【2歳馬ジャッジ】 ティファニードンナとヒップホップソウル、牝馬クラシックが楽しみな2頭が出現!
山崎エリカ
ⒸSPAIA
木村哲也厩舎の牝馬2頭が活躍 9月3週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は加速しながらのマッチレースを制した木村哲也厩舎のティファニードンナや、豪快なフットワークで2着に4馬身差をつけた同厩舎のヒップホップソウルなどが出た、9月17~19日の2歳戦について指数と評価を掲載する。
9月17日(土) 中山5R 優勝馬 ティファニードンナ 指数-5 評価AA
2番人気のティファニードンナは大外13枠からの出走。10番枠から好発を切って先行態勢に入った1番人気のスノードームを見るような形でその直後につけた。このレースで上位人気に支持された2頭が道中2、3番手からレースを進めた。
ラスト4F地点でスノードームの鞍上がライバルのポジションを確認するように後ろをチラっと見る。ラスト2Fで同馬が逃げ馬を交わして先頭に立ち、それをマークするように外から並ぼうとするティファニードンナ。直線では2頭による加速しながらの追い比べとなり、最後は追う者の強み、わずかにティファニードンナが先着した。
ラスト2Fは11秒4-11秒2。3着馬を4馬身も引き離してのマッチレースは見事で指数も新馬戦としては優秀。まだ余裕を感じさせるラスト1Fの数字。今回の上位2頭は今後の活躍がかなり期待できそうだ。
9月18日(日) 中山4R 優勝馬 スピードオブライト 指数-2 評価B
14番枠からトップスタートを切って内の2頭を行かせ、すんなり3番手でレースの流れに乗った。4角では持ったまま2番手まで上がり、直線序盤でゴーサインが出されると、そこからグンと伸びて勝利した。
ラスト2Fは11秒7-11秒4。好位を追走し、最後まで加速して勝利した内容は高く評価できる。母サイレントソニックは新馬戦を勝利した直後のダリア賞で2着、古馬になってからもオープンのオパールSで2着するなどの活躍を見せた。スピードオブライトは母以上の活躍が期待できそうだ。
9月18日(日) 中山5R 優勝馬 メインクーン 指数-2 評価B
中山芝1600mの14番枠から出遅れたため、道中は後ろからの競馬となった。3角からはかなり外を回りながら追い上げて距離損の多い競馬。普通ならば4角過ぎからは失速することが多いレースぶりだったが伸び続け、直線では前を行く馬たちをすべて交わしてゴールした。
ラスト2Fは11秒9-11秒5。距離損がありながら最後まで伸び続けたレースぶりからは、心肺機能がかなり高いと感じる。なかなか良い馬体、そしてフットワーク。今後が楽しみだ。
9月19日(月) 中山4R 優勝馬 スーパーマン 指数-4 評価B
新潟芝の新馬戦では外枠から中団待機。最後の直線で外に出されても伸びずバテずで6着と、完全に名前負けの結果だった。今回は4番枠から出遅れ、そこから最内を通ってポジションを取りに行く競馬。3角では3列目、3~4角でも前との差を詰め、4角では2列目。最後の直線では最内からしっかり伸びて差し切った。
ラスト2Fを11秒9-11秒5と加速していることは高く評価できる。出遅れるロスから位置を挽回するのに途中から長く良い脚を使っており、指数以上の強さを感じる内容だった。次走あたりで本当の能力を出してきそうな気配。名前に負けない活躍を期待したい。
9月19日(月) 中山5R 優勝馬 ヒップホップソウル 指数-4 評価AA
中山芝1600mで不利な大外12番枠からはっきりと出遅れてしまったヒップホップソウルは、後方からの競馬となった。このレースはかなりのスローペース、本馬は向正面の外から好位まで早めに上がっていった。3角では早くも2列目の外3番手。3~4角では前の2頭が飛ばしていったが、そこをやり過ごし直線で外に出されると、他馬よりも豪快なフットワークでスピードアップ。2着に4馬身差をつけ圧勝した。
ラスト2Fは11秒8-11秒2と急加速。超スローペースで走破タイムは平凡だが、それも今後の余力、成長力を考えれば大きなプラス材料。今後は順当に上昇軌道に乗っていきそうだ。かなり高い潜在能力の持ち主と見る。牝馬クラシック戦線に楽しみな存在が出現した。
9月19日(月) 中山6R 優勝馬 ネビュルーズ 指数-2 評価A
2番枠から好発を切って、1角では2番手外で折り合った。道中はゆったりとしたペース。3角過ぎで自ら動いて先頭に立ったが、4角で外からパクスオトマニカに迫られ、直線ではそちらの方が態勢有利に見えた。
