【皐月賞】未完の大器シルバーステートが産駒3頭出し 中山芝とは好相性【マイナー種牡馬応援団】

緒方きしん

シルバーステートの種牡馬成績,ⒸSPAIA

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大舞台で見たかった素質馬シルバーステート

今週は3歳牡馬クラシックの初戦・皐月賞。まだ内国産種牡馬が不遇だった時代にもシンザン産駒ミホシンザン(85年)、サクラショウリ産駒サクラスターオー(87年)、ハイセイコー産駒ハクタイセイ(90年)、シンボリルドルフ産駒トウカイテイオー(91年)などが勝利を収めている。90年代後半からはシェリフズスター産駒のセイウンスカイや、オペラハウス産駒のテイエムオペラオーやメイショウサムソンなど一発ホームランタイプの輸入種牡馬たちが頑張りをみせてきた。

そんな皐月賞も近年は大物種牡馬の産駒が席巻。キングカメハメハ産駒のドゥラメンテが勝利した2015年から、ディープインパクト産駒(ディーマジェスティ、アルアイン、コントレイル)、オルフェーヴル産駒エポカドーロ、ロードカナロア産駒サートゥルナーリア、エピファネイア産駒エフフォーリアと、ピカピカの人気種牡馬の産駒が勝利をあげてきた。昨年の覇者ジオグリフも、注目の新種牡馬ドレフォンの産駒であった。いずれも、高額な種付け料にもかかわらず多くの牝馬を集めている。

現役時代にいくつもGⅠ勝利をあげているこれらの種牡馬が活躍するなかで、今年の皐月賞にはGⅠ未勝利どころかGⅠ未出走の馬が産駒を送り込む。それが、未完の大器シルバーステートだ。産駒の活躍ぶりからマイナー種牡馬とは言えない、と思う方もいるかもしれないが、初年度を受胎条件80万円で迎えた1頭でもある。ニュージーランドTでは産駒のエエヤンが勝利をあげ、この世代も順調ぶりをアピール。皐月賞は3頭出しになりそうで、さらなる脚光を浴びるのも間近と言える。

シルバーステートは、母がフランスのGⅢを2勝したシルヴァースカヤで、期待の良血馬としてデビューを迎えた。新馬戦こそ、のちのヴィクトリアマイル優勝馬アドマイヤリードにアタマ差及ばなかったものの、そこから未勝利戦、紫菊賞と連勝する。その2戦はいずれも単勝1倍台という圧倒的人気に応えるもので、多くのファンがダービーを意識するような走りだった。

しかし年明けに左前脚屈腱炎を発症したシルバーステートは、クラシックレースどころか一戦も出走が叶わず、全休のまま3歳シーズンを終えてしまう。復帰となったのは4歳5月。1年7ヶ月ぶりの実戦だったが、ホープフルSの3着馬バティスティーニらを相手に、2着に3馬身差をつける完勝劇を見せつけた。

続く準オープン・垂水Sも楽勝したシルバーステートだったが、重賞挑戦に向けての調整中にまたしても屈腱炎を発症し、無念の引退となった。負けた相手がアドマイヤリードだけだったこと、全レースで鞍上を務めた名手・福永祐一騎手が絶賛していたことなどから、その実力は多くのファンや関係者に認められながら、ついに重賞に挑戦することなく引退した悲運の名馬として記憶に残る。


好相性の中山競馬場で輝きを見せられるか

シルバーステートの種牡馬成績,ⒸSPAIA
シルバーステート産駒の通算成績,ⒸSPAIA


引退後のシルバーステートは、その素質を評価されて初年度から117頭の産駒を出す。初年度産駒のウォーターナビレラはファンタジーSを制覇し阪神JF3着、桜花賞2着と好走。他にも葵Sの2着馬コムストックロードやセントライト記念4着馬セイウンハーデス、野路菊S勝ち馬ロン、条件戦4連勝のバトルボーンなどを輩出した。

現3歳の2世代目からも、NZTで勝利をあげたエエヤンをはじめ、サウジアラビアRCで3着、デイリー杯2歳Sで4着のシルヴァーデューク、ファルコンS2着のカルロヴェローチェらが現れた。クラシック路線では、若葉Sでショウナンバシット、ラスハンメルがワンツー決着を果たしたほか、スプリングSではメタルスピードが3着に入り、この3頭が皐月賞に出走予定だ。

産駒の傾向としては完全に芝優位。芝では勝率10.3%に対し、ダートでは同5.1%となっている。芝1400m以下は勝率8.5%、芝1500~1800mは同9.2%、芝1900mは同13.2%と、距離はあまり問わない。また、今年に入ってからあげた20勝のうち半数の10勝が中山でのもので、本年の中山芝成績は【10-4-4-23】勝率24.4%、単回収率122%、複回収率114%と好相性。前述のエエヤンやメタルスピードなどが好走していて、皐月賞でも期待が持てそうだ。

同じディープインパクト系種牡馬としてキズナや、今後はコントレイルとも争うことになるシルバーステート。そのポテンシャルを十分に発揮するためにも、早めに大きいタイトルを獲得してより多くの繁殖牝馬を集めたいところだ。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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