【フローラS】先行力があるゴールデンハインド、ソーダズリングに大きなチャンスあり

山崎エリカ

2023年フローラS出走馬のPP指数,ⒸSPAIA

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内枠の先行~好位馬が有利

2回東京開幕週で行われるフローラSは、過去10年を見ても1~5番枠の馬が7勝、2着3回、3着2回と好走している。またトライアルらしくスローペース傾向で、かなりのスローペースが6回、ややスローペースが1回、平均ペースは1回、ややハイペースが1回しかない。全体的に内枠の先行~好位勢が活躍しており、今年もそれを踏まえて予想を組み立てたい。

能力値1~5位の紹介

2023年フローラS出走馬のPP指数一覧,インフォグラフィック,ⒸSPAIA


【能力値1位 キミノナハマリア】
函館芝1800mの新馬戦をラスト2F12秒6-12秒5と最後まで加速しながら勝利し、素質の高さを見せていた馬。同レースでは5番枠からまずまずのスタートを切って、そこから促されて好位の中目を追走にいたが、道中では位置を下げて中団最内を追走。あまり手応えが良かったとは言えず、苦しいかと思わせる場面もあった。しかし、3~4角の最内から一気に前との差を詰め、直線でも狭い最内を捌いてラスト1Fで抜け出し、2馬身差で完勝した。

新馬戦が函館記念当日の極悪馬場だったことから、高速適性に不安もあったが、近2走は高速馬場にも対応できている。前走の君子蘭賞は7番枠からまずまずのスタートを切り、そこからコントロールして後方の外目を追走。途中でじわっと位置を上げて2列目の外で3角。3~4角で一気にペースが上がり、4角地点がレース最速となったため、2頭分外を回っていた本馬はさすがに置かれて一列位置を下げたが、直線で追い出されると徐々に伸びてラスト1F地点では先頭。そこからさらにリードを広げて3馬身差で完勝した。

本馬が前走で記録した指数は重賞通用レベル。ゲートが安定しており、二の脚もまずまずなので、今回もいい位置が取れる可能性が高い。前走の疲れが残っていなければ当然チャンスがある。状態を見極めたい馬だ。

【能力値2位 ブライトジュエリー】
前走は初出走ながらキャリアを積んだ馬たち相手に勝利した馬。同レースは15番枠から五分のスタートを切ったが、内の馬と接触して位置が下がって後方からの競馬。そこから中団馬群の中目のスペースを拾って挽回を図ったが、さほど位置を上げられず中団馬群の後方を追走。向正面でペースが緩まなかったので最内を選択し、3~4角で最短距離を通って直線へ。序盤で一番外まで誘導されると、そこからグンと伸びて2番手まで上がり、ラスト1Fで先頭を捉えてそのまま突き抜け4馬身差の勝利だった。

本馬が前走で記録した指数は1クラス上のもの。ラスト2Fは12秒0-12秒0と最後まで減速せずに勝利したことも価値が高い。操作性も高く、驚きの走りだった。本馬同様に既走馬相手のデビュー戦を1クラス上の指数で勝利したミッキーゴージャスは、次走の1勝クラスを好指数で楽勝し、出走できればオークスでも有力候補と言える馬だ。本馬でやや気になる点は、前走は五分のスタートを切っているとは言え、後方からのレースとなっている点。今回は1番枠だけに、上手く出して行けるかがポイントだ。

【能力値3位 クイーンオブソウル】
昨秋の中山芝1600mの新馬戦を、逃げてラスト2F11秒2-11秒3の5馬身差で圧勝し、かなりの素質を感じさせた馬。その後は休養を挟み、今年2戦はOPクラスに格上挑戦しながら、崩れていないあたりに能力の高さを感じる。

前走のアネモネSは14番枠からやや出遅れ、そこから軽く促されたが、無理せず中団やや後方の外を追走。道中は折り合い重視で後方に近い位置で3角まで我慢。3~4角で仕掛けてすっと上がり、4角2列目付近まで押し上げた。4角出口で前も仕掛けてペースが上がったが、2列目付近を維持して直線へ。最速地点では動けずにジリジリだったが、ラスト1Fで何とか2番手に上がったところを、大外からコンクシェルに差され、クビ差で桜花賞出走権を逃した。

前走は3~4角の外から勝ちにいく競馬でロスが生じたが、新馬戦の内容から好位で流れに乗れればもっと持ち味が出る可能性がある。今回はスタートを決められるかがカギとなる。

