【マイラーズC】持続力が要求される舞台 平坦コースや下り坂に強い「Princely Gift」内包馬が狙い目
坂上明大
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傾向解説
3年ぶりに京都芝1600mを舞台に行われるマイラーズC。馬場状態は開幕してみないとわかりませんが、コースレイアウトは大きくは変わっていないため、求められる適性が改修前から一変することはなさそうです。血統を中心にマイラーズCで求められる適性を整理していきます。
京都競馬場、特に芝の外回りコースは3角の下り坂が大きな特徴。そこから徐々にペースが上がり、息の長い末脚が求められるコースです。ピッチ走法で一気にギアを上げられる瞬発力タイプよりも、柔らかいフットワークでストライドを伸ばせる持続力タイプに向く舞台といえるでしょう。
・京都開催時の平均ラップ(2013~20年)
12.4-11.0-11.5-12.0-11.5-11.4-11.0-11.5
血統面ではPrincely Giftに注目。Princely Giftの血は柔らかく、かつ軽いスピードを子孫に伝え、平坦コースや下り坂では今もなお強い存在感を示しています。マイラーズCにおいても2013年グランプリボス、2015年レッドアリオン、2020年インディチャンプなどが優勝。ステイゴールドやサクラバクシンオーなどを経由して現在の日本馬にもその血が受け継がれています。
また、同様の理由からSir Gaylordの血も大活躍。マイラーズCでは2014年ワールドエース、2015年レッドアリオン、2017年イスラボニータ、2018年サングレーザー、2019年ダノンプレミアムなどが勝利しています。本血脈はディープインパクトにも入るため該当馬が多く、単に内包するだけでは特筆するほどの回収率ではありません。しかし、Sir Gaylordをクロスする馬は【2-1-0-1】単回収率202%、複回収率225%(京都開催の13~20年)と好走率、回収率が非常に高く、Princely Giftとともに注目の血統であることに変わりありません。
血統解説
・シュネルマイスター
母セリエンホルデは2016年独オークス馬。父Kingmanは欧州のマイルGⅠを爆発的な瞬発力で制しており、本馬は芝1600~1800mでの瞬発力勝負がベストではないでしょうか。Sir Gaylordの6・7×6を持つため京都外回りコースを苦にすることはなさそうですが、特別この舞台が得意というタイプでもなさそうです。
・ジャスティンスカイ
母リアリサトリスはNumber≒Nureyevの2×3を持つ底力のある繁殖牝馬で、JRAデビューの産駒全6頭が勝ち上がりを決める優秀っぷり。本馬は父にキタサンブラックを配し、Lyphardの5・5×5などで父の良さを継続しつつ、Sir Gaylord≒Secretariatの7×5から柔軟性やスピードも兼ね備えた万能型マイラーです。
・ガイアフォース
ジャスティンスカイと同じキタサンブラック産駒ですが、母ナターレは2011年戸塚記念を制すなど長丁場の競馬で実績を残しており、長手の体形から本馬も中長距離向きの距離適性とみていいでしょう。特に母父クロフネやノーザンテーストの5×4の影響から中距離での消耗戦には滅法強いタイプです。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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