しかし、ラスト1Fで闘志に火がついたように再加速し、結果は3馬身差の快勝。ラスト2Fは11秒8-11秒7で、やはり映像通りに伸びている。好位から優等生の競馬で最後までしっかり伸びるという、内容の濃い競馬で新馬勝ち。直線でグンと伸びた瞬間の走りは、強い古馬ステイヤーのようだった。今後なかなか強くなりそうだ。
9月17日(土) 中京3R 優勝馬 ショウナンアレクサ 指数-5 評価A
前走、エナジーチャイムが勝利した新潟芝1600mの新馬戦では、普通なら勝ってもおかしくないレベルの指数で走りながら、2着と惜敗。今回はデビュー2戦目。相手弱化だが、新馬戦を好指数で走った馬が次走で順当に上昇することはそう簡単でもなく、楽観視できない一戦だった。
今回も14番と外枠。しかし前走時に中団に控え、逃げるエナジーチャイムを捕らえ切れなかった経験からか、スタート直後から気合を入れて3列目の外の位置を取る。直線序盤で2番手のメアリーが先頭に立ったが、それを外から競り落とし、早めに先頭に立つという強気な競馬を見せた。
弱い馬ならこれをやると失速してしまうが、外からマイネルメモリーに迫られながらも、最後まで踏ん張り勝利した。簡単そうに見えてなかなか難しいミッションをあっさりクリアしたショウナンアレクサは、オープン級でも活躍が期待できるだろう。
9月18日(日) 中京3R 優勝馬 ビッグシーザー 指数-8 評価B
メイショウヒュウガが好指数勝ちした新馬戦で3着。次走の未勝利戦では勝利したペースセッティングが1クラス上の指数を記録したなかでの2着。ここまでの2戦は相手が悪く、運がなかったと言える。今回は1番枠からの発走でスタート直後は2番手だったが、途中からはスピードが違うのか先頭に立ってしまう。弱い馬なら、このレースぶりは最後に失速するパターンだ。
しかし直線に入っても逃げ脚が衰えず、レコード勝ち。指数も1クラス上で通用するレベルのものを記録した。今まで強い相手と戦い、厳しいペースの競馬を経験してきたため、今回のペースで逃げることくらいは楽だったのだろう。一戦ごとに着実に上昇、すでに1勝クラス突破のメドは立っており、今後もしぶい活躍を見せてくれそうだ。
9月18日(日) 中京5R 優勝馬 ハーツコンチェルト 指数-5 評価A
8番枠から五分のスタートは切ったが、ポジションを取りに行こうとする意思はなく、中団後方からの競馬となったハーツコンチェルト。しかし、ペースが遅いと見たのか向正面から好位の外まで上がっていく。3~4角ではさらに前との差を詰め、4角では3番手。直線で追い出されるとラスト1Fでは早くも先頭。そこからは突き放す一方で、2着に8馬身差をつけるド派手な勝ちっぷりを見せた。
しかし、ラスト2Fは11秒0-11秒6、走破タイムは2分01秒6と遅かった。自身の上がり3Fタイム33秒9は、同日7Rの古馬1勝クラスと比較してもそこまで秀逸とは言えない。8馬身差の圧勝ではあったが、多少相手に恵まれた面があったようだ。
それでも今回は途中から上がっていき、エンジンを無駄に使うロス。また鞍上の意思に即座に反応できる操縦性の高さは評価できる。今回は勝ちっぷりほどは高く評価できないが、強い競馬であったことは確か。かなり上での活躍が期待できそうだ。
9月19日(月) 中京3R 優勝馬 ラスハンメル 指数-6 評価B
新馬戦ではスローペースの好位馬群の外目でレースを進めたが、直線での決め手比べで伸び切れず3着に敗れた。2戦目の今回は8番枠から外に逃げるような感じで、前走のようなトップスタートを決めることはできなかった。しかし、すぐに行き脚がついて2番手外、前走よりも勝ちを意識した位置取りだった。最後の直線序盤では早々に逃げ馬を交わし、独走かと思われる瞬間もあったが、最後にエールミネルヴァに迫られてのゴールだった。
稍重馬場だったこともあり、見た目よりも厳しいペースだったのだろう。その流れを2番手から勝利した内容は高く評価できる。指数もこの時期の未勝利クラスとしては優秀。スタミナの豊富さを生かして上級条件で穴をあけそうだ。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ティファニードンナの指数「-5」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.5秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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