【能力値4位 イングランドアイズ】
新馬戦は後にクイーンCを勝利するハーパーが4角出口の急コーナーでかなり外に振られるロスがあったにせよ、同馬を撃破した馬。次走クイーンCではハーパーに逆転されたが、デビュー2戦目でいきなり4着と好走した点は、かなり高い潜在能力を秘めていることを感じさせた。

クイーンCは6番枠から出遅れ後方から押して挽回していく競馬。中団馬群の後ろのスペースを詰めていき、中団最内で3角へ。3~4角で緩みが生じ、進路がないまま直線を向かえて序盤は前が壁だったが、ラスト2F目で抜け出しを図るハーパーの後ろから抜け出し、そこから2列目まで上がったが、最後は及ばずの4着だった。しかし、キャリアの浅さからまだ前進の余地はあるはずだ。

ただ今回は14番枠とかなり不利な枠に入ってしまった。また前走は出遅れて後方からのレースになっている点も気になる。前走は新馬戦が芝2000mだった影響で、出遅れてレースの流れに乗れなかった面はあるが、今回は開幕週で内と前が有利となると不安だ。前走後に休養させているので疲れは取れていそうだが、良い点と懸念点が混在しているだけに評価が難しい。

【能力値5位 ゴールデンハインド】
デビュー3戦目の芙蓉Sを逃げて2着し、豊富なスタミナを感じさせた馬。デビュー4戦目のアイビーSでは差す競馬を試みたが、決め手がやや足りずに4着と伸び負けた。しかし、近2走は好位からの競馬で着順をまとめているように、成長を感じる。

特に前走フラワーCはかなりタフな馬場の消耗戦で、差し優勢の展開となった中での4着だった。12番枠からスタートは五分だったものの、そこから押して二の脚でハナを狙って行く形。最終的に控えて2列目の外、向正面では4番手を追走したが、3角で先頭列2頭の外から並びかけ、4角出口でワンテンポ待って先頭列で直線へ。内からパルクリチュードに出られ、ラスト1Fでも踏ん張っていたが、外の2頭にも交わされ、3着馬から1馬身差の4着だった。

今回は東京開幕週だけに、後半勝負では伸び負けの可能性がある。しかし、逃げて持ち味を生かし切る競馬ができれば、差し、追い込みタイプが多い今回は粘り込む可能性は十分ある。

穴馬はソーダズリングとティファニードンナ

【ソーダズリング】
今年2月の阪神芝1800mの未勝利戦でデビューし、2着と好走した馬。同レースは5番枠からやや出遅れたが、そこから無理せず控えて一旦最後方まで下げ、最内のスペースからじわじわ上がっていく競馬。3角では4列目の最内。4角出口で中目に誘導して直線へ。序盤は前が壁で外に出し切るのにやや手間取ったが、ラスト1F手前で進路を確保すると、グングン伸びて先に抜け出したマンデヴィラとの差を詰めたが、ハナ差の2着まで。しかし、3着以下には差を付けており、なかなか良い指数だった。上がり3Fタイムは最速、直線で前が開いてからの末脚は光るものがあった。

前走は9番枠からまずまずのスタートを切って、課題のゲートを克服。そこからはコントロールして好位の中目に付け、折り合いはスムーズ。3角で明確にペースが落ちたが、行きたがる様子もなく、4角で早めに外に誘導しながら、出口で軽く促されて3列目付近。そこから軽く追い出されるとすっと伸びて一気に前を飲み込み、ラスト1Fで突き抜け、2馬身半差の圧勝。ラスト2F11秒4-11秒4とまだ余裕を感じさせる豪脚だった。

今回は2番枠と絶好の枠。レースの流れにも乗れそうだ。未勝利戦勝ち直後で実績はないが、他の点はあまり減点材料がない。指数上は穴馬の立ち位置となるが、チャンス十分の馬と言えるだろう。

【ティファニードンナ】
昨秋の中山芝1800mの新馬戦では、13番枠から好スタートを切り1番人気のスノードームの外3番手を追走。4角で仕掛けた同馬を見ながら仕掛け、マッチレースの形となったがそれをクビ差で制した。ラスト2Fは11秒4-11秒2で高い素質を感じさせた。

次走ひいらぎ賞は前走との流れの違いに対応できず、5番枠から五分のスタートを切りながらも置かれて挟まれ、中団やや後方の中目を追走。3~4角の外からじわじわ上がって、3列目付近で4角。直線ではそこからしぶとく伸びて3着に好走した。本馬は前走時、鼻出血しながらも好走。また、これまでの2戦とも最速の上がり3Fタイムを記録していることからも、潜在能力の高さを感じる。休養期間中にさらに成長していれば、チャンスは十分ある。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)キミノナハマリアの前走指数「-13」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.3秒速い
●指数欄の下線、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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