【ヴィクトリアマイル】スローペース適性のある差し馬を狙う 東大HCの本命はソングライン
東大ホースメンクラブ
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女王をめざす熱き争い
日曜日、東京競馬場でGⅠ・ヴィクトリアマイルが行われる。大阪杯でハナ差の2着まで迫ったスターズオンアース、連覇がかかるソダシ、昨年のチューリップ賞以来の勝利を目指すナミュール、安田記念の覇者ソングライン、桜花賞以来のマイル戦となるスプリント界の強豪ナムラクレアなどが出走を予定している。
女王決定戦に相応しい好メンバーとなった一方、もはや波乱の決着が当たり前となって久しいレースでもある。どういった切り口で馬券を組み立てるのがよいか。今週も過去10年のデータから検討する。
スローに強い差し馬を
<過去10年のヴィクトリアマイル・脚質別成績>
逃げ【1-0-1-8】勝率10.0%/連対率10.0%/複勝率20.0%
先行【3-2-3-30】勝率7.9%/連対率13.2%/複勝率21.1%
差し【6-7-5-61】勝率7.6%/連対率16.5%/複勝率22.8%
追込【0-1-1-48】勝率0.0%/連対率2.0%/複勝率4.0%
まず脚質別成績から確認する。複勝率でみれば逃げ、先行、差しが横一線。昨年は好発から4番手の好位で進めたソダシが勝ち、3着には2番手追走のレシステンシア、紙一重の4着には逃げた18番人気ローザノワールが入っている。一方で7着アブレイズ、9着シャドウディーヴァ、13着テルツェットはすべて上がり最速(32秒9)をマークしたにもかかわらず惨敗。いずれも4コーナー15番手以下であり、ここまで極端に後ろになってしまうと相当なキレ味を持っていても届かない。
ただ、執筆時点で今週末は雨の予報。そこで、過去10年の5月東京、芝1600mのBコースで行われた古馬2勝クラス以上のデータをもとに馬場状態と脚質の関係について確認する。
逃げ先行勢に関しては良馬場時が【12-5-7-55】で複勝率30.4%。これが道悪になると【2-1-1-14】で同22.2%と数字を落とす。逆に差しは良→道悪で複勝率24.4%→28.0%と良化している。馬場の観点から見れば差し馬に利がありそうだ。
今回はソダシはじめ先行して結果を残してきた馬こそ多いが、はっきりとした逃げ馬が不在。スローペースからの瞬発力勝負になることが想定される。スローに強い差し馬という点で、重い印を打ちたいのがソングラインだ。芝の状態が異なるとはいえ、瞬発力勝負となった安田記念で4コーナー10番手から上がり32秒9をマークし、シュネルマイスターやサリオス以下を抑え差し切り勝ちしている。今回の展開にぴったりハマる馬で、特に重視したい一頭といえよう。
新緑の府中に凱歌をあげる
◎ソングライン
ここ2戦は短めの距離を使っていたが、今回は安田記念以来のマイル戦。その安田記念は12秒2-11秒0-11秒5-12秒0-12秒0-11秒2-11秒0-11秒4というラップで、中間で息が入るスローペースとなった。先述したように、今回も展開は向くだろう。
セントウルSは初の1200mだったこともあり、4コーナー9番手から直線一気にかける形となって5着に敗れたが、上がり3Fはメイケイエールに次ぐ2位タイの33秒1をマーク。休み明けも考慮すれば悲観するほどではない。1351ターフスプリントでは10着に敗れたが、ヴィクトリアマイルは前走6着以下馬が10年で6勝など、大敗からの反撃が珍しくない。妙味が出ればなおよし。主戦場のマイルでの成績を評価し、巻き返しに期待する。
◯ソダシ
芝マイルでは【4-0-1-0】、負けたのは前走のマイルCSだけと圧倒的な安定感を誇る。東京芝マイルでは一昨年のアルテミスS、昨年のヴィクトリアマイルで2戦2勝。およそ半年ぶりのレースとなるが、最終追い切りでは栗東坂路でラスト1F11秒9をマークしており、状態面に不安はない。ただし、デビューから手綱を握り続けた吉田隼人騎手からD.レーン騎手に乗り替わることと、芝の道悪未経験なのが不安材料。一枚割り引いて対抗とした。
▲スターズオンアース
実績的にはソダシ以上で、特に大阪杯は後方からメンバー中最速の上がり3F34秒4をマークし、勝ち馬のジャックドールをかわす勢いだった。負けはしたが強さを改めて見せつけた形で、今後に期待を持てる内容だった。相手関係は一切問題ないだろう。しかしここ2走はゲートで出負けしている。マイルへの再短縮がどう出るかも不明で、3番手評価とした。
以下ナミュール、サブライムアンセム、ララクリスティーヌに印を回す。馬券は◎軸、◯以下相手の3連複とする。
▽ヴィクトリアマイル予想▽
◎ソングライン
◯ソダシ
▲スターズオンアース
△ナミュール
×サブライムアンセム
×ララクリスティーヌ
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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