【青葉賞】2006年以来の1戦1勝馬 ヒシタイカンが狙うダービー下剋上への道

佐藤永記

2023年青葉賞の前走上がり3F順位別成績,ⒸSPAIA

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1戦1勝 新馬勝ちからの出走は初

青葉賞に出走するヒシタイカン。新馬戦を勝って1戦1勝で青葉賞に出走するのだが、実はこのローテは史上初となる。

1994年の重賞昇格以降、青葉賞の歴史のなかで前走新馬勝ちから向かってきた馬は「未出走戦」を含めても6頭しかおらず、それも2000年が最後(※当時は同開催内なら新馬戦に複数回出走可能)。デビュー戦勝利から直行した1戦1勝馬も過去2頭しかいない。

ちなみに1戦1勝で青葉賞に出た2例(2006年トロフィーディール、1994年カリブパイレーツ)はいずれも4月デビューでそれぞれ未勝利、未出走を勝って、中2~3週で青葉賞に滑り込み出走してきたもの。結果は8着と17着である。

だがヒシタイカンの場合は2歳10月に新馬戦を強烈な差し脚で快勝し、休養しての2戦目。2月末から在厩しており、なんとか急いで出走させていた過去例とは違い、調整に関しては問題なさそうである。もちろん、成長を促すために休養させていたのだろう。ダービーを目標にしたいというオーナーの思惑も見える。

過去ダービー馬が出ていない青葉賞からのローテではあるが、逆に今までに存在しなかった過程であれば、やってみないとわからないというのが正直なところだ。


東京の長い直線で追い込める上がりが必須

青葉賞過去10年 前走上がり3F順位別成績,ⒸSPAIA


ちなみに過去10年の青葉賞、前走上がり3F順位別の成績を見ると、1位だった馬が【5-5-6-36】と馬券圏内の半数以上を占めている。1~2位までで【9-6-6-59】だ。まずは長い直線をしっかり走れる馬を候補に入れたいところ。ヒシタイカンは新馬戦で馬群の中から直線残り250mで外に持ち出して鋭く伸びており、当然候補になりうる。その新馬戦で倒したスキルヴィングがその後連勝し、このレースでも人気上位になりそうだが、再び同じシーンとなってもおかしくはないだろう。

また、昨年はプラダリアが青葉賞史上初めて、前走未勝利勝ちからの制覇を成し遂げている。調整方法も変わりつつある昨今の競馬において、3歳春のクラシックではキャリアがそこまで大事ではないと証明済みなのも心強い。激戦だった皐月賞組に、いよいよ青葉賞組が逆襲できる年になるかもしれないというワクワクをもって注目したいレースだ。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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