【ユニコーンS】ペリエールが最有力 鳳雛S上位2頭の撃破も評価

山崎エリカ

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ハイペース傾向がとても強いレース

ユニコーンSは過去10年の平均前半4F46秒63-後半4F48秒83と明確にハイペースの傾向だ。過去10年で超絶ハイペースが2回、かなりのハイペースが5回、ややハイペースが1回。平均ペースで決着したのは1回のみとなっている。

このため勝ち馬の脚質こそ逃げ1勝、先行3勝、中団3勝、差し2勝、追込1勝だが、2着は半数が差し、追込で決まっており、3着は80%差し、追込だ。連対ではそこまで脚質を意識する必要はないが、3着付けには差し、追込がオススメだ。

能力値1~5位馬の紹介

2023年ユニコーンS出走馬のPP指数一覧


【能力値1位 ブライアンセンス】
前々走の1勝クラスでは、先週の関東オークスを優勝したパライバトルマリンにハナ差の2着と好走した馬。前々走は9番枠からやや出遅れたが、そこから挽回して好位の外から追走。3~4角でもペースが緩まなかったが、外から位置を押し上げて4角で先頭列に並びかけ、直線でバトルパライマリンに食らいついて行く形。

4角で約3頭分外を回ったために、そこでバトルパライマリンに1馬身くらい離され、直線でもじわじわ差を広げられ、ラスト2Fでは1馬身3/4離されていた。ラスト1Fでバトルパライマリンが失速。そこでしぶとく伸びて、ハナ差の2着。惜敗したが、3着馬には2馬身半差、4着馬には8馬身近く差を付けており、好指数での勝利だった。

続く前走では完勝。2番枠から五分のスタートを切って、そこから押して行ったが、そこまで前の位置は取れず、3列目の内目。3~4角でも3列目の中目を通して直線へ。ラスト1Fで抜け出していたブレイゼストを捉えて2馬身半差、さらに3着馬に6馬身差をつけて、前々走からさらに指数を上昇させ、当日の東京ダ1600mの立夏S(3勝クラス)と同等の指数で勝利した。

前走時はダートがパサパサの上に強風がすごく、多くの馬がキックバックに怯んでいたが、本馬は3~4角でキックバック受けながら上がって、最後の直線でもしっかり伸びている。このことから湿ったダートでスピードを生かす競馬よりも、タフなダートでスタミナを生かす競馬のほうが合っていると見ている。本馬の近2走の指数はここでも十分に通用するものであり、体調をキープできていれば、当然有力だ。

【能力値2位 ペリエール】
前々走ヒヤシンスSの覇者。前々走は東京ダ1600m戦らしくかなりのハイペースだったが、3番枠から好スタートを切って外から前を主張する各馬を行かせ、好位の最内を追走。3~4角では中目を通し、直線で外に誘導して追われると、序盤の伸びは地味だったが、ラスト1Fで一気に前4頭を捉えて1馬身半差で勝利した。

本馬がヒヤシンスSで記録した指数は2月の次点では世代NO.1のもの。同レースの2着馬ゼットリアン、3着馬エクロジャイトが後の鳳雛Sでワン、ツーしているようにレベルが高い。前走のUAEダービーは3角で前の馬が下がって進路がなく、本馬も好位の内から中団に下がり、直線序盤でその外に出す不利はあったが、進路を確保してからもそれほど伸びず4着に終わった。おそらく1900mは本馬にとってやや距離が長いのだろう。

成長合戦の3歳戦で前々走のヒヤシンスSから成長がないとここで取りこぼす可能性もあるが、通常はその後の休養中に成長しているパターンが多い。3走前の全日本2歳優駿では3着とオマツリオトコにも敗れているが、これは超絶ハイペースの好位の外から4角先頭の早仕掛けが祟ったもの。外から捲ったデルマソトガケにも勝る強い内容で、ここでの期待が高まる。今回の本命候補だ。

【能力値3位 グレートサンドシー】
前走昇竜Sを勝利。前走は8番枠から出遅れて後方からの競馬。後方馬群の中目でレースを進めて3角で外。3~4角の外から位置を押し上げて直線に出されると、じわじわ伸びてラスト2Fでは中団の外だったが、ラスト1Fで前が止まりかけたところを、最後まで伸び続けて3馬身半差で圧勝した。

