【フローラS】4月生まれ馬は連対なし データのイチオシはティファニードンナ

門田光生

フローラSの生まれ月別成績(過去10年),ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

オークストライアル

2023年4月23日に東京競馬場で行われる第58回フローラS(オークストライアル)。昨年の2着馬パーソナルハイのように、桜花賞で権利を取れなかった馬がこちらに回ってオークスの優先出走権を獲得するイメージがあったのだが、調べてみるとここ10年で桜花賞組は2頭しか出走していなかった。

レースの選択肢が増え、また賞金も増額されたことによって、何が何でもGⅠに出走、という厩舎が減ってきたのだろうか。それはそれでさみしい気持ちもあるが、これも時代の流れ。仕方がないのかもしれない。今年も桜花賞組はゼロである。

では、桜花賞にかわって台頭しているステップレースは何なのか。そのあたりも気にしながら、過去10年の成績を基に検証していきたい。

フローラS出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆所属
美浦【5-6-6-84】、栗東【5-4-4-58】と互角の様相。出走頭数は美浦所属馬の方が30頭ほど多いので、勝率、連対率ともに栗東所属馬がわずかに上回っている。

フローラS出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆キャリア
キャリア3戦【4-3-3-28】が勝利数、連対数でトップの数字。キャリア4戦は【3-0-1-22】で3勝をあげているが、キャリア5戦は【0-4-3-22】で1着がない。不振なのはキャリア1戦、6戦、そして9戦以上だった馬で、この3パターンから3着以内に入った馬は出ていない。

フローラS出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
フローラS出走馬の前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと前走
勝ち馬が出ているのは前走未勝利、1勝クラス、オープン、GⅢ。上記で少し触れたが、桜花賞を含むGⅠ組は【0-1-0-3】と出走頭数が少なく、また勝ち馬も出ていない。不振なのは新馬組とGⅡ組で、ここから出走した9頭はすべて着外となっている。

相性のいい前哨戦だが、最も多く連対馬を出しているのはフラワーC。1着馬は1頭しか出ていないが、2着3頭、3着は4頭出しており、3連系の馬券なら軸として信頼してよさそう。1勝クラス(旧500万以下)の君子蘭賞も13頭が出走して5頭が馬券に絡んでおり、これも相性のいいステップレースと考えていいだろう。またコースで言うと前走で福島、中京、小倉を走っていた馬はすべて着外となっている。

フローラS出走馬の前走着順,ⒸSPAIA
フローラS出走馬の前走人気,ⒸSPAIA


☆前走着順と前走人気
勝ち馬10頭中、7頭が前走1着馬。前走が2着、もしくは3着だった馬と比較すると明らかに成績がいい。

前走人気は1~4番人気までまんべんなく勝ち馬を出しているが、中でも前走2番人気の馬が5勝。勝率、連対率とも上位人気の中ではトップだ。

フローラSにおけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他
その他で気になったデータは、まず母の父キングカメハメハ【2-1-0-3】で連対率5割。サンプル数がやや少ないとはいえ、優秀な数字だ。キングカメハメハは父としても最多タイの2勝を挙げており、このレースと相性がいいものと思われる。

続いて前走着差。勝ち馬から0.9秒以上離されていた馬は28頭いて、連対したのは2021年の2着馬スライリーだけ(今年は該当馬なし)。最後に誕生月。4月生まれだった馬は32頭出走しているのだが、なぜか連対した馬が出ていない。


割引材料がない馬から

フローラSのデータをまとめてみよう。まず好走率が上がるのはA「キャリア3戦」B「前走がフラワーC、または君子蘭賞」C「前走1着馬」D「前走2番人気」E「母の父キングカメハメハ」。

連対がないマイナスデータはF「キャリア1戦、6戦、9戦以上」G「前走が福島、中京、小倉」H「4月生まれ」。

まず今回の登録馬を見て気づいたのは、前走着順が1着、3着、4着の3パターンしかないこと。2歳戦の最初のオープン特別や、地方の条件特別で全馬が前走1着というレースは見たことがあるが、このパターンはあまり記憶がない。

さて、肝心のデータ分析だが、登録馬15頭中、なんと11頭が連対のないF「キャリア1戦、6戦、9戦以上」G「前走が福島、中京、小倉」H「4月生まれ」のいずれかに当てはまってしまった。

Hの「4月生まれ」などは因果関係がさっぱり分からないが、サンプル数が32頭とそれなりにいるにもかかわらず連対馬がいないのだから、偶然では片づけられない。一方でG「前走が福島、中京、小倉」は小倉に限れば過去に4頭しかいないので、これなら例外が出る可能性も低くない、ともとれる。

今回、マイナスデータがない馬はソーダズリング、ティファニードンナ、マンマリアーレ、そしてレシプロシティの4頭。ソーダズリングとレシプロシティは「前走1着」、ティファニードンナは「前走2番人気」というプラスデータを持っているが、マンマリアーレはプラスデータなし。気になるのは、ティファニードンナの前走が昨年12月ということ。昨年の勝ち馬エリカヴィータは年明けのレース(フェアリーS)以来だったし、近年は「休み明け=割引」という概念が薄れており、それはデータでも証明されている。今回はここを本命にしてみたい。

相手はソーダズリングとレシプロシティ。そのほかの馬はノーマークにしてもいいが、データには例外がつきもの。ということで、コイニョウボウとバロッサヴァレーに注目。2頭ともG「前走が福島、中京、小倉」に該当するが、マイナスデータを持つ馬がほとんどの今回、サンプル数が少ないこのデータに限っては参考程度と割り切りたい。2頭とも登録馬で最多タイとなる2つのプラスデータを持っているのも推し材料。今回は以下の5頭BOXがおすすめだ。

◎ティファニードンナ
◯ソーダズリング
▲レシプロシティ
△コイニョウボウ
×バロッサヴァレー

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
皐月賞を勝ったソールオリエンスの母の父はMotivator。これは一昨年の2着馬タイトルホルダーと同じで、ともに雨が残る馬場での好走でした。母の父Motivatorという馬は、日本ではほとんどいない中で、ほかにも2頭がGⅠで連対。オルフェーヴルを退け、翌年も凱旋門賞を勝ったTreve(父Motivator)の産駒が輸入されていれば、激熱だったんですけどね。

《関連記事》
【フローラS】ポイントは中距離へのシフトチェンジ 狙いは君子蘭賞勝ち馬キミノナハマリア
【フローラS】Cアナライズからの推奨はキミノナハマリア 好走データ、前走不利データ、東京向き血統の三拍子揃う
【2歳馬ジャッジ】ティファニードンナとヒップホップソウル、牝馬クラシックが楽しみな2頭が出現!

おすすめ記事