【葵S】スプリント界に新星誕生の予感 モズメイメイがレースレコードで逃げ切り勝ち

SPAIA編集部

2023年葵ステークス、レース結果,ⒸSPAIA

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3歳短距離馬の大一番

翌日には東京競馬場で日本ダービーが開催され、春のクラシックはひと段落を迎えた。短距離戦線の3歳馬たちにとっては、この葵ステークスが春の大一番。昨年はこのレースを勝ったウインマーベルが秋のスプリンターズSで2着になるなど、近年はスプリントの登竜門となりつつある。

今年は3年ぶりに京都での開催。京都の芝1200mは内前有利の傾向が顕著で、このレースもあまり変わらない。京都開催の過去8年は逃げが3勝2着2回。1~3枠は7勝を挙げ、複勝率でも他枠を圧倒していた。そういった傾向はもちろん騎手も把握しているのだろう。スタートから3コーナーまでの位置取りが大事で、とにかくハナや先行争いが激しくなる。

しかし、今年は勝ったモズメイメイが他馬から一馬身ほど前に出るロケットスタートを決めた。こうなると競りかける馬はおらず、ハナ争いは一瞬で決着。2番手以降の隊列も比較的スムーズに決まり、レースは淡々と流れた。

競りかけられることなくハナを奪ったモズメイメイは直線に入っても余力十分。好位の内にいた4連勝中の1番人気ビッグシーザーや、同じく内にいた2番人気ルガルが必死に前を追ったが差は最後まで縮まらず、モズメイメイが1/2馬身差で逃げ切り勝ち。結果だけを見ればスタートで勝負あったようにも見えるが、直線に向いたとき2、3番手にいたタマモブラックタイとアンビバレントは9、17着。決して前にいた馬に展開が向いたわけではない。

勝ち時計1:07.1の持つ意味

勝ち時計は1:07.1。このタイムはレースレコードを0.3秒更新したものになる。前のレコードは2001年にカルストンライトオが記録した1:07.4。同馬は後にスプリンターズSを勝ち、現在も芝1000mの日本レコードを保持しているほどの快速馬だ。

そもそも1986年以降の京都芝1200mで、勝ち時計が1:07.1以下は9レースしかない。しかも9レース中7レースは開催4日以内と馬場状態の良いときに行われている。また3歳限定戦は2012年のあやめ賞(現1勝クラス)の1レースのみ。勝ち馬のトーホウアマポーラはその後CBC賞(GⅢ)1着や、キーンランドC(GⅢ)2着などスプリント戦線で活躍した。

もちろん3年ぶりの京都開催で、馬場状態が良かったことも考慮に入れる必要がある。しかし、今開催は雨も多く、開催10日間で終日良馬場だったのは6回で、一日通して不良馬場だった日もあった。開催3日目に良馬場で行われた3勝クラスの勝ち時計が1:07.7だったことからも、開催11日目に行われた本レースの勝ち時計1:07.1は素晴らしいタイムだ。

勝ち馬モズメイメイだけでなく、2、3着のルガルやビッグシーザーも今後が楽しみだ。また4着のブーケファロスは不利な17番枠から外を回し、上がり3F最速タイの32.5でよく追い込んできた。上位4頭はこの先の古馬相手の重賞でも戦える力はあるだろう。

現在のスプリント戦線は絶対王者不在で混戦模様。今回の好走馬の中から秋のスプリンターズSや、来年以降のスプリント戦線で主役を張るような馬が現れる可能性は十分ある。各馬の次走に注目したい。


2023年葵ステークス、レース回顧,ⒸSPAIA


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