%/複勝率8.9%
※マクリ【0-1-0-1】
まず脚質別成績から見ると、先行馬の成績が突出していることがわかる。ただし、上がり3F最速だった馬もまた【6-5-0-0】のパーフェクト連対。前につければいいというものではなく、瞬発力も必要である。
最近では19年1着リスグラシュー、20、21年に連覇したクロノジェネシス、昨年の2着ヒシイグアスらが上がり最速を記録している。上記の馬はいずれも4コーナー5番手以内であり、近年は先行した馬が上がりも最速という年が続く。
では差し馬が勝ったのはどのようなケースか。過去10年で差し切りが決まった16年(マリアライト)、17年(サトノクラウン)の例をラップ面から検討しよう。まず、宝塚記念の過去10年について、区間ごとに平均したラップタイムを示す。
<宝塚記念・過去10年のラップタイム平均値>
12.5-11.1-11.5-12.6-12.3-12.2-12.1-11.9-11.8-11.9-12.3
※小数第2位を四捨五入
まず2F目はスタート後、直線にある下り坂の影響で速くなる。3F目には1回目の登坂も含まれるが、ペースが大きく落ちることはない。コーナーを曲がる4F目では一旦ペースが落ち着くが、5F目あたりから向正面に入り、少しずつペースが上がっていく。最後の1Fは急坂で時計がかかるが、それでも12秒台前半が出る。ペースが落ち着く時間が短く、また急坂を2度越えるため、それなりのスタミナを備えていなければ好走は難しい。
マリアライトが差し切った16年(稍重)は12.6-11.0-11.1-12.3-12.1-12.4-12.3-12.2-11.9-12.2-12.7というラップ。序盤は速く、後半は稍重馬場もあって比較的時計を要している。勝ったマリアライトは、4コーナーで早めに進出を開始して上がり3F2位の36.3秒をマークしている。また、逃げてこのペースを作ったキタサンブラックも3着に入ったが、上がり3F4位タイの36.8秒をマークしていた。スタミナがあり、直線でも速い脚を使う余力を残せる馬が強いことには変わりない。
17年はサトノクラウンが差し切り、2、3着にも追い込み勢のゴールドアクター、ミッキークイーンが入った。このレースも稍重で行われ、12.5-11.1-11.6-13.1-12.3-11.7-11.6-11.8-11.7-11.8-12.2のラップ。6F目から11秒台に突入する早仕掛けの展開で、その結果逃げたシュヴァルグランや2、3番手につけたキタサンブラックが直線で失速。粘りこんだシャケトラも結局は勝ち馬に0.6秒差の4着と、逃げ先行馬がみな馬券圏外に沈んだ。これほどペースが上がりでもしない限り、後ろにいた馬が馬券圏内を独占することは考えにくい。
今年はユニコーンライオンがハナを切る可能性が高い。21年の逃げ方を見るに前半はそれほど飛ばさず、ペースを上げるタイミングも早くはしないだろう。17年のような展開にはならず、例年通りに流れるのではないか。強いて言えばドゥラエレーデが逃げる可能性もゼロではないが、幸英明騎手がテン乗りでいきなりハイペース逃げをするとも考えにくく、ユニコーンライオンを行かせて2~3番手で進めると予想する。
負けられない一戦
◎イクイノックス
日本のみならず世界の頂点に君臨するスターホース。快勝した有馬記念も4コーナーの入り口付近からじわじわと動き、上がり3Fは35.4秒をマーク。これはボルドグフーシュに次ぐ2位のタイムで、加速力はもちろん、トップスピードの持続力にも優れていることを証明した。欠点を探す方が難しいレベルで、逆らえない存在と言ってよい。
最終追い切りでは栗東CWコースで3頭併せを行い、馬なりながらラスト1F11.3秒を記録。よく伸びて僚馬に先着した。有馬記念と似た雰囲気で、デキは相変わらず高水準を保っている。また6月上旬から既に栗東入りしており、長距離輸送の心配もない。状態面の不安もなく、この馬の軸は不動だ。
◯ジャスティンパレス
菊花賞以来の鮫島克駿騎手とのコンビで挑む。古馬になってから馬体重を10kg以上増やし、阪神大賞典、天皇賞(春)と連勝しているように成長著しい。この馬の武器はスタミナだけでなく、この2戦続けて上がり3F最速をマークしているように瞬発力も兼ね備える点である。先述のようにスタミナと瞬発力がともに求められるこのレースはピッタリだ。
▲ディープボンド
昨年は道中3番手から進め、直線でも粘り、3着デアリングタクトとハナ差の4着に入った。長距離で結果を残し続けてきたこの馬にとって、スタミナ勝負の舞台は好都合。末脚を前面に出して勝つ馬ではなく、展開の助けこそ多少必要だろうが、昨年同様に持久力を発揮して好走できる可能性は十分にある。相手として押さえておきたい1頭だ。
以下ジェラルディーナ、ヴェラアズール、ダノンザキッドまで印を回す。馬券は◎1着固定、◯以下相手の3連単とする。
▽宝塚記念予想▽
◎イクイノックス
◯ジャスティンパレス
▲ディープボンド
△ジェラルディーナ
×ヴェラアズール
☆ダノンザキッド
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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