前走は2番手から最後の直線で早めに抜け出したマニバドラが次走の小金井特別(2勝クラス)を快勝したことからも、後方を追走した本馬はやや展開に恵まれた面がある。また前走と同じ芝スタートのデビュー2戦目のヒヤシンスSでも明らかに出遅れ、そこからあまり進んで行かなかったように、これまではゲートが甘く、後ろからになってしまう面を見せている。

ユニコーンSはまずハイペースになるレース。今回もヒヤシンスS同様に出遅れて後方からの競馬になりながらも、展開に恵まれて善戦する可能性はある。しかし、勝ち負けまでとなると、成長力で懸念材料を吹き飛ばせるかが課題だ。

【能力値4位 ジャスパーバローズ】
デビューから2戦は芝を使われたが、ダートに路線転向してから着実に上昇し、前々走ではわらび賞を勝利した馬。前走は鳳雛Sに出走。同レースでは4番枠から好スタートを切って、好位の最内と前々走よりも前目の位置でレースを進めていたが、向正面では前3頭に離され、その後ろの馬群の先頭列の最内4番手を追走した。

3角手前で同じ列の外、5番手でレースを進めていたフェルヴェンテが動くと、3~4角で後続勢がそれを目標に一気に進出。ここで包まれて中団まで位置が下がったが、直線序盤で上手く外に出し、そこからしぶとく伸び続けて、最後にフェルヴェンテをクビ差交わして3着でゴールした。

前走は前が止まらなかったが、本馬もじわじわと息の長い脚が使えており、地力強化のアピールも出来ていた。ただし、今回の問題は距離が今までよりも短くなることだ。前走時、向正面ではナチュラルに前3頭から離されただけに、忙しい競馬になってしまう不安はある。

【能力値5位 ニシノカシミヤ】
前走で東京ダ1600mの1勝クラスを完勝した馬。前走は3番枠から好スタートを切り、二の脚で楽にハナを主張。そこからコントロールして行ったが、外からソールズベリーが絡んで来たため、それほどペースを落とさずの逃げ。3~4角でもほぼそのままのペースを維持して1馬身3/4差ほどのリードで直線へ。そこからどんどん後続を離してラスト2Fで独走体勢。ラスト1Fでもそのまま後続を寄せ付けずに4馬身差で圧勝した。

本馬はスタートも二の脚も速く、操作性が良いのがとても魅力だ。行く気になればハナを主張できるスピードもあるし、テンの速いサンライズジークがぶっ飛ばしたとしても、離れた2番手を追走することもできる。今回は休養明け好走後、前走でブライアンセンスと同等の指数を記録した後の一戦で、疲れが出てしまう怖さもある。しかし、能力の天井が高く、ここは通過点と見るならば勝ち負けしても不思議ない。

穴馬はヒヤシンスSで不利を受けたオマツリオトコ

本馬は昨年の兵庫ジュニアグランプリを4馬身差で快勝と、メンバー唯一の重賞ウイナーだ。同レースは3番枠からまずまずのスタートから押して好位の内を取りに行ったが、キックバックを嫌がったため、1角で外に出して2列目の外を追走。3~4角で先頭列に並びかけ、4角出口ではもう先頭。2着スペシャルエックスに4馬身差をつけて圧勝した。

その次走の全日本2歳優駿は、12番枠からまずまずのスタートを切って、じわっと先行。大外のマルカラピッドを行かせながら、好位の外から内目に入れて追走。向正面でペースが上がったが、2列目の最内から前2頭を追い駆けて直線へ。ペリエールが外から早め先頭に立ったが、内からしぶとく伸びてラスト1Fで同馬を差し返したが、最後にデルマソトカゲに競り落とされ、アタマ差の2着に惜敗した。

しかし、レースが超絶ハイペースで流れた中、ペリエールよりやや前の好位でレースを進めながらも同馬に先着したことは評価できる。また、内で砂を被る競馬にも対応できた点も収穫だった。前々走のヒヤシンスSと前走は芝で大敗したが、もともとはペリエールとそこまで大きな実力差はない。

前々走は好位の外を追走し、3~4角では中団に近い位置で中目。直線序盤ではいつもの伸びを見せられなかったが、ラスト2Fで前のクロックフォードが最内から強引に外に出したことで、進路が狭くなって、急ブレーキで位置が下がったのは致命的だった。1400mがベストの馬で、1600mはやや距離が長い感はあるが、完全な力負けでもないだけに、立て直された今回で変われても不思議ない。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ブライアンセンスの前走指数「-23」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.3秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。



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